ハマータウンの野郎ども の商品レビュー
学校への反抗 労働への順応 1977年という昔に発行されたもので 農業従事者から工場労働者への過渡期に起る 格差差別問題にはじまり現在に至る 民主主義とは程遠い人権に関する根深い問題を 浮き彫りにしている
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前半部分の事例研究は、訳がこなれていて読みやすく、読み物として楽しめます。ただし後半の分析にかんしては、この本がどのような文脈で(どういった言説に対するアンチテーゼを提示しているのか、どのような点が当時新しい研究であったのか)書かれている本なのかという点にかんして理解がないとやや...
前半部分の事例研究は、訳がこなれていて読みやすく、読み物として楽しめます。ただし後半の分析にかんしては、この本がどのような文脈で(どういった言説に対するアンチテーゼを提示しているのか、どのような点が当時新しい研究であったのか)書かれている本なのかという点にかんして理解がないとやや難解かと思われます。
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[ 内容 ] イギリスの中等学校を卒業し、すぐに就職する労働階級の生徒のなかで、「荒れている」「落ちこぼれ」の少年たち=『野郎ども』。 彼らのいだく学校・職業観はいかなるものか? 学校はどのような進路指導をしているのか? 彼らの形づくる反学校の文化―自律性と創造性の点で、たてまえ...
[ 内容 ] イギリスの中等学校を卒業し、すぐに就職する労働階級の生徒のなかで、「荒れている」「落ちこぼれ」の少年たち=『野郎ども』。 彼らのいだく学校・職業観はいかなるものか? 学校はどのような進路指導をしているのか? 彼らの形づくる反学校の文化―自律性と創造性の点で、たてまえの文化とはっきり一線を画している独自の文化―を生活誌的な記述によって詳細にたどり、現実を鋭く見抜く洞察力をもちながらも、労働階級の文化が既存の社会体制を再生産してしまう逆説的な仕組みに光をあてる。 学校教育と労働が複雑に絡み合う結び目を解きほぐす、先駆的な文化批評の試み。 [ 目次 ] 序章 「落ちこぼれ」の文化 第1章 対抗文化の諸相 第2章 対抗文化の重層構造 第3章 教室から工場へ 第4章 洞察の光 第5章 制約の影 第6章 イデオロギーの役割 第7章 文化と再生産の理論のために 第8章 月曜の朝の憂鬱と希望 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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「借」(大学の図書館)。 教育学・社会学の名著。 改めて読むと、やっぱり名著だなと。 今でも読むと結構衝撃を受けると思う。 教育という営みに何かしら思いを抱いている人は一度読むことをオススメする。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「構造と文化とは、どちらも一方を切り離して個別に考えることのできない、ある必然的な円環をなしている。実在の社会構造は文化の位相を通路としてはじめて概念上の構造へと転換されるのであり、逆の転換もまた同じ通路を通る。文化なるものは、およそ社会の再生産という弁証法的な過程に欠くことのできない一方の契機なのである。」(407-8) <野郎ども>たちなりの合理性の階段をのぼり、主体的に選び取ったと思われる職業選択が、実は「手の労働力」を再生産する仕組みの中に包摂されてしまっている、つまり結果として彼らの階層を固定し社会構造を安定再生産することに貢献してしまっている、その様をフィールド調査をもとにありありと描く。それは、人間をシステム論的に無力化する視点でもなく、実存主義的に屹立した我による絶対の選択を認める視点でもない。社会を枠付けている構造と、その中で生きる文化、どちらもが相互に影響しあうという視点をとることによって可能となった筆致だ。 著者はそこから、自らの洞察を楽観にも悲観にもつながるものとして捉える。人間は様々な阻害を乗り越え、外部構造を変革することができるかもしれない。しかしまた人間は、<野郎ども>のように、外部構造によって歪められた洞察の結果、ひたすらに自らを、変わりない再生産の渦の中へと閉じ込め続けてしまうかもしれない。本著が暗示したこの明暗の両面がそれぞれどういった部分で妥当しているのか、現代日本を読みとくにあたりひとりひとりが背負う課題であろう。 人びとの自発性を動員する文化の中の諸要因をも、天蓋のような「メタ構造」として定義するるならば、著者もまた構造主義者の一派に過ぎないといえるのかもしれない。変革のために政治行動の力に期待するあたりは素朴ではあるし、運動の「発生」と「達成」の間の可能条件のズレには、非常に重要なポイントであるにも関わらず言及しきれていない(それこそ認知構造の歪みが何より問題になる場面のはずだ)。 しかし何より、このような多様な批判と挑戦を可能にする土台を後世に残したという点だけでも、このフィールドノーツのもつ意義は凄まじい。構造と文化についての、偉大な試論。具体例を通した社会学の教科書としても、より広く読まれて欲しい作品だ。
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社会科学かくあるべし.良書というものは,知らなかった知識を与えてくれるよりもむしろ,知らなかった考え方を教えてくれるものである.本書はそういう本である. 労働者階級の家に生まれ育った子どもたちが,なぜ資本階級ではなく再び労働者として再生産されるのか.この疑問に対して,本書は学...
