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葬儀の日 の商品レビュー

3.9

36件のお客様レビュー

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男でも女でもなく、ホ…

男でも女でもなく、ホモ/ヘテロ・セクシャルでもなく、単純な「性」や「人間」について興味のある人は是非松浦氏の作品を読むべき。表題作の「葬儀の日」は一見支離滅裂風の文体が少々、J・ジョイスに似ているようなそうでもないような…ものすごく(色々な意味で)「文學界」の審査員が好みそうな内...

男でも女でもなく、ホモ/ヘテロ・セクシャルでもなく、単純な「性」や「人間」について興味のある人は是非松浦氏の作品を読むべき。表題作の「葬儀の日」は一見支離滅裂風の文体が少々、J・ジョイスに似ているようなそうでもないような…ものすごく(色々な意味で)「文學界」の審査員が好みそうな内容です。個人的には「肥満体恐怖症」が一番好み。

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表題作の『葬儀の日』…

表題作の『葬儀の日』は第八十回芥川賞候補作である。題名と内容の落差に驚いた。

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「葬儀の日」「乾く夏…

「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の三つの短編が収録されています。「葬儀の日」以外の二つはまぁまぁ面白かったですが、「葬儀の日」は理解不能でした。

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2024/06/03

短編三作品を収録しています。 二つ目の「乾く夏」は、幾子と彩子という二人の女性の関係をえがいた作品で、『ナチュラル・ウーマン』や『セバスチャン』など、のちの著者の作品へと発展していく兆しが感じられます。 いわばこれらの作品から、具体的な人間関係をあつかった内容から具象性をそぎ...

短編三作品を収録しています。 二つ目の「乾く夏」は、幾子と彩子という二人の女性の関係をえがいた作品で、『ナチュラル・ウーマン』や『セバスチャン』など、のちの著者の作品へと発展していく兆しが感じられます。 いわばこれらの作品から、具体的な人間関係をあつかった内容から具象性をそぎ落としたものが、表題作である「葬儀の日」といえるのかもしれません。子の作品では、葬式に雇われて泣く演技をする「泣き屋」と、笑う演技をする「笑い屋」の二人の女性が登場しますが、彼女たちの関係は作中で一つの川の右岸と左岸にたとえられており、「二つの岸がついに手を取り合った時、川は潰れてしまってもはや川ではない。岸はもう岸ではない。二つの岸であった物は自分がいったい何者なのかわからなくなってしまう」と述べられています。 「肥満体恐怖症」は、主人公の女性のトラウマという、わかりやすすぎる絵解きが作品内でおこなわれているところに、すこしもの足りなさを感じてしまったものの、ブラック・ユーモアに通じるようなおもしろさのある内容でした。著者の代表作といってよい『親指Pの修業時代』と共通するテイストの作品だと思います。

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2023/09/22

見えないものと見えるもの の本の中で紹介されてた。 泣き屋を仕事にしてる人、 葬儀の時にさめざめとなく人。 葬儀の悲しみの盛り上げ役だそうだ。 そのくだりだけで読んでみたくなった

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2021/09/02

「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の3篇。第一作品集。 文学とは有難いもので、普通では経験出来ないことも擬似体験させ、 遭遇しがたい場面にも、居合わせたかのごとく、想像力を刺激してくれる。 それがわかれば表題作「葬儀の日」も難解ではない。 若い日には終末的傾向に陥る。人...

「葬儀の日」「乾く夏」「肥満体恐怖症」の3篇。第一作品集。 文学とは有難いもので、普通では経験出来ないことも擬似体験させ、 遭遇しがたい場面にも、居合わせたかのごとく、想像力を刺激してくれる。 それがわかれば表題作「葬儀の日」も難解ではない。 若い日には終末的傾向に陥る。人生悟ったような気がしてしまうので、好んで退廃的になる。 太宰も「晩年」という作品からスタートした。その後太宰はいい作品を多く残した。 「葬儀」とはなにか。自分自身なのか? 「泣き屋」というのは 古典的な職業。聞いた事がある。 「笑い屋」がほんとにあるのか知らないが、「泣き」があれば「笑い」がある人生。 自分の片割れのような「笑い屋」との愛するあまりのいたぶり。 言ってはなんだが、いつも松浦理英子の繰り返し描くところは、 相手を痛めつけ自分自身をも痛めつけている様子、それがすさまじくもうまい。 この本の解説では「精神的SM」といっている。 そして確執もの終わり「笑い屋」に別れた日、それが葬儀の日。 奥深い作品であるので、もっともっと掘り下げたいが、力不足。 「乾く夏」「肥満体恐怖症」の方がわかりやすいかもしれない。

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2020/07/17

面白かったです。 愛だの恋だのではない、けれどそれより濃密な関係で、直接性的なことはなくても、なんだか性的に密でした。 こうまでなれる人に出会えたことは幸せでもあり苦しみでもあり…でも知らなかった頃にはもう戻れない。 「乾く夏」が好きでした。「肥満体恐怖症」は、わたしもこの恐怖症...

