ユーゴスラヴィア現代史 の商品レビュー
ユーゴ紛争に至る複雑…
ユーゴ紛争に至る複雑なユーゴの歴史を概説した本。特に、19世紀、20世紀初頭の歴史が以外にほかの本では説明不足なところが多い。甚大な被害を出した第一次大戦中の歴史など、知らない事実が多く有意義な知識を得ることが出来た。
文庫OFF
1918年の第一のユーゴ誕生から、95年のボスニア内戦終結まで。 7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家。 内戦とともに終結したこの統合国家の何が間違いで、何が正解だったのだろうか。 本書ではその発端を、各国における混迷の時期から物...
1918年の第一のユーゴ誕生から、95年のボスニア内戦終結まで。 7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、1つの国家。 内戦とともに終結したこの統合国家の何が間違いで、何が正解だったのだろうか。 本書ではその発端を、各国における混迷の時期から物語る。 西と東の境目として、キリスト教とイスラム教、東方正教会とローマ・カトリック、ハプスブルク帝国とオスマン帝国など、衝突の歴史の地であったバルカン半島において、第一次世界大戦の契機となるサラエヴォ事件がこの地で起こったのも歴史の必然と言えるのかもしれない。 大戦後すぐに第一のユーゴと呼ばれるユーゴスラヴィア王国が成立するのだが、これは連帯の成果でも征服による統合でもなく、大戦後の混乱からの崩壊を免れるための統合であり、歴史的経験や宗教、言語等のすべてがバラバラ。さらにはセルビアが無理矢理中心に立つという、大きな危険をはらんだものであった。 二次大戦が始まり、一瞬でドイツに飲み込まれた時でさえ国としては団結できなかったが、唯一民族性を持たない団体である共産党だけが指導者チトーのもと、対枢軸国パルチザンとして活発に動き、時に連合国、時にソ連の協力をとりつけた結果、戦後、共産党を中心とする第2のユーゴスラヴィアが誕生する。 しかし、それでも民族問題は棚上げしただけで根本解決には至らず。1980年、連邦の要であったチトーの死と、石油危機に端を発する世界不況は、抑えつけられた民族感情と絡み合い、連邦瓦解から内戦までを一直線に結ぶ。 特にボスニアにおいては長きにわたり住み分けができない程にムスリム人、セルビア人、クロアチア人が混在しており、過去宗教・民族の違いによる相互の殺し合いなどなかったのだが、武器の密輸、徴兵制、ソ連に対する防衛体制の準備が災いし、経済的不満、国際社会の不理解もあいまってユーゴスラヴィア崩壊を代表する内戦に至る。 果たしてこれは防ぎ得た崩壊だったのだろうか。 本書が発行された1996年にあっては、長い年月をかけて地域による共同体意識が民族の分断を上回ればという思いが語られるが、2023年現在、技術の発達により地域性は薄れる一方であり、特にインターネットによるエコーチェンバー現象は、次々に特異な集団を産み続けている。 これが新たな紛争の火種となるのか、または民族問題解決の糸口となるのか。 現代は、未だ国家や民族が消えてなくなるほど情報化されてはいない。
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数年前に新婚旅行でクロアチアとボスニア・ヘルツェゴヴィナを訪れる前に、予習として読んだ本を再読。 火薬庫、というのは外部の人間だとすれば、セルビアを悪玉と決めつけるのも外部の人間である。
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「今はもうどこにも存在しない国」というのが何となく魅力的に思えて、その複雑さを少しでも紐解いてより理解を深めたいと思ってこの本を手に取ったんだけど、激ムズ〜。 どこの国でいつ誰が何を理由に何をしたというまさに5Wが入り混じっていてめちゃくちゃ私の小さな脳みその理解を阻んだ。 ...
「今はもうどこにも存在しない国」というのが何となく魅力的に思えて、その複雑さを少しでも紐解いてより理解を深めたいと思ってこの本を手に取ったんだけど、激ムズ〜。 どこの国でいつ誰が何を理由に何をしたというまさに5Wが入り混じっていてめちゃくちゃ私の小さな脳みその理解を阻んだ。 「国民性」とか「民族性」とかって何なんだろうなとは思うようになったかもしれない。例えばLGBTなんかを含めて、性別に関してはかなり自由が認められつつある社会になっていると思うけど(なっていてくれ)、民族に関してはそういう自由は未だない。「日本に生まれたんだから日本人だろ、日本語もしゃべってるし」。日本に限って言えば確かに海に囲まれいて国境も分かりやすいし、同じ文字体系を使用しているし、そこまでの問題にはならなかった。しかしユーゴスラヴィアはそうではなかった。 もちろん日本にも色々な民族がいて、人によっては話す言葉もまるで違っていて、そう簡単に括ってしまうのがあんまり良くないなとも思っていて───。 ぶっちゃけ正解をまだ誰も知らないこと、っていうこは世界には意外とたくさんあって、この本に書かれていることもそのうちの一つなんだと思う。誰もが早くその正解が見つかることを望んでいるのに、そう簡単にはことは進まなくて。 でもそんないっぱいある問題を、こうやって考えている、という姿勢を、これからも保ち続けられるといいな。
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ユーゴスラヴィアという国は、自分が生まれた時にはすでに少しずつ国々の独立により解体し始めていた時期であり、物心がついた頃にはすでに存在しない国だった。 だからこそ気になって読み始めたが、本の内容が濃く、自分の予想以上にユーゴスラヴィアを取り巻いていた環境が複雑すぎて、理解に時間が...
