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「世間」とは何か の商品レビュー

3.4

51件のお客様レビュー

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2013/03/25
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ちかごろ、群衆論の本を中心に読書していたけれど、 ひるがえって日本の群衆論は? と思ったときにこの本に出会うことができました。 古代から現代までの日本文学における『世間』、『世』、『うき世』などの言葉の使われ方を考察し、日本人の人間関係を浮き彫りにする着眼点は見事です。 社会/個人という軸を発展した西洋と異なり、世間が人の思考や行動を規定してきた日本。 ニュースなんかを見ていても、マスコミは社会的というより、世間を肩代わりしてようにも思えます。 本書の井原西鶴の章では、好色というのは当時、子に恵まれることから奨励される徳だったと述べられていました。現代ではもちろん、スケベとののしられてしまうわけでして・・・。我々がいかに無意識に世間のモノの見方で判断しているかの好例だと思います。 『世間』を対象化しえた個性が軒並み『隠者』型であるのも興味深いです。夏目漱石は学生時代一生懸命読んだ作家のひとりですが、欧米ではあまり評価されていないよう。彼が『世間』という日本独自の問題を扱っているため、西洋の価値観では理解しづらいのかもしれません。 もちろん、内容は素晴らしいですが、金子光晴を知ることができたのもうれしいです。こんな強靭な精神力をもった詩人が日本にいたのか・・・。 次の読書にもつながる一冊でした。

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2013/02/12
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独立した個人の集合体である『社会』ではなく、他人との横並びの繋がりによる『世間』に縛られて、未だその呪縛が解けない日本人。 そこから生ずる無常、生きづらさを、その時代毎の文学から読み解き 歴史・背景を追った一冊。 しかし。。 吉田兼好にしろ、井原西鶴にしろ、夏目漱石にしても どうも著者の『世間論』の読み解き方に対して、腑に落ちない。 合わなかったと言う事に尽きる。

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2013/02/01

アウトロー気取りの文学好きにオススメかもしれない。この世の中の生きづらさについて、この本と一緒に考えると。結構溜飲が下がったりもする。でも結局生きづらいことには変わりないんだけどね。

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2012/12/27

世間と社会(society)は別のもの。個人の尊厳がまずありその集合体としての「社会」に対し、「世間」は他人との関わり合いの中での行動基準で、そこに個人は存在しない。ということが言いたいわけだか、説明はまわりくどいし展開は論理的じゃない。

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2018/11/25

文学を通じて世間という物を分析 世間という言葉は「世の中」とほぼ同義で用いられているが、その実態はかなり狭いもので、社会と等値できるものではない。 自分が関わりをもつ人々の関係の世界と、今後関わりをもつ可能性がある人々の関係の世界に過ぎないのである。 自分が見たことも聞いたこと...

文学を通じて世間という物を分析 世間という言葉は「世の中」とほぼ同義で用いられているが、その実態はかなり狭いもので、社会と等値できるものではない。 自分が関わりをもつ人々の関係の世界と、今後関わりをもつ可能性がある人々の関係の世界に過ぎないのである。 自分が見たことも聞いたこともない人々のことはまったく入っていないのである。世間や世の中という場合、必ず何らかの形で自己の評価や感慨が吐露されていたのである。 これは日本独自のもの 世間には、形をもつものと形をもたないものがある。 形をもつ世間とは、同窓会や会社等。 形をもたない世間とは、隣近所や、年賀状を交換したり贈答を行う人の関係をさす。 世間には厳しい掟がある 1.葬祭への参加に示される、二つの原理がある。一つは長幼の序であり、もう一つは贈与・互酬の原理 2. 世間の名誉を汚さないこと。この背景には「ケガレ」が関係している

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2012/08/14

世間とは人と人の関係の環。信仰の基盤のない日本人にとって世間の基準が個人の価値判断の基準となる。世間は、時に権威的で、排他的で、差別的な存在であり、どんな世間に属しているかが問題になる。日本独特の世間と概念がいつ頃から生まれたのか、万葉集から始まり、大鏡、吉田兼好、夏目漱石、永井...

世間とは人と人の関係の環。信仰の基盤のない日本人にとって世間の基準が個人の価値判断の基準となる。世間は、時に権威的で、排他的で、差別的な存在であり、どんな世間に属しているかが問題になる。日本独特の世間と概念がいつ頃から生まれたのか、万葉集から始まり、大鏡、吉田兼好、夏目漱石、永井荷風などの作品から世間というものについて考察を加えた。吉田兼好と夏目漱石は第3者的な立場から世間というものを批判的にみた「徒然草」、「坊っちゃん」、「吾輩は猫である」は多くの人の共感を得る作品となっている。

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2012/07/07

わずらわしいと感じる人とのつながりの中に世間があり、個人よりも強い世間。その世間に嫌気が差した先人たちから、世間の姿を捉えてみようとする本。 今の日本もそうだけど、欧米の個人の人間関係があってこその社会と、個人を押し殺して優先する世間は全く違うというのは納得した。 昔も今も世間...

わずらわしいと感じる人とのつながりの中に世間があり、個人よりも強い世間。その世間に嫌気が差した先人たちから、世間の姿を捉えてみようとする本。 今の日本もそうだけど、欧米の個人の人間関係があってこその社会と、個人を押し殺して優先する世間は全く違うというのは納得した。 昔も今も世間が嫌いな人はいるんだね。自分の心を代弁してくれてるのかと思った。私は隠居するほどの勇気はないけど。

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2012/03/08

日本独特の「世間」にクローズアップし、仏教や歌、文芸でどのようによって世間がどう捉えられているかについて語られている。

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2012/02/09

ソーシャルネットワークを理解する目的で読んでみた。序章の「親が子供に世間について教えればよいのだが、親自身世間を対象化して教えることができない。何故なら親は自分の経験から自分が関わった世界を知っているにすぎず、そこに普遍的な観点を持ち込むことができないからである」が印象に残った。...

ソーシャルネットワークを理解する目的で読んでみた。序章の「親が子供に世間について教えればよいのだが、親自身世間を対象化して教えることができない。何故なら親は自分の経験から自分が関わった世界を知っているにすぎず、そこに普遍的な観点を持ち込むことができないからである」が印象に残った。古典の章は、私には難しすぎたが、夏目漱石と永井荷風の章は面白く読めました。

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2011/11/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

”ソーシャル”、”世間”、”空気”などのワードを漁っていたところ、この教科書にも掲載されているような阿部さんの「世間」とは何かに行き着いた。 本書は古典的な書籍から「世間」に関する記述を引用し、その時代時代に応じての「世間」とは何かを客観的に捉えようとした大変興味深い内容だった。 個人的な興味としては歴史的な内容(古典系)は少し省き、明治以降(特に漱石)を中心に読んでみた。 前の鴻上さんの書籍でも指摘がされていたのだが、 社会=Societyには前提として個人=Individualがあるという点があったのだが、日本の場合、組織・社会という単位がメインなので、なかなか社会の定義が難しいという点は興味深かった。 複雑系の社会とはいえ、構成要因は昔も今も変わらず、私たち人間であるために、こういった書籍は時系列を経てもなお色あせることなく、その時代に応じて新たな側面で切り開けることもある。 社会と世間では社会学の分野ではあるが、この境界については様々な分野、またアニメなどでもテーマとして取り上げられることがあるので、一読する価値はあるのではないだろうか。

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