1,800円以上の注文で送料無料

ハマータウンの野郎ども の商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/05/02

 イギリスの非熟練労働者家庭の息子たちの進路選択時期に参与観察を行い、彼らが中等教育の後にやはり非熟練労働者となる進路選択を行いがちである(階級が再生産される)ことの理由を探った一冊。  現代の工場労働は高度に分業が進んでおり、ほとんどの一般労働者にとって"仕事を通じた...

 イギリスの非熟練労働者家庭の息子たちの進路選択時期に参与観察を行い、彼らが中等教育の後にやはり非熟練労働者となる進路選択を行いがちである(階級が再生産される)ことの理由を探った一冊。  現代の工場労働は高度に分業が進んでおり、ほとんどの一般労働者にとって"仕事を通じた自己実現"は企業経営側に都合の良いプロパガンダにすぎない。また、能力主義を受け入れて高い収入を得ようとする場合、近い世代の労働者同士のゼロサムゲームに入っていかなければならない。これらを(明確に言語化できないにせよ)知覚した時に、能力主義的な学校の授業での努力をサボタージュすることや、肉体的アピールや言動による示威行動を重視する「野郎ども」的な価値観を受け入れることにつながる、という。  上記は一理あると思ったが、「ではどうするのか」においては著者の時代(古い時代)の考え方で参考にならなかった。労働者よ団結して搾取を打倒せよ!ってか。著者は社会運動の有効性を信じて、一方で教育機関・教育者による対応全般を軽視しているように読める。  頭脳を使わない労働はロボットとAIで置き換えが進んでおり、労働者に求められる知性のボトムラインは年々上がっていくことはもはや明白になっている。知性を軽視する生き方がそのまま残っていける時代ではない。ボトムから転落させないための教育レベルを保つ、就職後も再教育するための施策こそが求められていると思う。

Posted byブクログ

2022/03/03

義務教育によってどんな身分の人でも平等に学ぶ機会を与えられているのにも関わらず、学校は差異を再生産して顕著にする。

Posted byブクログ

2021/04/04

大好きな『ハッピーエンドはほしくない』に引用が多数あるので手に取ってみました。 学校に反発する"野郎ども"少年がいかにしてブルーカラーの職に就くのか。そこから資本主義の本質を探ろうと言う本。 1部はインタビューが多くまだ読みやすいが、2部からは目が滑ることが...

大好きな『ハッピーエンドはほしくない』に引用が多数あるので手に取ってみました。 学校に反発する"野郎ども"少年がいかにしてブルーカラーの職に就くのか。そこから資本主義の本質を探ろうと言う本。 1部はインタビューが多くまだ読みやすいが、2部からは目が滑ることが多く、流し読みになってしまった。 文章は難解だが、おそらく原文のニュアンスもそうなんだと思う。訳はいい。 なかなか面白いことがかかれているのはわかるが、言い回しが周りくどく、一文一文噛み砕きながら読むのでしんどく感じた。 内容としては非常に充実しており、名著の貫禄。自分の労働を俯瞰で見ることができる。もう少し読解力があったらさらに面白く感じるはず。またいつか読みなおしてみたい。

Posted byブクログ

2021/04/24

外国の古い本なので今の日本に当てはめられないことも多いが、日本でいまだに幅を利かせている人権侵害なトンチキ校則が施行される経緯(仕組み?)も窺い知れる。学校教育が格差を維持する装置になっているというすごいことが書いてあります。

Posted byブクログ

2021/03/07

100分で名著で紹介されてて興味を持ち、購読。イギリスの労働者階級の若者(野郎ども)の、学校や先生への反抗、友人や家族を含め長く共有される価値観など、社会的には不利と見られる階層に自ら望んで向かっていく理由を、膨大なインタビューをもとに検証したもの。父親から代々受け継がれる体を使...

