龍は眠る の商品レビュー
嵐の晩 家路を急ぐ雑誌記者は1人の少年を拾う事になり そこである事故と遭遇する 人や物の心が読めると言う少年の 心がどんどんすり減っていく それが辛かった 私の心にも龍はいるのかな 何年も積読状態だったけど 宮部さんは安定の面白さだなぁ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家にあったので、何となく読み始めたら、少しずつ引き込まれ読み通してしまった。 高坂さんが織田直也に頭の中で話しかけて、能力を使うことの大変さを実感するシーンが印象に残っている。織田直也の体の負担を理解して、読みながら心が痛くなった。 このお話の終わり方は、ハッピーエンドと言えるのだろうか。 綺麗すぎる終わり方ではなくて、そこがまた現実味があっていいなぁと思った。
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嵐の夜、雑誌記者がヒッチハイカー少年を拾う。マンホールの蓋、流れ込む水で見えない穴、残された小さな黄色い傘。蓋を開ける二人組が見えてしまう力。記者に何通も届く白紙の脅迫状、誘拐のターゲットは、裕福な理事長と結婚した、かつての婚約者。 決闘の記録、サイキック能力を持つ二人の青年…...
嵐の夜、雑誌記者がヒッチハイカー少年を拾う。マンホールの蓋、流れ込む水で見えない穴、残された小さな黄色い傘。蓋を開ける二人組が見えてしまう力。記者に何通も届く白紙の脅迫状、誘拐のターゲットは、裕福な理事長と結婚した、かつての婚約者。 決闘の記録、サイキック能力を持つ二人の青年…で始まるので、いつその冒険活劇がと思っているうち、むしろ能力を持つことの悲哀、生きにくさ、世間からどうみられるかといったことのほうがメインになってきました。
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かなり面白かった。 サイキックの少年2人と、マスコミのおじさん。 おじさんはサイキックに半信半疑ながら、信じたい気持ちもある。 そして事件は起こる。 事件は、少年により最悪の事態は避けられるが。。。 最後、おじさんは少し救われるから良かった。 ハッピーエンドとは言えないけれ...
かなり面白かった。 サイキックの少年2人と、マスコミのおじさん。 おじさんはサイキックに半信半疑ながら、信じたい気持ちもある。 そして事件は起こる。 事件は、少年により最悪の事態は避けられるが。。。 最後、おじさんは少し救われるから良かった。 ハッピーエンドとは言えないけれど。
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<僕にもカエルくらいなら、寝てるかも> 「なあ」 「あぁ?」A男が振り返る。アルコールでその頬は、ぼんやりと紅潮している。 「お前、B子好きやろ」 友人A男は、日頃からB子に対してあからさまに距離を詰めている節があった。その日の飲み会も同様。それを見て、こんな風に口に出...
<僕にもカエルくらいなら、寝てるかも> 「なあ」 「あぁ?」A男が振り返る。アルコールでその頬は、ぼんやりと紅潮している。 「お前、B子好きやろ」 友人A男は、日頃からB子に対してあからさまに距離を詰めている節があった。その日の飲み会も同様。それを見て、こんな風に口に出した事がある。 似たような経験がある方も、いるのではないでしょうか。 反応は「ちげーよ」やったり、「そ、そんなんじゃねーよ」やったり、する。 図星という時もあれば、てんで的外れな時もある。 図星ーー要するに、自分の予想が的中していれば「お前の考えはお見通しだぞ」という、ちょっとした優越感を感じるやろう。 でも、仮にA男がB子に距離を詰めていなかったとしたら、どうやろう。普通なら、分からないはず。 しかし、それでも、心の内が分かってしまったら?それも、身の回り、全ての人のそれが。 例えば、電車で向かいに座っているサラリーマンが、朝からAVをスマホで見ている事が分かったり、となりのデスクに座っている愛想の良い同僚が、内心では僕のことを激しく蔑み、毒付いている事が分かったら。どうやろうか。 、、、そんな物語です。例えがチープ過ぎました、すみません。もっと、シリアスな雰囲気の話です。他人の心が読める少年を軸に、物語が展開します。 耳を塞いだって、他人の腹の底が聞こえてくる。地獄ちゃうか…
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過去の作品シリーズ。第45回日本推理作家協会賞受賞作品、だそうな。 ある嵐の夜、雑誌記者の高坂昭吾は車で東京に向かう途中、 自転車をパンクさせて往生している少年・稲村慎司を拾う。 少年を家に送り届けようと車で進むと、道路に穴があり、洪水のように水が流れ込んでいた。 マンホールの...
