ペドロ・パラモ の商品レビュー
読み進めていくうちに…
読み進めていくうちに、さまざまな人々が異界から語りかけてきていることに気付きます。コンパクトな内容に、複雑な内容がギッシリと詰まっている一冊です。
文庫OFF
第32回ビブリオバトル〜明石の陣〜テーマ「ふしぎ」で紹介された本です。オンライン開催。 2021.5.13
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すらすら読める本ではない。読み始めは当然のようにストーリーを追おうとしていたけど、早い時点で諦めた。なんせ、語り手がころころ変わるし、時間も脈絡なく切り替わるのだから。でも、それぞれの語り手の語りに身を委ねていたら、なんだか心地よくなってきてしまった。巻末の解説を読んで、なるほど...
すらすら読める本ではない。読み始めは当然のようにストーリーを追おうとしていたけど、早い時点で諦めた。なんせ、語り手がころころ変わるし、時間も脈絡なく切り替わるのだから。でも、それぞれの語り手の語りに身を委ねていたら、なんだか心地よくなってきてしまった。巻末の解説を読んで、なるほどねーと思い、もう一度読んでみたい気もするけど、ちょっと今は気力が出ない。再読リストに入れておこう。
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1955年に刊行されたメキシコ文学。ある街の、そしてペドロ・パラモという男の盛衰を描いた物語。現在と過去、そして生と死の境を虚ろなものとして、断片を読み進めることで読者の中に物語の「像」を浮かび上がらせる。ふわふわゆらゆら、白昼夢のような本。 適当ででたらめに見えて、精緻に構成...
1955年に刊行されたメキシコ文学。ある街の、そしてペドロ・パラモという男の盛衰を描いた物語。現在と過去、そして生と死の境を虚ろなものとして、断片を読み進めることで読者の中に物語の「像」を浮かび上がらせる。ふわふわゆらゆら、白昼夢のような本。 適当ででたらめに見えて、精緻に構成された小説であり、一度読んで全てを汲み取るのは難しかった。どこかのんびりとした語り口も特徴的で、読む前に持っていた「死者の町」というジメッとしたイメージを乾いた手触りに変えている。 ややネタバレになるが、これは「始まったときすでに終わっている物語」であり、時間が一方通行に進むのではなく、"断片として在る"というこの書き方・感覚は『あなたの人生の物語』に近いと感じた。
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岩波文庫のカバーに書かれた「ラテンアメリカ文学ブームの先駆け」というコピーのせいで、ブームが去って久しい今更読んでもなぁ、、、という感じがしてずっと積読状態だったのをようやく読んでみました。 そういうの抜きにしてすごいやつでした。 とりあえずは、”父親を探してコマラにたどり着いた...
岩波文庫のカバーに書かれた「ラテンアメリカ文学ブームの先駆け」というコピーのせいで、ブームが去って久しい今更読んでもなぁ、、、という感じがしてずっと積読状態だったのをようやく読んでみました。 そういうの抜きにしてすごいやつでした。 とりあえずは、”父親を探してコマラにたどり着いた「おれ」は・・・”、みたいにある意味普通にはじまったかと思うと、時間がきれぎれの無数の断片に散らばってしまう。最初はなんだこれ???と一枚一枚拾って読んでたら、ぼんやりと関係とか因果とかおぼろげに見えてくる。ふむふむおもしろいぞこれ、と思いながら終わりまでたどり着いて、ん?そういやなんか色々見覚えあるぞ、と思って最初に戻ると、完璧な円環構造にあることに気がついて、そのまま2周目突入。 2周目になるとさらにあれはこれだったんだ!!という発見がありますます面白い。しかも文庫本で200ページ程度、という2周繰り返すのにちょうどよい長さ。 でも技巧とか手法が前衛的で面白い、とかそういうことじゃなくて、誰もかれもが死んでいる神話的な世界においてはこう語られることに特段違和感を感じない。欲望と暴力に彩られながらも同時に詩情に満たされるというなんとも不思議な世界観にひたれます。 なんかひさしぶりにガツンとくるやつでした。 あと最初は絶対ネタバレなしで読んだ方がいい。”おれ”が実は・・、ていうびっくりは味わうべき。
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1回読んだだけではわからない小説。 メキシコ人の死生観について知るために読んだ一冊でしたが、この生死が混在している感じ、中々独特でした。 解説にあった、メキシコ人は打ち上げ花火のようだというフレーズが駆け巡る小説でした。
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文体と物語、過去と未来、生と死、全てが渾然一体となっている。独特の読み味に病みつきになって、いつまでもコマラから出たくなってしまう恐れがあるので注意。
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2021年1月10日(日)読み始め、1月22日(金)に読み終える。本文を読み終えたのは21日(木)。 魔術的リアリズム。台詞がだれのものなのかわかりにくくて読みづらい。何度か読み返さないとなかなかわからないのかもしれないなと。
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70の断片からなる夢というか悪夢のような小説。 生者と死者が入り混じり、過去と現在を行ったり来たりする。 墓の中で話をする死者たちは、どこか折口信夫「死者の書」の大津皇子の声のよう。湿った土とひんやりとした石に響く声。 実際の話、そんな声が聞こえるかと聞こえない。 けれど、生...
70の断片からなる夢というか悪夢のような小説。 生者と死者が入り混じり、過去と現在を行ったり来たりする。 墓の中で話をする死者たちは、どこか折口信夫「死者の書」の大津皇子の声のよう。湿った土とひんやりとした石に響く声。 実際の話、そんな声が聞こえるかと聞こえない。 けれど、生きている身近な人の声は聞こえるかといえば、それも怪しい。 できるだけ、そのような声に反応できる耳と感性は持っていたいと思う。
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生きた人間と幽霊なのか、それとも現在と過去なのか、それらが殆ど混じり合って描かれている。普段我々が見ていると思っている世界と、『ペドロ・パラモ』の世界には大きなズレがある。生と死が殆ど区別されていないと思いきや、死の瞬間だけは確実に存在し、時系列を無視して何度も描かれる。幽霊の漂...
生きた人間と幽霊なのか、それとも現在と過去なのか、それらが殆ど混じり合って描かれている。普段我々が見ていると思っている世界と、『ペドロ・パラモ』の世界には大きなズレがある。生と死が殆ど区別されていないと思いきや、死の瞬間だけは確実に存在し、時系列を無視して何度も描かれる。幽霊の漂う世界の中で、死だけがたまらなくリアルだ。
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