男たちへ の商品レビュー
塩野ねえさまによる、「男性論」。 先日読んだ、哲学者の中島義道氏によれば、日本一、いや、日本唯一の女性による男性論(「女の好きな10の言葉」より)なのだそうである。 それでは、カエサルのごとき格好イイ男をたくさん知っていそうな塩野ねえさまにご教授いただこうかと読み始めた次第である...
塩野ねえさまによる、「男性論」。 先日読んだ、哲学者の中島義道氏によれば、日本一、いや、日本唯一の女性による男性論(「女の好きな10の言葉」より)なのだそうである。 それでは、カエサルのごとき格好イイ男をたくさん知っていそうな塩野ねえさまにご教授いただこうかと読み始めた次第である。 それにしても、交友関係が華やかである。 イタリアの首相から映画監督などなどとつきあいがあり、インテリ男伊達男など、歯牙にもかけない女ぶりは、読んでいてスカッとするほど。 これだけの女性を射止めた男性は、一帯どんな方だろうと俄然興味が湧くのだが、確かめない方がいいのかも知れない。 元々イタリアの服飾関係についてを日本に知らせる仕事をしていた関係か、ファッションにも一个言在る。 その塩野氏が選ぶ男の条件は「タキシードの似合う男」なのだそうだ。 「ジーパンの似合う男がは必ずしもタキシードが似合うとはかぎらないが、タキシードの似合う男は絶対にジーパンも似合う」のだからということ。そして、タキシードの似合う男は、遊びでジーパンをはける。その遊びこそ、ということなのだ。 そして、「装うとは、着る人間がどのような個性を生きたいかで決まる」と。襟を正したくなる。 さて。女が装うといえば、服だけではなく、アクセサリーである。日本はアクセサリーが発達せず、髪飾りがその代用だったが、洋服の着用で一般的になった。プレゼントにほしがるものといえばその代表の一つだが、ぜひ、男はアクセサリーを贈るべきだというのである。 その理由はただ一つ、肌への快感である。 書籍をたくさんくれる「良質な」男たちに恵まれていた塩野氏だが、その贈り物は、頭脳への快感に過ぎない。 とある旅の途中、男友達との食事中に話しかけてきたイタリア人男性のセールスマンは、男友達に断った上で、商売の残りで悪いのだが、と、スカーフと腕輪をくれた。そのとき直接手渡しするなどというつまらぬまねせず、彼の手で直接腕輪ははめられ、スカーフはふわりと首に巻かれたのである。 日本人の男にこんな事ができるものかと期待はしないが(失礼!)、たまにはこういうことも、あっても良いかな、なんて、心のどこかでは考えているんじゃないかな、ね、みんな。 しかし、女はどんなものでも贈ってほしがるので、贈れるものは贈ったらいい、そうしたら、贈られたものに応じていくらでも変身して見せまする、とは、塩野氏の弁。 そうか。イイ女には、贈り物をちゃんと受け止められることも必要なのだな、と、その高さにほうけてしまうのです。 さらに良い嘘がつける男。 とある雑誌に書き物をしていた塩野氏。まだ、駆け出しの頃、編集長が塩野氏に向かって言った。 「よし、来年は、吉行淳之介とキミで行こう」 新人作家に向かって言ったこのことばは、もちろん、塩野七生本人の前でしか言えないことばである。他の作家に失礼だし、読者だって「だれ?」ともなってしまう。 塩野氏は、執筆中、ずっと頭から離れずにいつつも、一言も他言しなかった。 女には、秘密にする、というルール、それが守れれば、素敵な嘘を言ってもらえるのかも知れない。 男女不平等のすすめでは、女が男に上手に甘える様が論じられている。 イイ男には、兄事したり私淑したりする方がよほど豊かだ、そして、精神上も、よい。励ましたり叱ったりして貰いたいときに、自分と同等では都合が悪い、という。 それが男の立場だとしたら、男たちは「母」に求めるのかも知れない。 しかし、女にとって、父親とは不在になりがちで、「マザコン」を聞くのより「ファザコン」を聞く方が少ないのが常だから、そうした役目を男に求めるのだろう。同等よりちょっと上、が居心地がいいのもうなずける。 もちろん、権利上のことは言ってませんからね。 読んでいくと、塩野氏は、恋多き女なのかな、という印象がある。少なくとも男友達は多い。そして、少しの官能も感じられない男では、つまらなさを感じるのであろう。 「男が女に魅力を感じるとはつまり、抱いてみたいと思うかであり、女が男に魅力を感じるのも抱かれたいと思うかどうか」 いくつになっても、塩野氏のような余裕のあるイイ女には、成れそうにないな、と男性論を読んだはずなのに、ほおづえをついて、ため息がこぼれた。 他サイトより転載
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再読。 塩野七生を一言でいうとインテリジェンス。 ワインでいうと辛口の白。辛口だが後味はすっきりしている。 果たして、彼女のお眼鏡に適う男は日本にいるのだろうか。 太刀打ちできる本物の騎士道精神をもった男は欧州あたりにはいるのだろうが、この小さな島国で探すのは。。。 はじめから教...
