陰翳礼讃 の商品レビュー
大好きで、幾度も読み直したり、部分的にページを捲った本の1つ。 当時、男女の濃厚な情愛のイメージしかなかった私にとって、陰翳礼讃は驚きと共に、谷崎潤一郎の表現力を改めて思い知らされる1冊となった。 例えば和紙。例えば障子ごしの光。 日本ならではの「仄暗い」からこその美しさを、西洋...
大好きで、幾度も読み直したり、部分的にページを捲った本の1つ。 当時、男女の濃厚な情愛のイメージしかなかった私にとって、陰翳礼讃は驚きと共に、谷崎潤一郎の表現力を改めて思い知らされる1冊となった。 例えば和紙。例えば障子ごしの光。 日本ならではの「仄暗い」からこその美しさを、西洋と比べながら語り尽くす。 情景を表す言葉は巧みで、彼の言わんとする美がよく伝わってくる。 だが、そこまで言うかと思ってしまうほど、痛烈に西洋のそれを引き合いに出すものだから、苦笑いしてしまう。 そこも楽しいのだけれど。 文庫の半ば、恋愛及び色情の章では、今それ言ったら炎上しそうな発言もあるが、逆に、時代の流れ、世の中の移り変わりを冷静に感じながら読み進めて頂きたい。 谷崎の纏わりつくような色気の表現は、こういう目線と感性から生まれたのだ。 どこまでも興味深い。
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影や闇の美しさを描く、谷崎潤一郎の随筆。 人生で何度も引っ越しをし、住むところにこだわった谷崎氏だからこそ書けたのではという感じがします。 安全面のこともありますが、日本は少し明るすぎ、とずっと思っていましたが昔からのようですね。ですが、それでも現代からみると、当時はさぞ風情あ...
影や闇の美しさを描く、谷崎潤一郎の随筆。 人生で何度も引っ越しをし、住むところにこだわった谷崎氏だからこそ書けたのではという感じがします。 安全面のこともありますが、日本は少し明るすぎ、とずっと思っていましたが昔からのようですね。ですが、それでも現代からみると、当時はさぞ風情ある景色が残っていたことでしょう。 羊羹は普段あまり食べないのですが、薄暗い部屋で、この本を思い返しながら食べたら、きっとひんやりと官能的で、すごくおいしく感じそうです。
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陰影について徒然と書いてた。昔の日本人、東洋人の陰影についてのセンスを「何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する」と絶賛しつつ、 ・古い和式のトイレは母屋と離れてて冬は寒いが風流で思想に耽るに良い。 ・便器は陶器じゃなくて木製に限るぜ ・電灯は明るすぎるからランプがいい。伝...
陰影について徒然と書いてた。昔の日本人、東洋人の陰影についてのセンスを「何でもない所に陰翳を生ぜしめて、美を創造する」と絶賛しつつ、 ・古い和式のトイレは母屋と離れてて冬は寒いが風流で思想に耽るに良い。 ・便器は陶器じゃなくて木製に限るぜ ・電灯は明るすぎるからランプがいい。伝統に照らされてみる歌舞伎の女形とか明るい舞台で見せたら男っぽすぎるっしょ。 ・なぜ西洋は陰影を好まず明るいのが好きで白色電灯などを作って、陰を払いのけようとするのか?→肌の色が関係するのだろう。 ・白人が有色人種を排斥する心理もうなづける。 ・日本人が陰影を好むのは、自分たちを醜悪な状態に置きたがらないものだから、暗い雰囲気や食器を好んで自分たちを鎮めようとしてる とか割と言いたい放題。「あなたの感想」なんだけど、文章がうまいというか、流麗なので、読めちゃう。ほぼ勝手な印象で一冊本を書けるのはすごい。 ただ日本人がおしろいを塗っても隠せない肌の色を「清冽な水の底のある汚物」とまで言ってるのは時代とはいえ驚く。
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美術に関して素養がない私ですが谷崎潤一郎氏の視点から、日本と暗闇の関係、光と影の美しさ、欧米と日本の感性の違いなどを知り 「そもそも美術」とはなんぞやとモヤモヤが少し晴れたような気がします。 まだ解釈しきれてないので、暫く放置して熟成させます。
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学生の頃読んだ時は、よく分からんけどワビサビかっこいいとか思ったような気がする 久しぶりに読んだら結構ツッコミどころ多くて面白かった もし日本(東洋)独自の科学文明が発展したら云々とあるけど、そしたら結局今日に至るまで江戸時代から何一つ変わらんのじゃないかしらと思ってみたり、他国...
