陰翳礼讃 の商品レビュー
愚痴っぽさに思わず苦笑。でも、こんなに「好きなものは好き」と思えるのがとても羨ましい。私はこんなに自慢できるものをもっているだろうか?
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【陰翳礼賛】 日本文化の微妙で、きめ細やかな美的感覚がここまで情緒溢れる言葉によって捉えられていることに感動する。 文章によってここまで豊かな情景を想起させられる経験はなかなか出来ないと思った。谷崎潤一郎の文章の技巧と陰翳の持つ不思議な魅力が普段忘れがちな日本人としての感性を呼び...
【陰翳礼賛】 日本文化の微妙で、きめ細やかな美的感覚がここまで情緒溢れる言葉によって捉えられていることに感動する。 文章によってここまで豊かな情景を想起させられる経験はなかなか出来ないと思った。谷崎潤一郎の文章の技巧と陰翳の持つ不思議な魅力が普段忘れがちな日本人としての感性を呼び覚ましてくれるような気がした。
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「科学の発展や産業革命が西洋ではなく、日本で興っていたら様式やデザインはどうなっていたのか?」 決して負け惜しみや劣等感ではなく、日本を代表する文豪のユニークな着眼点と純粋な好奇心から執筆された一冊。現代に生きる自分達が読むからこそ、近代から現代にかけての日本人の本質がそこまで大...
「科学の発展や産業革命が西洋ではなく、日本で興っていたら様式やデザインはどうなっていたのか?」 決して負け惜しみや劣等感ではなく、日本を代表する文豪のユニークな着眼点と純粋な好奇心から執筆された一冊。現代に生きる自分達が読むからこそ、近代から現代にかけての日本人の本質がそこまで大きく変わっていないことが分かる。 西洋人が歯をむき出しにして笑うを読み、もしも谷崎が現代のインスタグラム文化を見たらどう思うのだろうと考えてしまった。そういう意味では、現在の日本は欧化に適応しているのかもしれない。
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陰翳礼讃 タイトルの漢字を見て、なんだか難しいことを言っているんだろうと構えて読んだけれど、そんなことはなかった。 要は日本人の昔ながらの美意識を大事にしたい、という話。 明記されているわけではないが、谷崎はただただ自分の思いを独り言のように書き連ねただけで、他の人がどう思おうが構わないという感じが伝わってきた。 懶惰の美徳 ハリウッドスターの笑顔についてなど、共感できることをいくつか言っていて面白かった。 恋愛および色情 ちょっと笑ってしまった。終盤の、女性の体について述べているところは、これって本にして発表するような話かね?友達と飲みの席でする話だよね?と思ってしまった。 筆者のファンなら、彼がどんな趣味嗜好をしているのか分かるので面白いと思うが、だいたいの人にとってはどうでもいい話だった。それが随筆の魅力ではあるけれど。 客ぎらい 谷崎がどんな執筆スタイルだったのか知ることができる。 旅のいろいろ 著名人であるがゆえに、旅行中に人目を避ける術が書かれている。 厠のいろいろ 汲み取り式便所の方が良いと言う人が存在するのか、とただただ驚いた。
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このあいだ、出任せにしゃべり散らすおっさんを見た。相槌すら限界の付き人にも、お構いなし。 この本でも、日本的な事に一家言あるおっさんが言葉を尽くす。けど、不思議と嫌じゃない。むしろ好き。 話は陰影に始まって、もうその話はいいよってタイミングで変わり、色恋やトイレの話になるw。
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…美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。 人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗闇が一箇の甘い塊になって舌の先で解...