ユーゴスラヴィアという国は、自分が生まれた時にはすでに少しずつ国々の独立により解体し始めていた時期であり、物心がついた頃にはすでに存在しない国だった。 だからこそ気になって読み始めたが、本の内容が濃く、自分の予想以上にユーゴスラヴィアを取り巻いていた環境が複雑すぎて、理解に時間がかかりながら読みきった。 6つの共和国、5つの民族、4つの言語などなど、一期間だけといえど、ユーゴスラヴィアという1つの国として存在出来ていたことが読めば読むほど衝撃であった。 日本から想像のつかない事実を読むことは非常に興味深かった。
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現代史と言いながらも、この本が出版されてからもう20年以上たっている。 しかしこれ以上最近の本があまり出版されていないようだし、今でもよく読まれているこの本で、少しでもユーゴスラヴィアだった国の勉強をしようと思う。 ヨーロッパの火薬庫と言われるバルカン半島にあったユーゴスラヴィ...
現代史と言いながらも、この本が出版されてからもう20年以上たっている。 しかしこれ以上最近の本があまり出版されていないようだし、今でもよく読まれているこの本で、少しでもユーゴスラヴィアだった国の勉強をしようと思う。 ヨーロッパの火薬庫と言われるバルカン半島にあったユーゴスラヴィア。 いくつもの民族が混在し、いくつもの宗教がそこにあり、それぞれの歴史を抱えていた。 人口が多いのはセルビア人とクロアチア人。 なので最初のユーゴスラヴィアは、セルビア人がリードしていた。 ヨーロッパの列強の都合でくっついたり分割されたりしていたこの地域の人たちは、とりあえずまとまって、社会主義国家となった。 ほかの東欧諸国とは違って、ソ連型ではない社会主義を選んだユーゴは、ソ連の影響を受けることなく、大国と同盟を組むこともなかった。 ソ連型ではないというのは、経済を国家が管理するのではなく、国民(労働者)が経済を自主管理する社会主義システム。 これは、ソ連型と違って、実はとてもうまくいった。 うまく行き過ぎて、経済発展したスロヴェニアやクロアチアが、独立を主張したのだ。 本来社会主義の国は、豊かなところも貧しいところも平らに均して富を分配するはずの物。 だけど、貧しいところに自分たちの富を分配したくないのが人の常。 独立して豊かな暮らしを求めるスロヴェニアやクロアチアと、置いてきぼりにされるマケドニアやモンテネグロの間でバランスをとろうとしたのが、セルビアだったのだが。 宗教的にも使用する文字的にもソ連に近いセルビア人だが、非ソ連型の社会主義を選択していたためソ連の保護はない。 カトリックの国やムスリムを支えるヨーロッパ諸国は、問題のすべての責任をセルビアのせいにする。 民族主義を盾にセルビア攻撃を主張するドイツ。 じっくり解決の道筋を探そうとしていたイギリス、フランス。 早期解決のために空爆を急ぐアメリカ。 まあ、大国の論理はいいよ。誰かを悪者にする理由なんていくらでも付けられるんだから。 でも、それまで多民族国家として、多様な文化背景を持った多様な人たちが分断されてしまったこと。 家族が、友人が分断され、殺し合いをするということ。 これはどう理屈をつけても納得できないだろう。 同じ民族、同じ宗教、同じ文化を持った人とでなければ同じ国民になれないのだとしたら、その国はなんと窮屈なことか。 人が作った国境にどれだけ意味があるというのか。 目の前にいる大切な人との間に引かれた見えない線。 国が分裂してしまうのはしょうがないとしても、何とか憎しみの連鎖を断ち切って、平和な国土を取り戻してほしいと強く思った。
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●帯に「結合と分裂の全過程」とあるように、ユーゴスラヴィアの諸地域がいかなる過程を経て、現在に知られるような状況になっていったかを事細かに叙述した本。
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ユーゴスラビア現代史との表題だが、1800年代からの歴史が描かれている。ただ人名・地名に馴染みがなくすんなり理解するのは難しかった。
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ユーゴスラヴィアという、今はなき国家を、近現代の歴史から遡って記載されている。 途中途中は、専門家が書いているためかなり記載が細かいが、ユーゴについて知る時、91年の解体前後だけではなく、近代史まで遡って考えることで知識に深みが増した。 第一次、第二次世界大戦前後の欧米の思惑や、...
ユーゴスラヴィアという、今はなき国家を、近現代の歴史から遡って記載されている。 途中途中は、専門家が書いているためかなり記載が細かいが、ユーゴについて知る時、91年の解体前後だけではなく、近代史まで遡って考えることで知識に深みが増した。 第一次、第二次世界大戦前後の欧米の思惑や、冷戦の構図を考えながら読むことができた。
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入門者向けの様でそうじゃない本。まずは慌てず"図説 バルカンの歴史 (ふくろうの本)"を読んでからでも遅くはない。
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