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鍵のかかった部屋 の商品レビュー

4.1

50件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

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2014/11/02

上手く感想が書けない本だ……疲弊。 分かるような分からないような。やっと解りかけたと思ったらス〜ッと離れて行ってしまう、まるでこの本自体がファンショーのよう。自分にとって難しい本を読む時は奥歯を噛み締める癖があるので、これを読んでいる数日間はずっと頭痛。おまけに主人公とファンシ...

上手く感想が書けない本だ……疲弊。 分かるような分からないような。やっと解りかけたと思ったらス〜ッと離れて行ってしまう、まるでこの本自体がファンショーのよう。自分にとって難しい本を読む時は奥歯を噛み締める癖があるので、これを読んでいる数日間はずっと頭痛。おまけに主人公とファンショー、二人の妻となるソフィーの事をグルグル考え続けていたので気持ちが塞いでいた。そうまでして通勤時間に読書して何か良いことあるのか……?とか。 親友ファンショー。少年時代のカリスマ。「僕」にとって太陽の様な存在。崇拝していた。しかし最愛の親友には、僕には見せない部分がある。イメージするのは鍵のかかった部屋。彼の全てが自分の物にならないのなら、憎み、遠ざける。彼の代わりに彼の周りの人間を自分のものにする。そして自分の中から彼になってしまいたいという隠れた欲望。主人公の暗い感情は私にも覚えがあるものだ。 自分自身になるために、死に向ってでも書かずには居られなかったファンショーと、書くのを止めて自分自身を取り留めた「僕」。どう受け止めればいいのかまだよく分からない。しかも読み終わってから「ニューヨーク三部作最後の作品」とある事に気が付いて呆然……。それぞれ独立した作品とはいえ……ポール・オースター読むの初めて(恥かしい)だから失敗してしまった。 好きだとは思えないけど引力のある作品だった。ニューヨーク三部作の他の作品、「ガラスの街」、「幽霊たち」も読もうと思う。

Posted byブクログ

2014/08/31

「僕」と「ファンショー」という親友同士の関係性を深く追求する物語。 離れて暮らしていても、お互いに愛情、嫉妬、信頼、憎悪…さまざまな感情を持ちつつお互いに深く理解し影響を与え続ける。 彼らがひとつの頭と体を持った1人の人間だったら良かったのに…そのくらい彼らは近かったんだと思いま...

「僕」と「ファンショー」という親友同士の関係性を深く追求する物語。 離れて暮らしていても、お互いに愛情、嫉妬、信頼、憎悪…さまざまな感情を持ちつつお互いに深く理解し影響を与え続ける。 彼らがひとつの頭と体を持った1人の人間だったら良かったのに…そのくらい彼らは近かったんだと思います。 だからこそ「鍵のかかった部屋」があったんですね。

Posted byブクログ

2014/05/18

三部作の他の二作と同様、不思議な内容だった。不思議と言ってもフワフワしたものではなくて重い夢のような。どこまでが事実でどこまでが妄想なのか、すごく混沌としていて、黒に近い灰色なイメージ。 日常には体験できないグレーな不思議な世界を体験できるという、小説の醍醐味を味わえた。

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2012/10/28

先週読了。 体調不良でしんどい時に読んだ。 もーやばいくらい なんか色々と考えこんでしまった。 自己同一性は 奇跡とも言いえる 物語り的偶然の 複雑な積み重ねにより 成り立っている。 誰かの不在に、 その積み木はバランスを失い、 少しずつ少しずつ、 同一性は霧散していく。 ...

先週読了。 体調不良でしんどい時に読んだ。 もーやばいくらい なんか色々と考えこんでしまった。 自己同一性は 奇跡とも言いえる 物語り的偶然の 複雑な積み重ねにより 成り立っている。 誰かの不在に、 その積み木はバランスを失い、 少しずつ少しずつ、 同一性は霧散していく。 消え去りしその者が 誰だったのかすらわからなくなり、 「鍵のかかった部屋」の 向こうに幽閉されてしまったとしたら・・。 晩秋の、底なしの暗夜に 「神秘的な孤独」を追体験するのも良いかも。