…美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを余儀なくされた我々の先祖は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。 人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗闇が一箇の甘い塊になって舌の先で解けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。 たとえば金銀螺鈿の蒔絵。白々とした照明のしたですべてを露わにして見るときと、闇の中に沈み、蝋燭の灯りに蒔絵が揺らめき、ひそやかな輝きが見えるときを想像するとする。 たとえば羊羹。室内の薄暗がりを懲り固めたような四角い菓子の、ひんやりとした切り口が、障子越しのしろいひかりをちらちらと反射する様子を思い出す。 白日の下に、または燦燦とした陽光のもとに、あっけらかんとすべてを照らしだす西洋。対して蝋燭や行燈、障子ごしのかげりにうかびあがる日本。 西洋との本質的な相違を見つめ、日本的な美の本質に迫るエッセイ集。解説は吉行淳之介。 西洋の感覚と日本の感覚、その美しさを感じつつ本質の違いをつらつらと流麗に挙げていく谷崎の日本語の語彙力。現代人の浅学なわたしにはその文章にさえ、ぞっとするようなうつくしさをかんじてしまう。 彼の目から見た日本とは、世情とは、ほんとうにどういったものだったろう。もっともっと。その作品を深く追いたい作家のひとりである。
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ふと思って久々に再読。でもやっぱりバカ過ぎて読めない。これは時代がこうさせるバカさなのか、どうなのな、俺にはなんとも言えない。 でも、ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」には、ニューギニア人ヤリが、「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私...
ふと思って久々に再読。でもやっぱりバカ過ぎて読めない。これは時代がこうさせるバカさなのか、どうなのな、俺にはなんとも言えない。 でも、ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」には、ニューギニア人ヤリが、「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」と問う印象的なプロローグがある。 谷崎潤一郎よりも、ニューギニア人ヤリのほうが、ちゃんと現実をみてる。 「もし科学技術が東洋で発達してたら、こうはならなかった、、、」なんて谷崎潤一郎の発言のバカさを、今日的な知識を背景にして言うのは、さすがにフェアじゃないとは思う。ニューギニア人ヤリは、そんなバカなことは言わない。 とにかく、西洋のものが気に入らないだけの頭の硬いおっさん。 谷崎潤一郎、お前が気に食わないと思ってるものは、実は、西洋文明のもたらしたものではなく、日本人によるその受容の仕方だろう。 「万年筆をもし日本人が発明してたら、筆みたいになってたはず」みたいなバカ発言は、イライラするんだけど、谷崎も自覚できてないけど、違和感として気付いてるようだが、問題は、「西洋が万年筆を発明したこと」ではなく、「それに対抗できるものを東洋が発明できていなかったこと」だろう。筆が万年筆に対抗できるなら、筆でよかっただろう。そうじゃなくて、万年筆みたいな筆が欲しいんだろ?それは西洋文明が西洋文明の環境と文脈で万年筆をうんだことが悪いのではなく、それをそのまま受容した日本が悪い。筆風の万年筆を作って、それにあわせて紙を発展させればよかったんだ。でも、できない、もしくはしてない。それが谷崎の不満点なんだ。だから、東西文明の比較のようなバカな視点はやめて、「東洋はいかなる方法にて西洋文明を受容すべきか」「西洋文明を陰影の文脈でどうリプロダクションするか」という視点で一貫して書けばよかったのだ。そうすればずっと良い本になったであろう。 この本では、14頁に実はそう書いているので部分的には理解している。だから、自分でも理解してる筈だ。 なので、もしこうだったらよかったのに、とかいう情けない発言はもうやめましょう。 よかった点としては、上記のように、日本は西洋文明の受容が下手くそだ、と指摘した点。 