100分で名著で紹介されてて興味を持ち、購読。イギリスの労働者階級の若者(野郎ども)の、学校や先生への反抗、友人や家族を含め長く共有される価値観など、社会的には不利と見られる階層に自ら望んで向かっていく理由を、膨大なインタビューをもとに検証したもの。父親から代々受け継がれる体を使って稼ぐことのカッコ良さ(知識や階級で稼ぐやつを「耳穴っこ」と見下すこと)、お上が決めたルールに従わないという「自由意思を持っている」こと、同じ階層の人間だけが共有できるユーモアや掟などの価値観、などから、「野郎ども」は自ら進んでその階級に安住する。制度の問題ではなく、意思があってそうするわけだし、価値観を良いものとして受け継ぐので社会階級が固定化する。一般的には「貧困・低所得・低学歴から抜け出せない可哀想な人達」という印象を持ちがちだが、「地元じゃ負けしらず」な「野郎ども」は、満足しているのである。

Posted byブクログ

2021/01/13

読書は楽しいけど読解が難しいことも多い。 しかも図書館から借りてると何ヶ月もかけて読めない。 なので各所皆様の感想で補完させていただいてます。 ありがとうございます。 5章以降は目が泳いで…読めないまま返却になりそ。 不良はインフォーマルな文化。文化を構築するには、集団、徒党が...

読書は楽しいけど読解が難しいことも多い。 しかも図書館から借りてると何ヶ月もかけて読めない。 なので各所皆様の感想で補完させていただいてます。 ありがとうございます。 5章以降は目が泳いで…読めないまま返却になりそ。 不良はインフォーマルな文化。文化を構築するには、集団、徒党が必要。不良が学校という規律を否定しつつ、自らグループを構成することは、何ら矛盾しない。 不良や労働者がある意味で真面目に働かないのは、学校=職場=権威の欺瞞を見抜いているから。学校は勉強すればみんなが自己実現できるように語るけれど、実際は競争社会で落ちぶれた者への保証なんて何もない。あるいは、教師の権力は確保しつつ、生徒を抑圧する全体主義的な機構を備えている。だからこそ、フォーマル側の要求を鵜呑みにしない。 こんな「能力が高ければ精神・頭脳労働に従事でき、社会的地位も高まる」という「ものさし」を否認する労働者がいるからこそ、ものさしが強固になる。もしも全員が同じものさしで考えれば、肉体労働に進んで従事する人がいなくなり、社会が崩壊する。→再生産 若年人口が多いと反体制が増えるとかいう本があったような…それと絡められるところもあるかなと。 いつだってインフォーマルな文化はなくならないと思う。

Posted byブクログ

2020/06/04

アトロクで、『ワイルドサイドをほっつき歩け ――ハマータウンのおっさんたち』のブレイディみかこがゲスト登場し、紹介。

Posted byブクログ

2020/02/19

2018年12月「眼横鼻直」 https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/2018/1201-7292.html

Posted byブクログ

2020/01/24

面白かった!理論的・抽象的な言葉遣いすぎて難しいところもあったけど、そして後半のマルクス主義のところが面白くて前半の知的興奮がほぼ持ってかれてしまったけど、とても勉強になった。 野郎どもたちが自ら誇りを持って非熟練労働者を選び取る(に甘んじる)メカニズムが腑に落ちた。そのせいで...

面白かった!理論的・抽象的な言葉遣いすぎて難しいところもあったけど、そして後半のマルクス主義のところが面白くて前半の知的興奮がほぼ持ってかれてしまったけど、とても勉強になった。 野郎どもたちが自ら誇りを持って非熟練労働者を選び取る(に甘んじる)メカニズムが腑に落ちた。そのせいで洞察が惜しいとこで止まってしまうという筆者の言いたいこともよくわかった。 私的には、資本主義がそれ自体として利益を生む原理(=労働者の労働力商品の性質ゆえに)がやっと分かって嬉しい。まさかのマルクスを並行して読んでる時に出会ってすごい偶然を感じた。

Posted byブクログ

2016/08/23

「落ちこぼれの少年たちはなぜ、社会的底辺と言われる労働者階級に自ら入り込んでいくのか」 努力すれば報われる社会なんだから努力しろとは言われるけど、みんながみんな勉強するようになったら誰でもできる単純労働は誰がするんだろうと疑問に思ったことがあります。 この本を読んで、勉強すれ...

「落ちこぼれの少年たちはなぜ、社会的底辺と言われる労働者階級に自ら入り込んでいくのか」 努力すれば報われる社会なんだから努力しろとは言われるけど、みんながみんな勉強するようになったら誰でもできる単純労働は誰がするんだろうと疑問に思ったことがあります。 この本を読んで、勉強すればいい仕事(身体的な負担が少なく、高い給料のもらえる仕事)につけるのは分かっているが、権威に屈服して生きるなんてごめんだと考えて自ら労働者階級に入り込む人がいるんだと知りました。 読後感:文章は難しくないけど、時々論拠や具体例が乏しく理解しづらい主張があり、若干消化不良。

Posted byブクログ