過去の作品シリーズ。第45回日本推理作家協会賞受賞作品、だそうな。 ある嵐の夜、雑誌記者の高坂昭吾は車で東京に向かう途中、 自転車をパンクさせて往生している少年・稲村慎司を拾う。 少年を家に送り届けようと車で進むと、道路に穴があり、洪水のように水が流れ込んでいた。 マンホールの蓋が開いていたのだった。 そこに転がる黄色い傘。そして行方がわからなくなった子供を必死に探す声も聞こえる。 子供が落ちてしまった可能性がある中、高坂は雑誌記者として調べを進めるが、 そこで慎司少年が不思議な事を言い出す。 「僕は…人とはちょっと違う力を持っているんだ…。高坂さん、超能力って信じる?」 と。 実際に高坂の過去とマンホールの蓋を開けた若者を特定する慎司。 だが高坂はすぐに信じる事が出来なかった。 そしてこの出会いが、高坂の周囲を慌しくさせていくのだった。。。 今では「宮部みゆき」と言えば、押しも押されぬ売れっ子作家の一人であろうが、 この作品を出した当初はまだまだ新人作家の一人であった。 それでも、この作品のクオリティは素晴らしい。 個人的には宮部みゆきの最高傑作と言ってもいいとさえ感じる。 それ程までに評価する理由の一つは、単純な「超能力モノ」に終わっていない所だ。 超能力を持って生まれてしまったが為に苦悩する姿を、非常にリアルに描写している。 つまり、“超能力者とて一人の人間である”事を鮮明に打ち出しているのだ。 (これは後の『クロスファイア』にも通ずるテーマでもある) 聞きたくもないのに聞こえてしまう。普通の人ならば聞かずに済むような事も、全て聞こえてきてしまう。 そんな状態が幼い頃から続く苦しみ。 それでも前向きにこの能力を活かそうと試みる「稲村慎司」という少年と、 苦しみ抜いた末にその能力を隠す事を決めた「織田直也」という青年。 この2人の描写が絶妙なのだ。 また、この2人以外の登場人物達も非常に魅力的だ。 過去に心の傷を負いながら、慎司や直也に実直に向き合おうとする高坂。 その同僚で最も信頼を置く生駒は、豪快で頭が良く、とても頼りになる。 「超能力を信じる、信じないではなく、そこにある物」として全てを受け入れる慎司の父親。 そして、ある事故が元で声を失ってしまった三村七恵。 高坂と七恵の物語は、この小説のもう一つの読みどころであろう。 さて、物語の冒頭部分で既にわかるように、織田直也はある事件の末に死んでしまう。 それでも、物語自体は非常に救われるような、ある種達成感のある終わり方なので 読後感も非常にスッキリする。 それにしてもこの頃の宮部みゆきは余計な詳細描写が余りなく、とても読み易い。 唯一気になる点としては、何故かサービス業に関わる人間が皆、二言目からはもうタメ口な点だ。 ここだけ違和感。
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サイキック…小さい頃は、憧れてたな。今も変わりないと言えばそうやけど。 でも、自分にはそんな力ないんで、何とか頭で考えて、突き進むしかないんやけどね^^; ここでは、眠れる龍と表現してる。誰でも一頭の龍を飼っていて、凄い力を持っているけど眠っているだけと。 それがひとたび起きたら...
サイキック…小さい頃は、憧れてたな。今も変わりないと言えばそうやけど。 でも、自分にはそんな力ないんで、何とか頭で考えて、突き進むしかないんやけどね^^; ここでは、眠れる龍と表現してる。誰でも一頭の龍を飼っていて、凄い力を持っているけど眠っているだけと。 それがひとたび起きたら、祈る事しかできないと。 起きたら大変な力で、自身を翻弄する。止められない… でも、この話しのように、龍が起きるのは、自身が苦しむかもしれんけど、良心のある、優しさのある人たちだけにして欲しいな。
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30年も前の作品とは知らなかった。直也と真司のとった行動はあれで良かったのか?読んだあと切なくなりました。
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超能力を有した少年と青年と語り口となる雑誌編集者の周りで展開していくストーリー。一見、他人から羨まれるような能力を持つ本人にしかわからない葛藤や苦しみ、それを目の当たりにしていても信じ切れない周辺。結局はなんでも知るよりも、知らない方が幸せな事が多い世の中なのかもしれない。
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超能力者と取り巻く人々が抱く苦悩を描いた作品。描写表現が非常に丁寧で、妙にリアリティがある。本当にこの社会に超能力者が居て、何処かで似た苦悩を抱いているのではないかと。また、超能力関係なく一般的に通じる示唆も読み取れる。特に、超能力者を子に持った父親の想いは、読者全員を唸らせたの...
超能力者と取り巻く人々が抱く苦悩を描いた作品。描写表現が非常に丁寧で、妙にリアリティがある。本当にこの社会に超能力者が居て、何処かで似た苦悩を抱いているのではないかと。また、超能力関係なく一般的に通じる示唆も読み取れる。特に、超能力者を子に持った父親の想いは、読者全員を唸らせたのではないか。
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