今日、「日本は外来文明をうまく咀嚼して自分たちなりにアレンジするのがうまい」と何の根拠をもってか言ってるひとたちがいる。 そんなもん、むしろ、それができない文明は衰退してしまうより他はない、というような文明の基本的能力でしかない。 そして、日本は、カスタマイズはむしろ下手だったんだよ、上手かったと思うのは、その下手クソなカスタマイズに慣れてしまった結果の側からの視点でしかなく、当事者であった谷崎潤一郎なんかは、それを糾弾しているよ、ということに気づけたということだ しかし、この本がこんなにイライラするのは、よくよく考えると谷崎潤一郎がバカだから、じゃなく、いまだにこんな知的水準の本をありがたく受容してる状況があってこそイライラするんだろう。 今では失われた文明となった日本の過去を自覚なくとも別の文明として眺め無批判にありがたがるのは、当時、谷崎が西洋文明を無批判に受容していた日本に抱いたイライラと同じなんでしょう あ、もう一つよかったのは、この本で谷崎がわれわれ、というとき、それはどうやらわれわれ日本人、ではなく、われわれ東洋人、という意味であるようだ。 そこは素晴らしい。今の日本人が、ほぼ意識せずに、このわれわれを日本人と読んでしまうことに問題がある。 世界に誇る日本、日本ってこんなにすごい、みたいなテレビの作ったくだらない文脈のせいだ。 いかに自分らも汚染されてるか思い出してみましょう。 (2020.07.12) 久々に読んでてクソ苛々する馬鹿書。西洋を写真でしか知らん白痴爺が日本美は陰影深い、ブラボー、対して西洋美は平坦、と。何故に日本美を謂うに西洋はアカン言わんならんのか。無学。無知。歴史観を持て。勉強しろ。もっと色々見ろ。無論、日本美に対する洞察は良い。けんど、その洞察は西洋美を見出すには至らず。安易。ガキ。短絡。それこそ平坦。まず、お前の謂う西洋ってのは概念であってそんな国はねぇ。ヨーロッパを国名と思ってるかのごとし。実に暗い。知恵がね。こんだけ言うて一度も西洋行かずに死んだのがこれまたあかん。否定するんならいっぺんほんもん見てこんかい漱石先生は行ってんねんど、だぼ。(2018.11.24)
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裏表紙の惹句「西洋との本質的な相違に目を配り、かげや隈の内に日本的な美の本質を見る」のとおり、日本の伝統美について語った随筆集。ここまで和を讃えるのか!ここまで西洋を叩くのか!と突っ込みたくなる論調は、かなりの熱を持って迫ってくる。 と、ここまでは気取って書いてみたが、ぶっちゃけ...
裏表紙の惹句「西洋との本質的な相違に目を配り、かげや隈の内に日本的な美の本質を見る」のとおり、日本の伝統美について語った随筆集。ここまで和を讃えるのか!ここまで西洋を叩くのか!と突っ込みたくなる論調は、かなりの熱を持って迫ってくる。 と、ここまでは気取って書いてみたが、ぶっちゃけ、この本は頑固オヤジの独断と偏見による説教(笑)それでも、まったく嫌味っぽく感じないから面白い。
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すごく好き。すごく面白い。 谷崎潤一郎の美的感覚や考えを知ることができた。 もし、谷崎潤一郎が現代を生きていたらどんな文章を書いたのだろう?
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面白い、面白くないといった感想ではこの本の評価をするのはとても難しい。生活の中に埋没しがちな陰影に美意識を向けることで、それがいかに日常を美しく彩ってくれているのかを教えてくれる谷崎潤一郎の名随筆。光と影の中に見えてくる日本人の透き通るような美的感覚から、海外製品と日本の和が作り...
面白い、面白くないといった感想ではこの本の評価をするのはとても難しい。生活の中に埋没しがちな陰影に美意識を向けることで、それがいかに日常を美しく彩ってくれているのかを教えてくれる谷崎潤一郎の名随筆。光と影の中に見えてくる日本人の透き通るような美的感覚から、海外製品と日本の和が作り上げた陰影への苦言までを、現代の日本語でじわじわと語りあげる。決して読みやすい本では無いので、途中で挫折した事もあるが、時間をかけて読む事で、少しずつ谷崎潤一郎の名文が自分の世界観に入り込み、新たな価値観を与えてくれると思う。
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