学生の頃読んだ時は、よく分からんけどワビサビかっこいいとか思ったような気がする 久しぶりに読んだら結構ツッコミどころ多くて面白かった もし日本(東洋)独自の科学文明が発展したら云々とあるけど、そしたら結局今日に至るまで江戸時代から何一つ変わらんのじゃないかしらと思ってみたり、他国の文明を沢山取り入れたことによって更に日本の技術に磨きがかかってその一方で伝統的なもの(芸能であれ工芸であれその他諸々)をずっと継承している人たちがいてそれがマッチングして現代は良いようになってると私は思ったから、この時代を谷崎に見せたらどう思うんだろうかやはり何か小言を垂れるのかしら 「恋愛及び色情」途中長々と賢者タイムの話になってうるさって思った 今の感想だといっぱい思うところあったんだなぁって大きな目で見る本かなでもなんか嫌じゃなかったな
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日本の家屋、女、対人関係、廁、などについて、 谷崎潤一郎が、好き勝手意見を述べる。 変わった視点からの極端な意見が、とても面白い。
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自分は薄暗い空間だったり、少し汚れて味が出ているものを好んでいたけど、これだけ電気で明るく照らされているのが当たり前の世界だと気付けないものの魅力がまだまだあるなと再認識しました。 特に日本(ないし東洋)の建物や照明、食器などの生活用品は暗い闇の中でほの明るい明かりに照らされるこ...
自分は薄暗い空間だったり、少し汚れて味が出ているものを好んでいたけど、これだけ電気で明るく照らされているのが当たり前の世界だと気付けないものの魅力がまだまだあるなと再認識しました。 特に日本(ないし東洋)の建物や照明、食器などの生活用品は暗い闇の中でほの明るい明かりに照らされることを前提としての美を追求されているのだということはなぜ考えもしなかったんだろうと目から鱗だった。 ちょっと谷崎潤一郎の主観と偏見強めだけど面白い内容だった。自分も自分の生きる世界の陰翳を見つめ直し礼讃して行きたいです。
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『陰翳礼讃』だけ、読みました。 『陰』をもっと深く求め昇華するのだと思ってたよ。 80年前と現代では求められてるものが全く違う。 そこは理解した上で読んだが… 自分自身、読解力が乏しいと自覚している。 『陰翳礼讃』の4文字に、 勝手に抱いてたちょっと尊いイメージが霧散。
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西洋の美と本質的に違う日本の美について語る谷崎の名エッセイ。陰や隈の内側、つまり陰影に日本の美の本質を見つけた谷崎の文章は流麗で読みやすい。灯りのない江戸時代の街の夜のように、葛飾応為の絵のような、怪談噺が描写する月明かりとその陰。陰に潜むもの。現代人には想像しにくい世界をエッセ...
西洋の美と本質的に違う日本の美について語る谷崎の名エッセイ。陰や隈の内側、つまり陰影に日本の美の本質を見つけた谷崎の文章は流麗で読みやすい。灯りのない江戸時代の街の夜のように、葛飾応為の絵のような、怪談噺が描写する月明かりとその陰。陰に潜むもの。現代人には想像しにくい世界をエッセイで作り出している。現代作家の日記のような薄っぺらいエッセイと違う骨太の文学作品。
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「いんえいらいさん」、と読みます。念のため。 この字面が好きです。美しい。 受験生のときに「現代文で最もたくさん出題されてる文章」って聞いたような気がするんだけど本当かな、自信ない。 確かに当時模試か問題集で一度お目にかかったと思うけど。 懐かしくなって読んでみました…が。 …...
「いんえいらいさん」、と読みます。念のため。 この字面が好きです。美しい。 受験生のときに「現代文で最もたくさん出題されてる文章」って聞いたような気がするんだけど本当かな、自信ない。 確かに当時模試か問題集で一度お目にかかったと思うけど。 懐かしくなって読んでみました…が。 …こんなだったっけ? どうしよう年寄りの懐古趣味にしかみえない。 あとトイレへのこだわりすごいな! でも私は畳敷きで木製のトイレなんて絶対、嫌です。特に掃除が。 中国のトイレにも文句つけてて、旅行で出かけた先で、トイレに入ってみたものの汚過ぎて慌てて出てきたって書いてあって、日本の誇る文豪も同じことしてるんだーと、ここだけは共感しました。 とにかく、全体的に取り上げた対象に対するねっとり感がすっごいです。 しかも若干偏執的。 暗がりの中のほの白く浮かび上がる女性の顔、手の美しさをじっとりねっとり書き連ねる感じがね、もう…。 ぞわっと!する! それでもこの文章が人気なのは(私の記憶が合ってるなら、ですが)、文豪の書く日本文化論、て感じだからかな? でも今の感覚と違い過ぎて、実感というか共感というか想像できなさそう。 あとものすごく羊羹食べたくなります。 ”羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、ひとしお瞑想的になる。人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。” …文豪ともなると、こんなこと考えながら羊羹食べるらしいですよ!
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