陰翳礼讃 の商品レビュー
大好きな谷崎潤一郎の随筆集です。 障子の和紙を通したあかりの繊細さ、蒔絵の無限のきらめき。 当時の世相を反映した(迎合した?)日本万歳だけではない、文章の美しい手触りを満喫できます。 この本を読むたび、羊羹を食べたくてしかたなくなります。
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これを読んだとき、谷崎潤一郎ってなんてすごい人なんだと感動した一冊です。 文章だけで、古典的で美しい情景を想像させるのと同時に、ひょっとして現代を生きっているのと思うような指摘も持ち合わせていて、なんだかんだマイベスト谷崎潤一郎本かなあと思います。 暗と羊羹のはなしの部分が好き...
これを読んだとき、谷崎潤一郎ってなんてすごい人なんだと感動した一冊です。 文章だけで、古典的で美しい情景を想像させるのと同時に、ひょっとして現代を生きっているのと思うような指摘も持ち合わせていて、なんだかんだマイベスト谷崎潤一郎本かなあと思います。 暗と羊羹のはなしの部分が好きです。
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6編の随筆集でうち5編は1930-1935年初出。日本家屋は環境に適すため暗くならざるを得なかった。その陰翳でこそ映える美しきものを讃える表題作が出色だ。漆や座敷が陰翳で映える様を精緻に書いている。谷崎と同じく、日本の物理や工業の発展がもしも西洋に先んじるか独自の発展を遂げていた...
6編の随筆集でうち5編は1930-1935年初出。日本家屋は環境に適すため暗くならざるを得なかった。その陰翳でこそ映える美しきものを讃える表題作が出色だ。漆や座敷が陰翳で映える様を精緻に書いている。谷崎と同じく、日本の物理や工業の発展がもしも西洋に先んじるか独自の発展を遂げていたらと夢想せずにはいられない。自然との調和を尊んでいたために、自然を支配下に置かんとする気構えであろう西洋にその方面で遅れを取ったのは仕方のないことかもしれないが。ところで谷崎は厠にも格別の拘りをみせ、一遍の主題にもなっている。大真面目で説得力ある文だからこそ笑ってしまう。
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当時として言いたいことを言っているが、いまの感覚からすると言ってはいけないのではと思うことがしばしば。 あまり共感できなかった。けっこう読み飛ばしてしまった。私の感受性が弱いのかもしれないけれど。
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本のタイトルの通り. 読み始めはトイレは陰があった方がよいということを等々をとうとうと語っていて,正直なんだこの本はと思ってしまったが,急速に西欧化する筆者の時代に日本的な温かみを礼讃した非常に興味深い本であった.
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晩年の山口小夜子が若手パフォーマーとのユニットで朗読していたことを知り、本棚の隅から引っ張り出す。 いやぁ、谷崎、潔癖だわ(いい意味で)。 日本人がもっていたはずの繊細な感性・現代人が失ってしまった感覚を見事に衝いている。 傍線を引いた個所のうちいくつかをピックアップ。 ...
晩年の山口小夜子が若手パフォーマーとのユニットで朗読していたことを知り、本棚の隅から引っ張り出す。 いやぁ、谷崎、潔癖だわ(いい意味で)。 日本人がもっていたはずの繊細な感性・現代人が失ってしまった感覚を見事に衝いている。 傍線を引いた個所のうちいくつかをピックアップ。 「美と云うものは常に生活の実際から発達するもの」 「衣裳と云うものは闇の一部分、闇と顔とのつながりにすぎなかった」 「陰翳の作用を離れて美はない」 「強いて醜さを見ようとする者は、(中略)そこにある美を自ら追い遣ってしまうのである」 「色気は本来無意識のものであるから、生れつきそれが備わった人と、そうでない人とがあって、柄にない者がいくら色気を出そうと努めても、ただいやらしくなるばかりである。器量がよくって色気のない人あれば、その反対に、顔は醜いが、声音とか、皮膚の色とか、体つきとかに、不思議に色気のある人がいる」
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すごく面白かった。 谷崎潤一郎の陰翳礼讃、というキーワードだけで買って、数年積読になっていたものをようやく読んだ。 細雪をほんの数節読んだことがあったので、小説だとばかり思っていたら、日本文化論とでも呼ぶものであるような論説だったので、まずそこに驚いた。 書いてある内容も、これま...
