陰翳礼讃 の商品レビュー
陰翳を礼讃するという…
陰翳を礼讃するということは、日本の伝統・文化の象徴そのもの。それをとうの昔に言い表してる谷崎ってやっぱり素敵。
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白さや明るさは我々…
白さや明るさは我々のきれいさの基準になっている。しかし元来これは日本の伝統なのだろうか。「我々の祖先の天才は、虚無の空間を任意に遮蔽して自ら生ずる陰翳の世界にいかなる壁画や装飾にも優る幽玄味を持たせたのである」と谷崎は指摘する。床の間、器、羊羹、果ては厠まで、陰翳の持つ美しさを...
白さや明るさは我々のきれいさの基準になっている。しかし元来これは日本の伝統なのだろうか。「我々の祖先の天才は、虚無の空間を任意に遮蔽して自ら生ずる陰翳の世界にいかなる壁画や装飾にも優る幽玄味を持たせたのである」と谷崎は指摘する。床の間、器、羊羹、果ては厠まで、陰翳の持つ美しさを説明した文章は我々に忘れつつある日本の美を思い出させる。夏の煌々とした照明や冬のイルミネーションに、すっかり馴染んでしまった我々だが、陰翳の美をもう一度生活の中に取り入れるのもよいかも知れない。
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谷崎文学の風景はこの…
谷崎文学の風景はこの著にありです。小説の前に読んでみては!
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日本と西洋について比…
日本と西洋について比較文化的に記しています。ただし学問的に正しいとは言えません。(金ピカ着物は陰影の中で映えるというのは西洋にも当てはまるのでは。朝鮮の影響も無視)分かったうえで読めば面白いです。
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コレを読まないとなに…
コレを読まないとなにも始まらない気がする。
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学問書ではなく読物と…
学問書ではなく読物として読めば面白いです。羊羹、雪隠、袈裟、……。
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高校のころの教科書で…
高校のころの教科書で読みました。陰の美しさや上品さを語っていて、確かに!と、思うところがしばしばありました。日本人ならこの内容がわかるはず。
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ほとんどの日本人が普段は洋服を身につけ、街を歩けば、英字の看板が随所に存在する。そんな日本ではあるが、古くからの生活様式も残っている。多様な文化が混在するこのような生活の中で、私たちはほとんどそのことを意識せずに暮らしている。◆『痴人の愛』 などで知られる、谷崎潤一郎が約七〇年前...
ほとんどの日本人が普段は洋服を身につけ、街を歩けば、英字の看板が随所に存在する。そんな日本ではあるが、古くからの生活様式も残っている。多様な文化が混在するこのような生活の中で、私たちはほとんどそのことを意識せずに暮らしている。◆『痴人の愛』 などで知られる、谷崎潤一郎が約七〇年前に書いたこの作品は、西洋からの影響による日本の生活に関する変化と、それにより失われつつあった日本的美意識を綴ったものである。『陰翳(いんえい)礼賛』という題名の通り、まず谷崎は陰影に焦点を当てる。現在の私たちの生活空間においては、様々な照明を用い、暗い部分を出来る限り少なくするのが一般的である。しかし、かつての日本家屋、そしてその中の生活では、照明器具の発達が十分でなかったこともあるのだろうが、意図的に陰影を作り、それを楽しむという美意識が存在したのだ。谷崎は、京都の料理屋でロウソクの灯の下、漆器に入った椀物を食す、そんな自らの様子を鮮やかに描くことで、物体そのものではなく、それが照明と相まって作り出す陰影の綾こそが美なのだと説き、そして当時すでに失われつつあった日本の美意識をせめて文学の領域には取り戻したいと語る。◆西洋からの影響による日本文化の喪失を憂う谷崎であるが、同時に、不可避的に近代化する生活様式と、日本的な美意識をどのようにして融合させるかを真剣に考察してもいる。文化の喪失を嘆くだけに留まらない、前向きな姿勢に現代の私たちも学ぶべきことがあるはずだ。〈T〉 紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2015年10月号掲載
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まるで愚痴る様に、老人があの頃は良かったと懐古し、その時間の長さに耐え忍びながら聴く若者の気分が味わえる一冊。 しかし煩わしいと思わず、こちらが聴く耳をちゃんと持てるかどうかがこの作品と向き合ううえでのポイントだろう。 それはゴールデンエイジ症候群に近く、現代社会に馴染むこと...
まるで愚痴る様に、老人があの頃は良かったと懐古し、その時間の長さに耐え忍びながら聴く若者の気分が味わえる一冊。 しかし煩わしいと思わず、こちらが聴く耳をちゃんと持てるかどうかがこの作品と向き合ううえでのポイントだろう。 それはゴールデンエイジ症候群に近く、現代社会に馴染むことができない僕自身の目の前に突如としてあらわれた回転鏡ように。 くるくると。 知識や地位を手に入れてみて向き合っても自身の醜さに対面し嫌気がさしてしまい、時間を置いて多少良くなったとおもい、蓋を開けると良いと思った部分がただの老いであったと自覚させられ翻弄させられる。 谷崎の作品は僕たち自身の隠したい面を暴いてくれるが、それに真っ向から耐えうる精神性を誰もが持ち合わせている訳ではないだろう。 かくゆう僕も、また皆さんの同様にたまに回顧的に読み直すがどうしてもじめっとした気持ちに最後はいつもなるからだ。 皮肉なことに。それはまるである種の現実で、もし日本がアイデンティティーを失わずにあり続けたら、、、と簡朴な趣きがある純潔な日本があったのではとありえたかもしれない理想郷を想像させられる。 美しい妄想の世界に没入できれば、谷崎の思う壺だ。
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東洋と西洋の比較という観点から、テーマごとに分析されていて面白い。『文章読本』でもこのような比較が行われていたこともあり、谷崎らしさを感じた。 個人的には、「懶惰の説」「恋愛及び色情」が最も面白かった。
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