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葬儀の日 の商品レビュー

3.9

36件のお客様レビュー

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2009/10/04

松浦文学の不思議な世界を覗いたような気がします。「葬儀の日」の中にある、大局的な自分の生ける時も死ぬ時も常に隣り合わせ、対岸のように描かれています。 個人的には「肥満体恐怖症」が面白かったです。あんなに憎んでいた肥満体の母親を実は愛していた……という結末なのですが、ここまで行き着...

松浦文学の不思議な世界を覗いたような気がします。「葬儀の日」の中にある、大局的な自分の生ける時も死ぬ時も常に隣り合わせ、対岸のように描かれています。 個人的には「肥満体恐怖症」が面白かったです。あんなに憎んでいた肥満体の母親を実は愛していた……という結末なのですが、ここまで行き着く流れが面白いのです。夢中になって貪りました。

Posted byブクログ

2009/10/04

「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の3つを収録。 「葬儀の日」は葬式に雇われて泣く『泣き屋』と 同様に葬式に呼ばれて笑う『笑い屋』の物語。 主人公の泣き屋の女の子と笑い屋の女の子は お互いを自分の片割れだと感じる。 大人たちはうまく距離を取らないと破滅するぞと言うが 2人は...

「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の3つを収録。 「葬儀の日」は葬式に雇われて泣く『泣き屋』と 同様に葬式に呼ばれて笑う『笑い屋』の物語。 主人公の泣き屋の女の子と笑い屋の女の子は お互いを自分の片割れだと感じる。 大人たちはうまく距離を取らないと破滅するぞと言うが 2人はブレーキを踏むことなく お互いのピースがぴったりと当てはまるように しっくりとくる関係の中で1つになることさえ望む。 そんな中で笑い屋の女の子が死ぬ。 最後にこの2人が1つに結合されるであろうことを予感させ 物語は終わりを迎える。 人生に自分の片割れがいたとして もしその人と結合してしまったら 世界は自己完結してしまうのかもしれない。 あえてその人と結合せずに お互いが長く生きることをよしとするのもよいだろう。 だけど僕は主人公の2人のような生き方が羨ましい。 一瞬で弾け飛ぶような臨界点ギリギリの密度に 僕は長く生きることよりも魅力を感じてしまう。 この物語では双方が描かれていて どっちがいいとか悪いとか白黒つけてないのもいい。 たぶんそれは好みの問題だろう。 「乾く夏」がこの3つの物語の中で一番好きだった。 年頃の少し感受性が鋭い女の子の物語で リストカットしちゃったり心中したがったり 本気かどうかは分からないにしても 友達に刃物を向けて襲いかかったりするんだけど 命のギリギリのところでないと 人と繋がってる感じがしないのは 僕もなんとなく分かるなぁ。 あまりにも強い経験をするとある種の耐性が出来るから 日常の範囲内での刺激では感じられなくて そこから一線を越えないといけなくなるんやろな。 物語の対象が大学生の子たちなので 表現する方向が少女的な感じやけど 内側に潜んでるのはSM的なもののような気がする。 肉体的にではなく精神的に繋がることをよしとする感じ。 肉体も精神もバランスが必要やけど 僕は内的なものが好きなので こういう内面に切り込むものは好みだった。 「肥満体恐怖症」は母親が太っていたために 太っているというだけで人を嫌いになる女の子の話。 でもそこには死んでしまった母親に対する罪悪感があって その内面的な葛藤にさらされている。 最後には主人公の肥満を嫌う心が陵辱されるんやけど そこで主人公はある種の解放を得ることになる。 ってか、感想を書いてて思ったけど この本って物語の体裁は全部青春を描いているけど 裏側の内面性は全部がSM的なもののような気がしてきた。 そういう作者なんかな・・・(笑)。

Posted byブクログ

2009/10/04

告白すると、私は小説家になりたかったのだが、コレを読んでその夢を半ば諦めた。 19の小娘(失礼)がこれほどまでに完成された文章を書くなんて信じられなかった。女性の作家にありがちな「描きすぎ」がなく、抑制された端正な文章と構成。とうてい到達できない領域だと思った。

Posted byブクログ

2009/10/04

刃物のごとく煌めく若い感性! 20歳でこれを書いたなんてすごい、と思ったけどその年齢でなければ書けない世界。これ以上に青くても、これ以上に女でも、この世界は成立しなかっただろう危うさがまた良いです。 最近の作品も読んでみたい。

Posted byブクログ

2009/10/04

葬儀での「泣き屋」と「笑い屋」。 これが処女作というのはスゴイ。 もう購入して10年以上、何回も読んでるけど、うーん難しい・・・。

Posted byブクログ

2009/10/04

「葬儀の日」は初期作品らしく硬い。「乾く夏」は松浦作品の原点といった感じか。「肥満体恐怖症」は水木のキャラが印象的だが、母親の問題を絡めてくるのはありがちか。

Posted byブクログ