社会科学かくあるべし.良書というものは,知らなかった知識を与えてくれるよりもむしろ,知らなかった考え方を教えてくれるものである.本書はそういう本である. 労働者階級の家に生まれ育った子どもたちが,なぜ資本階級ではなく再び労働者として再生産されるのか.この疑問に対して,本書は学校の「問題児」「優等生」「普通のおとなしい子どもたち」「教師」に対して長期間にわたる追跡インタビューを行い,個人のなかで学校という制度の中でその「労働者の再生産」がどのように生じているのかを分析する. 本書の良いところは,マルクスに示されるような「構造の観点」からのマクロな視点での分析だけにとどまらず,上に書いたように,少年たちの考え方の表出型をミクロな視点で分析することで,マルクスが曖昧にしていた「労働力の供給」のメカニズムに言及した点である.複雑な社会現象の中で因果を抜き出すことは難しい.たとえ単純な現象ひとつ取り上げたところで,そもそも因果を論じることは非常に困難なことである.本書では直接の因果を導き出すことを目的としないものの,複雑な現象を「社会構造」「イデオロギー」「文化」「インフォーマルグループ」「学校」「労働」などといった観点から鮮やかにひもといてくれる. 「人間とは」「社会とは」「文化とは」「労働とは」の書き出しで始まるような事柄について新たな考え方を与えてくれる本であることは間違いない. ちくま学芸文庫は文庫のくせに分厚く字も小さく金額も相当のものであるが,それだけの価値は本書にはあった.
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イギリスにおける階層分化。底流を生きる労働者階級の子どもを追った作品。 野郎どもはとにかく退屈しているのだ。学校という階層再生産工場、その工場長と勤勉な作業員に。野郎どもはそういった権力装置に対して徹底的に対抗するのだが、それがもたらす結末も彼ら自身解っている。 「…この今の...
イギリスにおける階層分化。底流を生きる労働者階級の子どもを追った作品。 野郎どもはとにかく退屈しているのだ。学校という階層再生産工場、その工場長と勤勉な作業員に。野郎どもはそういった権力装置に対して徹底的に対抗するのだが、それがもたらす結末も彼ら自身解っている。 「…この今のために生きたいんだよ。この若いうちに人生を楽しみたいんだ…(中略)…たとえば、<耳穴っ子>なんかはさ、やれ試験だの、やれ勉強だので、仲間とつき合うこともないし、楽しむってこともとくになし、それで十五年も辛抱して気がついてみりゃいい大人になっててね…(中略)…言ってみりゃ、お役人タイプってとこかな。マイホームを持ったりするようなことは全部おれたちより先にするさ。やつらは名士になる。ああ、お役人タイプの名士になるぜ。おれたちは下積みでウダツがあがんないのさ。」 そうやって階層が再生産されてゆく事を承知したうえで、彼らは反抗したのだ。
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『だまされない議論力』吉岡友治 の巻末の読書案内に出ていたもの。そのうち読む予定。-「イギリス労働者階級の青少年の生活・心理の見事な分析。青少年たたきをやす評論家もこれくらいのことをかいてほしい」
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社会学におけるエスノグラフィーの古典。 原題は[Learnig to labour] 貧困からの脱却を企図するならば、ブルーカラーよりもホワイトカラーを目指す。にもかかわらず「野郎ども」は積極的にブルーカラーを欲望する。 なぜか? 盲目的に杓子定規に学校の勉強に励むこと、 ...
社会学におけるエスノグラフィーの古典。 原題は[Learnig to labour] 貧困からの脱却を企図するならば、ブルーカラーよりもホワイトカラーを目指す。にもかかわらず「野郎ども」は積極的にブルーカラーを欲望する。 なぜか? 盲目的に杓子定規に学校の勉強に励むこと、 権威に対して従順であること、 これらは「野郎ども」にとっては恥ずべきことなのだ。 学校教育は教師の貯蔵する知識を「従順」と「尊敬」をみかえりに少しずつ手に入れる空間である。そのシステムを「拒否」「反抗」し、軽蔑さえする。彼らが価値を置くのはマスキュリンの象徴「筋肉」「猛々しさ」なのであり、その延長にあるものこそ肉体労働なに他ならない。支配的な価値観に反吐を吐き、敢えて反抗する。青年期の反抗は、自らの肉体労働にポジティブな自己認識を付与する。 杓子定規な学校教育に抵抗するからこそ、社会構造の構築に加担する。だからこそ、社会構造は安定的になるというパラドキシカルなリアルを見事に喝破する論考。
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いろんな人が面白いっていうからついつい手に取って読んでみた。 まず「生活誌」を読み終わって、かなりおもしろかったからこりゃみんな面白いっていうわな、みたいな感想を持ちつつ第二部の「分析」に入ったらバットで後頭部を思いっきり殴られたような衝撃を受けた。ものすごい。これは単なる反学...
いろんな人が面白いっていうからついつい手に取って読んでみた。 まず「生活誌」を読み終わって、かなりおもしろかったからこりゃみんな面白いっていうわな、みたいな感想を持ちつつ第二部の「分析」に入ったらバットで後頭部を思いっきり殴られたような衝撃を受けた。ものすごい。これは単なる反学校文化に関する本ではない、本書の基軸はそこにおかれながらそれをとりまく資本生産様式(資本主義)や階級文化、支配イデオロギーなどについて詳細に分析がなされている。ここまで鮮やかに構造や文化を説明できるものなのか!?とにかくすごいとしか言いようがない。見えないものをこうも見せつけられると著者の分析•調査の綿密さ感嘆してしまう。ここまで感動した社会学に関する本は初めてだと思う。(つまり今までろくなものを読んできてなかったとも言えるけど^^;)とにもかくにもぼくも社会学的な「見えないものをみる力」を身につけたい。そうすれば世の中、社会への見方が今よりももっと面白いものになりそうな気がするのだ。もちろん女性の下着を透視するっていう意味での「見えないものをみる力」を手に入れたいと切望していることは今更ながら言うまでもない。 【追記】 この本を読んでいたら、自然とオアシスのギャラガー兄弟が頭に浮かんだ。
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