五重塔 の商品レビュー
七月歌舞伎の演目。 予習のために初めて読んだ、幸田露伴。 旧字体だから最初は読みにくかったけど、 読んでいるうちに、 この頃の時代背景と、無骨で頑固な十兵衛の姿形を この旧字体がよく表している気がした。 おもしろくて、一気に読んじゃった。 どんな舞台演出になるんだろう。さらに...
七月歌舞伎の演目。 予習のために初めて読んだ、幸田露伴。 旧字体だから最初は読みにくかったけど、 読んでいるうちに、 この頃の時代背景と、無骨で頑固な十兵衛の姿形を この旧字体がよく表している気がした。 おもしろくて、一気に読んじゃった。 どんな舞台演出になるんだろう。さらにすごく楽しみになった。
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このような作品に感想を書くのもおこがましいのじゃなかろうか、なんて思ってしまう。日本人に生まれて、日本語読めて幸せだ! 細かい文法なんかはほぼ理解できてないけど、おもしろい、すいすい読めてしまう。すごい。(もっと古文の授業聞いとくんだった、、 音読が気持ちのよい文章です。
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言葉と音がとても美しく、音読をするのにふさわしい物語だと思う。 紙芝居を聞かせてもらっているような、先が気になるような展開になっていて、シンプルで流れるようなリズムの良さがある。 この小説は、個人という枠を超えて、人はどこまで芸術に殉じることが出来るのだろうかということを問いか...
言葉と音がとても美しく、音読をするのにふさわしい物語だと思う。 紙芝居を聞かせてもらっているような、先が気になるような展開になっていて、シンプルで流れるようなリズムの良さがある。 この小説は、個人という枠を超えて、人はどこまで芸術に殉じることが出来るのだろうかということを問いかけている話しなのだと思った。 十兵衛の、立派な五重塔を自分の手で建てたいという思いの強さは、職人的でもあるけれど、それ以上に、この孤高さはやはり芸術家の精神なのだろうと思う。 芸術家の魂を持つものの常として、中途半端な処世とは相容れることがない。逆にいえば、現実的な処世を考えることがないからこそ、一念を貫いて、余人には真似の出来ない作品を創りだすことが出来るのだという気がする。 時代は違えど、ここで語られている芸術への情熱というのは、現代でもあてはまる普遍的なテーマなのだと思った。 上人これを熟視たまふに、初重より五重までの配合、屋根庇廂の勾配、腰の高さ、樽木の割賦、九輪請花露盤宝珠の体裁まで何処に可厭なるところもなく、水際立つたる細工ぶり、これがあの不器用らしき男の手にて出来たるものかと疑はるるほど巧緻なれば、独り私に嘆じたまひて、かほどの技量を有ちながら空しく埋もれ、名を発せず世を経るものもある事か、傍眼にさへも気の毒なるを当人の身となりては如何に口惜しきことならむ。(p.28) 下げたる頭を徐に上げ円の眼を剥き出して、一ツの仕事を二人でするは、よしや十兵衛心になつても副になつても、厭なりやどうしても出来ませぬ、親方一人で御建てなされ、私は馬鹿で終わりまする、と皆までいはせず源太は怒つて、これほど事を分けていふ我の親切を無にしてもか。(p.54) 十兵衛不興気の眼でぢつと見ながら、ああ構ふてくれずともよい、出ては行かぬは、風が吹いたとて騒ぐには及ばぬ、七蔵殿御苦労でござりましたが塔は大丈夫倒れませぬ、なんのこれほどの暴風雨で倒れたり折れたりするやうな脆いものではござりませねば、十兵衛が出掛けてまゐるにも及びませぬ。(p.109)
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義理を欠いても傷を負っても、これだけは譲れない。 世渡り下手で、貧しくのろまで人から馬鹿にされていた十兵衛が、 五重塔に対してみせる頑固さ、執念、鋭さ、情熱に釘付けになりました。
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本当に頭がいい人が書いた文章とはこういうものなんだと思いました。 文章そのものに力があり、どんどん読まされます。 まさに日本が誇る傑作だと思います。
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技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を越えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴(1867‐1947)...
技量はありながらも小才の利かぬ性格ゆえに、「のっそり」とあだ名で呼ばれる大工十兵衛。その十兵衛が、義理も人情も捨てて、谷中感応寺の五重塔建立に一身を捧げる。エゴイズムや作為を越えた魔性のものに憑かれ、翻弄される職人の姿を、求心的な文体で浮き彫りにする文豪露伴(1867‐1947)の傑作。
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文語の持つ力を改めて感じさせられる。眼前に見えるような描写が素晴らしい。義理人情、意地の張り合いの物語なのだが、どろどろせずにさっぱりとしているのも文章の力に負うところが大きい。
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昔の人の書くものは、情報量が多い。これ、映画化できたら素敵だろうな。川越源太は阿部寛希望。しかし、十兵衛は誰がいいか思いつかない。
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文体が古くて難しいけど、昔の言葉のよさをかみ締めながら読める。主人公、脇役みんなの心意気がすてき。こんな日本人でいたいね!
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漢語や仏教語を自在に使いこなし、硬派の文学ファンを熱狂させた明治の文学者。『五重塔』はその代表作で、25歳の時に書いたもの。無名の大工が不朽の建築物を残したい一心で五重塔を建てるという話。露伴の娘の幸田文さん、孫の青木玉さんも文筆家です
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