面白かったです。 愛だの恋だのではない、けれどそれより濃密な関係で、直接性的なことはなくても、なんだか性的に密でした。 こうまでなれる人に出会えたことは幸せでもあり苦しみでもあり…でも知らなかった頃にはもう戻れない。 「乾く夏」が好きでした。「肥満体恐怖症」は、わたしもこの恐怖症は持ってる気がするので、ラストにゾッとしました。嫌悪するのは、意識してるってことなのだろうし。 一読ではまだ掴みきれていないところがたくさんあるだろうので、また読みます。

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2019/08/25

読後、心に何かがずしっとのしかかるような感じ。収録の3編ともに読み応えある作品。どれも主人公にひと癖あり設定も変わっているが、心の中の表裏という感じのテーマは似ている気がする。 『葬儀の日』 泣き屋、笑い屋という変わった職業、これだけで引き込まれるが内容は自分には難解…心の中の...

読後、心に何かがずしっとのしかかるような感じ。収録の3編ともに読み応えある作品。どれも主人公にひと癖あり設定も変わっているが、心の中の表裏という感じのテーマは似ている気がする。 『葬儀の日』 泣き屋、笑い屋という変わった職業、これだけで引き込まれるが内容は自分には難解…心の中の感情を擬人化してるなんて捉え方もあるかな?笑い屋を失うということは何を意味するんだろう。よくわからないけど独特の雰囲気から「もう一度読みたい」と思える作品。 『乾く夏』 彩子と幾子の関係が補完関係になっているのか。ちょっと理解しにくかった。でも放尿老人がなんだかいい味出してる。 『肥満体恐怖症』 この中では一番読みやすくかった。当初善良に見える唯子の異常さが次第に明らかになる流れは迫力ある。肥満への憎悪を増幅させるために服従する、というのはすごく響いた。

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2019/05/11

「葬儀の日」 後ろ盾を失ってまでひとつの恋に生き続けるのは難しい だからロミジュリは大人と子供の狭間で無茶な綱渡りをして死んだ そのように、純粋な恋はドラマチックなものだが しかしすべての恋路にそのような 悲壮な分かれ道が待ち構えているわけではない 例えば、人に恋しているつもりで...

「葬儀の日」 後ろ盾を失ってまでひとつの恋に生き続けるのは難しい だからロミジュリは大人と子供の狭間で無茶な綱渡りをして死んだ そのように、純粋な恋はドラマチックなものだが しかしすべての恋路にそのような 悲壮な分かれ道が待ち構えているわけではない 例えば、人に恋しているつもりで自分自身に恋をした場合など 「乾く夏」 いつか自由を失う不安によって女たちは繋がっていた 彩子にはリストカット癖があり 幾子には男のちんぽが入らない 切る自由と切らない自由があって、それぞれに意味もなく固執している つまり自由に束縛されているのだが それは結局、彩子と幾子が互いを自らの理想に重ねており 互いの幻滅を恐れているということなのかもしれない 「肥満体恐怖症」 お人好しなもんで周囲から 軽く見られ馬鹿にされ いつもなぶり者にされている という自覚はあるものの 集団生活の秩序を重んじる性格から どうしても過激な態度に出ることができない女子大生 女子寮の密室で3人の肥満した上級生に囲まれて暮らす彼女は やがて母との関係に根ざした肥満体恐怖症と、それにたいする罪悪感を 本質的問題と見誤り 心からハラスメントに屈してゆく

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2015/09/16

 失われた半身に出会ってしまうことを、祝福とするのか呪いとするのか。おそらく、非情な運命の渦中にいるときには、身の上に起こっていることを十全に理解することなど不可能だろう。その「わけのわからなさ」が文体から伝わってくる。人と人とが理解しあう、というあたたかさはまるでない。なにがあ...

 失われた半身に出会ってしまうことを、祝福とするのか呪いとするのか。おそらく、非情な運命の渦中にいるときには、身の上に起こっていることを十全に理解することなど不可能だろう。その「わけのわからなさ」が文体から伝わってくる。人と人とが理解しあう、というあたたかさはまるでない。なにがあるのかというのも明確につかめない。  祝福としなければ、やっていかれないではないか。やるせなさが心地よい。  

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