すごく面白かった。 谷崎潤一郎の陰翳礼讃、というキーワードだけで買って、数年積読になっていたものをようやく読んだ。 細雪をほんの数節読んだことがあったので、小説だとばかり思っていたら、日本文化論とでも呼ぶものであるような論説だったので、まずそこに驚いた。 書いてある内容も、これまで自分が考えたこともなかったようなことばかりで、日本と他の国との文化、考え方などを比較して、すべて陰翳に連なるその由来にまで触れられていて、非常に読んで勉強になった。というか、こういう本をこそもっと早く読んでおくべきだった、と思った。 きっと、ここで書かれているようなことを、実地に体験することが、海外留学などでの異文化体験の一つの意義なのだと思うのだけれど、この本を読んだことで、その体験を目的にする必要はなくなったな、と思う。 良い本だった。 160506
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解説で吉行淳之介さんが「日本人の体質に深くかかわり合う「陰翳」というものについてのユニークな意見を述べたものが、この作品である」と書いてあるが(p211)、体質だけでなく、恋愛や厠など風土・文化まで含む、格調高くどこか抜けてる(ユニーク)な読み物だ。 「陰翳礼讃」が発表されてから...
解説で吉行淳之介さんが「日本人の体質に深くかかわり合う「陰翳」というものについてのユニークな意見を述べたものが、この作品である」と書いてあるが(p211)、体質だけでなく、恋愛や厠など風土・文化まで含む、格調高くどこか抜けてる(ユニーク)な読み物だ。 「陰翳礼讃」が発表されてから80年以上が経ち、日常の中での陰翳は消滅の危機にすらあると思われるのだが、日本文明には根深く陰翳文化がインプットされているのかもしれない。今後意識して生活してみよう。
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あちこちでやたら持ち上げられてる本だし、谷崎はむかし何冊か読んで面白かった記憶もあるから、ブックオフで見つけて迷わず購入( ´ ▽ ` )ノ。 なるほど、こういうエッセイ集だったんだね( ´ ▽ ` )ノ。 とにかく、表現力・観察眼に感嘆( ´ ▽ ` )ノ。 文章そのままでも...
あちこちでやたら持ち上げられてる本だし、谷崎はむかし何冊か読んで面白かった記憶もあるから、ブックオフで見つけて迷わず購入( ´ ▽ ` )ノ。 なるほど、こういうエッセイ集だったんだね( ´ ▽ ` )ノ。 とにかく、表現力・観察眼に感嘆( ´ ▽ ` )ノ。 文章そのままでも、ちょっとハイブロウな映像をつければ、すぐNHKの教養スペシャル番組にできそう( ´ ▽ ` )ノ……ってか、既にやってそう( ´ ▽ ` )ノ。 「日本人には真っ白い歯が似合わない(黄ばんで不揃いの方がいい)」とか、何じゃそれ?的な御託・偏った主観も多いんだけどね( ´ ▽ ` )ノ。 スケベジジイだし( ´ ▽ ` )ノ。 同じ日本人論でも、先に読んだ安吾の「堕落論(の最初に載ってたやつ)」と好対照で興味深かった( ´ ▽ ` )ノ。 猫のしっぽへの憧れには大いに共感( ´ ▽ ` )ノ。 しかし、「昔は良かった」「近代化で日本のいいものはもうなくなってしまった」「最近の人のマナーが悪い」云々って、いつの時代にも嘆かれている普遍の愚痴なんだね( ´ ▽ ` )ノ。 2016/03/14
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過去に読んだかどうか思い出せなくて、読んでもやっぱり思い出せない。 しかし、谷崎って、サブカル的な消費ばかりされてかわいそうというか残念というか。とくに「陰翳礼讃」はそういう傾向が強い気がする。 いわゆる文豪と呼ばれる中でも最も常識的で最も普通な感性の作家だと思うんだけど、なんで...
過去に読んだかどうか思い出せなくて、読んでもやっぱり思い出せない。 しかし、谷崎って、サブカル的な消費ばかりされてかわいそうというか残念というか。とくに「陰翳礼讃」はそういう傾向が強い気がする。 いわゆる文豪と呼ばれる中でも最も常識的で最も普通な感性の作家だと思うんだけど、なんでなんだろう。
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