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2012/10/23

なんだろうなぁ、自己と他己の関係性であるとか、言葉が持つ力とか意義とか。 著者の作品に共通した不思議な読後感。

Posted byブクログ

2012/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ニューヨーク3部作の最後の作品。オースターは作家を書くのが好きだな。色んな仕事をしてきた人なのに、本気の仕事は作家のひとなんだと思う。村上春樹さんの作品に似てる。どっちが先かはちょっとすぐにはわからないですけど。鍵のかかった部屋は最後のさいごにでてきます。が、実際はかかってたのかな??鍵じゃなかった気がする。ので、他のものをあらわしてるのか…単に閉じた部屋なのか…なんとゆーか、ファンショーは主人公自身の影になっていたのかな、と思いました。

Posted byブクログ

2012/08/08

いやー、面白かった!さすが、オースター。有名なニューヨーク三部作の中の一冊です。 物語は最初から最後まで面白くて一気に読めちゃう。終わり方などは色々な意見があると思うが個人的には良い終わり方だと思った。 そして、文章を書くことの孤独や自己と他者の境界など面白いものの考え方、に触れ...

いやー、面白かった!さすが、オースター。有名なニューヨーク三部作の中の一冊です。 物語は最初から最後まで面白くて一気に読めちゃう。終わり方などは色々な意見があると思うが個人的には良い終わり方だと思った。 そして、文章を書くことの孤独や自己と他者の境界など面白いものの考え方、に触れることができてとても読み応えがありました。

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2012/06/29

「バトル・オブ・ブラジル」の訳者つながりで読んでみました。 自己とは環境や他者に翻弄される、いかに不安定な存在なのかということを考えさせられると同時に、話の展開にグイグイ引き込まれる。 「とにかく読んでみて」としか言えません!

Posted byブクログ

2012/10/12

幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。不思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された妻ソフィーを愛するようになる。だがある日、「僕」のもとにファンショーから一通の手紙が届く。 ―作品紹介より 「僕」は決して手の届かないファンシ...

幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。不思議な雰囲気をたたえたこの小説の出版に協力するうちに、「僕」は残された妻ソフィーを愛するようになる。だがある日、「僕」のもとにファンショーから一通の手紙が届く。 ―作品紹介より 「僕」は決して手の届かないファンショーを求め、時に大きすぎる存在の彼を憎む。 ファンショーと「僕」は、同一人物ではありえないんだけど、この物語の中では(というかそもそも)自己と他者の境界はあいまいなんだ。 “鍵のかかった部屋は「僕」の頭蓋骨の内側にあるのだ。” 結局ファンショーは「僕」だったんだと思う。 難しかったけどp74を読み返してこの物語が少し分かった気がした。 “暗闇だけが、世界に向かって自分の心を打ち明けたいという気持ちを人に抱かせる力を持つ。そして、そのころ起こったことを考えるとき、ぼくをいつも包み込むのは、まさに暗闇なのだ。暗闇について書くには勇気がいる。だがそれについて書くことこそ、暗闇から逃れうる唯一の可能性であることを僕は知っている。けれどたとえ書くことができたとしても、ぼくが暗闇から逃げ切れるかどうかは疑わしい。たとえ真実を語りおおせたとしてもである。終わりのない物語は永久に続くほかない。終わりのない物語の中にとらわれたものは、だから、自分の役割が演じつくされる前に死んでいかなければならない。僕の唯一の希望は、ぼくがこれから語る話に終わりが訪れてくれればということだ。暗闇のどこかに出口を見つけ出せればということだ。この希望を僕は勇気と定義する。しかしその希望に根拠があるかどうかは、全く別の問題である。”

Posted byブクログ

2012/06/01

言葉がない。もし人に薦めるとしたら「とにかく読めば分かるから読んで!」としか言いようのない作品。 終盤の主人公と彼の息子の会話が素晴らしい。陰鬱な物語のなかにこの会話があることで、微かな希望が見られるように思う。そして、ラストをどう判断するかは読者しだいだろうと思う。このラストも...

言葉がない。もし人に薦めるとしたら「とにかく読めば分かるから読んで!」としか言いようのない作品。 終盤の主人公と彼の息子の会話が素晴らしい。陰鬱な物語のなかにこの会話があることで、微かな希望が見られるように思う。そして、ラストをどう判断するかは読者しだいだろうと思う。このラストも見事。

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