再読。 塩野七生を一言でいうとインテリジェンス。 ワインでいうと辛口の白。辛口だが後味はすっきりしている。 果たして、彼女のお眼鏡に適う男は日本にいるのだろうか。 太刀打ちできる本物の騎士道精神をもった男は欧州あたりにはいるのだろうが、この小さな島国で探すのは。。。 はじめから教養を持った人なんていない筈だ。 男から色々学び吸収するのではなく、自分はあらゆることをどん欲に学び、それを男に教えていく。 なんと凛としたかっこいい女であろう。 これからは、教養を持った女が男を育てるのだ。 私はそんな女になりたい。
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説教に飢えてる若者にはいいのかもしれないが、中年が読むにはちょっと気負いがあってイタイ内容だなあと思いつつも読み進めていたら、「上手に年をとるには、利口ぶった女の男性論など読まない事」との記載があり納得。 30年前の連載だし、著者もまだ若くて血気盛んだったかもしれないが、なんか面...
説教に飢えてる若者にはいいのかもしれないが、中年が読むにはちょっと気負いがあってイタイ内容だなあと思いつつも読み進めていたら、「上手に年をとるには、利口ぶった女の男性論など読まない事」との記載があり納得。 30年前の連載だし、著者もまだ若くて血気盛んだったかもしれないが、なんか面倒な人だなあって気がするし、ちょっと今の時代には無理がある内容のような気も。
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(1995.06.04読了)(1993.02.10購入) (「BOOK」データベースより) インテリ男はなぜセクシーでないか?浮気弁護論、殺し文句についての考察。男の色気、嘘の効用について。成功する男、わが心の男。腹が出てきたらもうおしまいか等々、塩野七生が男たちに贈る辛辣にして...
(1995.06.04読了)(1993.02.10購入) (「BOOK」データベースより) インテリ男はなぜセクシーでないか?浮気弁護論、殺し文句についての考察。男の色気、嘘の効用について。成功する男、わが心の男。腹が出てきたらもうおしまいか等々、塩野七生が男たちに贈る辛辣にして華麗、ユーモアと毒にみちた54章の「男性改造講座」。若者から老人まで、男が本当の大人になるための最良のバイブル。 ☆塩野七生さんの本(既読) 「神の代理人」塩野七生著、中公文庫、1975.11.10 「サロメの乳母の話」塩野七生著、中公文庫、1986.01.10 「海の都の物語(上)」塩野七生著、中公文庫、1989.08.10 「海の都の物語(下)」塩野七生著、中公文庫、1989.08.10 「コンスタンティノープルの陥落」塩野七生著、新潮文庫、1991.04.25 「ロードス島攻防記」塩野七生著、新潮文庫、1991.05.25 「レパントの海戦」塩野七生著、新潮文庫、1991.06.25 「男の肖像」塩野七生著、文春文庫、1992.06.10
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男について、著者の歴史観、ファッション観、から語られている。基本的に著者の主観に基づいて、私見が述べられているため、賛同できない点も多々あるが、自分のスタイルを持ち、教養漂う語り口は、好き。 一日のうちのホットする時間である就寝前に読むのが望ましい。
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バッサバッサと鋭い切り口で書かれたエッセイ集。 「男たちへ」と男性に向けたメッセージをまとめたものだが、女性にも参考にできる部分は大いにある! もう10年以上も前に発行された本であるにも関わらず、全く古い印象を感じなかった。それはどんなに年月が経っても人間が「美しい、素敵だ、」と...
バッサバッサと鋭い切り口で書かれたエッセイ集。 「男たちへ」と男性に向けたメッセージをまとめたものだが、女性にも参考にできる部分は大いにある! もう10年以上も前に発行された本であるにも関わらず、全く古い印象を感じなかった。それはどんなに年月が経っても人間が「美しい、素敵だ、」と感じるコアな部分は変わりないからなのかもしれない。
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前半は理屈っぽくて「塩野七生モテない疑惑」を持ちながら読み進めていたものの、後半になって方の肩が抜けたというか色っぽく面白くなった。塩野さん自身に何か色っぽい事象が起きたんだろうか。
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初出誌『花椿』1983年6月号〜1988年1月号 単行本 1989年1月 文藝春秋刊 1993年2月10日 第1版 読み応えのある塩野流『男性論』。54章もあるが、一つ一つは短いエッセイなので、好きな所から少しづつ読めばいい。痛快。
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粋であること。 ・自分のスタイルを持つ。 ・1パーセントの真実と意志とマナーのある嘘 ・声に出すことで誠になる嘘 ・女性には、贈れる物は何でも贈ったら良い
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