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大地の子(4) の商品レビュー

4.5

139件のお客様レビュー

  1. 5つ

    80

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2023/09/30

山崎豊子『大地の子』文春文庫 読了。中国残留孤児の半生を描く大河小説。国共内戦や文革の嵐を背景にその出自に翻弄される。養父はじめ思い溢れた周囲に恵まれ、中日共同の製鉄所建設プロジェクトに携わり、実父との運命的な再会を果たす。戦争孤児として生き別れた妹の境遇が衝撃的。まさに戦禍だ。

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2023/08/17

昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。 “日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ” 文中このような言葉がでてくる...

昔、ドイツ人の学生が、ナチスのホロコーストについて「私たち世代には責任はない。ただ同じ事を繰り返さない責任がある」とインタビューで話していた。 “日本人というのはそれほどまでに怨みを受ける存在なのか”“残留孤児は戦争責任を一身に背負わされる存在だ” 文中このような言葉がでてくるが、一方で「大地の子」を読むと、後の時代の担う責任、贖罪というものをいやがうえにも考えさせられる。 大河映画のエンドロールのように表題が語られる最終頁を読み終えたのは終戦記念日の翌日でした。

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2023/07/11

いつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。 戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう...

いつも通り通勤の往復の電車の中で眠くなっても眼を擦り我慢して読み続けたが、日本に居てのほほんと今を生活している自分にはには想像も出来ない内容の大作で、よくこんな小説が書けたものだと感心する。 戦争、文化大革命は出自が日本人であるがために壮絶な経験を経てきたが、だからこそなのだろう、不利を克服し持ち前の熱心な取り組みで優秀な社会人に成長する。 幼少からの体験や生活は中国そのもので、痰の様に吐き捨てたい経験も中国なんだろう。 だから主人公はあんな事があっても中国から逃げない。 あんな事も自分も中国の一部だからなんだな。 月並みだけど本当に今のこの時代である事に感謝する。

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2023/06/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

陸一心と松本耕次を引き合わせ親子と認識させたのはあつ子の死だった。戦争とそのあとの日中間の軋轢に苦しめられる戦争犠牲孤児とその家族。過去の歴史について深く考えさせられる作品。

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2023/03/12

中国残留孤児の主人公が日中共同製鉄所建設プロジェクトに奔走する話。中国という国の融通がきかないお国柄に呆れるシーンは多々あるものの、そのような困難に何度も立ち向かっていくシーンは非常に勇気づけられる。養父母との関係や実父、妹との再開が主人公への感情移入を促進させられる。最終的にど...

中国残留孤児の主人公が日中共同製鉄所建設プロジェクトに奔走する話。中国という国の融通がきかないお国柄に呆れるシーンは多々あるものの、そのような困難に何度も立ち向かっていくシーンは非常に勇気づけられる。養父母との関係や実父、妹との再開が主人公への感情移入を促進させられる。最終的にどちらを選ぶのか気になるところだったが、タイトル回収にて締めくくる様は納得の一言である。 中国特有の難解な表現は多いものの、ストーリーは圧巻で目を見張る作品です。このような作品は個人的に避けていた節がありますが、また読んでみたい作品の1つです。

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2023/01/15

 全4巻の最終巻。  宝華製鉄の火入れと陸一心の置かれた厳しい運命を描く。火入れの瞬間はまさにクライマックス。そこに至るまでの流れも様々なトラブルがあり、なかなか一筋縄ではいかない事態ばかり。それでもやはり大事業を成し遂げるというのは感無量の一言に尽きる。  そして、陸一心にも決...

 全4巻の最終巻。  宝華製鉄の火入れと陸一心の置かれた厳しい運命を描く。火入れの瞬間はまさにクライマックス。そこに至るまでの流れも様々なトラブルがあり、なかなか一筋縄ではいかない事態ばかり。それでもやはり大事業を成し遂げるというのは感無量の一言に尽きる。  そして、陸一心にも決断の時が訪れる。このまま中国で中国人として生きるか、日本へ戻って日本人として生きるか。  中国残留孤児として生きてきた運命に翻弄されながらも、屈することなく生きてきた陸一心の生き様に胸打たれる。

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2022/12/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

すごい考えさせられる内容だった。 文化大革命とか、初めて知る歴史が多くあった。 最後、一心が日本の父を取るか中国の義父母を取るのか、どっちを取っても、どちらかが悲しむから、どんな結果でも私は納得できない気がすると思っていた。けど、「私は、この大地の子です」と日本の父に一心が言った時に、すっと納得がいった。 すごく納得のいく結論だったし、タイトル回収してて、すごく良いラストだった。 中国で何度も辛い目に遭い、それでもなお中国に住もうと思うルーイーシンの強さ、郷土愛とも違う"大地の子"という言葉でしか表せないものを感じた。 ずっと悲しく辛い場面が続いて、それが取材で聞いた事実を基にした話だと知り、多くの人が苦しんだ過去が日本と中国にあったことを知った。 戦争孤児という言葉は聞いたことはあったけど、どういう意味かもほとんど知らなかった。その戦争孤児について深く書かれていて、日本が犯した罪について知った。

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2022/10/22

戦争孤児となった日本人・松本勝男こと陸一心。 ようやく生き別れた妹・あつ子にめぐり会うことができたが… 松本耕次も中国で孤児となったあつ子の元に辿り着くが… 松本耕次は、陸一心が我が子・松本勝男であることを、陸一心は松本耕次が父であることを知ることに。 『仏壇に線香を1本...

戦争孤児となった日本人・松本勝男こと陸一心。 ようやく生き別れた妹・あつ子にめぐり会うことができたが… 松本耕次も中国で孤児となったあつ子の元に辿り着くが… 松本耕次は、陸一心が我が子・松本勝男であることを、陸一心は松本耕次が父であることを知ることに。 『仏壇に線香を1本、手向けてやってほしい』と松本耕次に言われたことが、陸一心を惑わす… そして、松本耕次の家を訪れ、亡き祖父、母、妹たちに線香を手向けたことで、再び、陸一心は窮地に… やはり、日本人という出自は、一生、陸一心を苦しめるのか… 日本人だからと差別され続けるのか… この許し難い理不尽さはなんなのか… これだけ中国のために尽くしているのに… 中国人以上に中国のために働いているのに… 陸徳志は… 松本耕次は… 2人の父の陸一心への思いに違いはない。 陸一心の中国への思いは… やはり40年間育まれた思いは強い。 陸一心は『大地の子』だ。

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2022/09/17

ずっと気になりつつも読めていなかったが、期待を裏切らない壮大ななストーリー。首相のバックアップも得て取材をし、いいところも悪いところも包み隠しなく、この時代に書かれているのがすごい。

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2022/08/30

大地の子 同僚から読んでみたらと、勧められて重い足取りで読み始める。 スルスルと読み、いつのまにか終わっていた。 文化大革命をここまで克明に書けるものなのか。 日本人が。 知らずに今までいた自分が、情けなくなる。 作者の作品への熱さがこの傑作を作ったのだろう。

Posted byブクログ