1,800円以上の注文で送料無料

葬儀の日 の商品レビュー

3.9

36件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/09/16

 失われた半身に出会ってしまうことを、祝福とするのか呪いとするのか。おそらく、非情な運命の渦中にいるときには、身の上に起こっていることを十全に理解することなど不可能だろう。その「わけのわからなさ」が文体から伝わってくる。人と人とが理解しあう、というあたたかさはまるでない。なにがあ...

 失われた半身に出会ってしまうことを、祝福とするのか呪いとするのか。おそらく、非情な運命の渦中にいるときには、身の上に起こっていることを十全に理解することなど不可能だろう。その「わけのわからなさ」が文体から伝わってくる。人と人とが理解しあう、というあたたかさはまるでない。なにがあるのかというのも明確につかめない。  祝福としなければ、やっていかれないではないか。やるせなさが心地よい。  

Posted byブクログ

2014/08/25

「セックスとは、時間の停止した次元での横への拡張の意志である。確かにその時点では充実している。しかし、時間の観念のない所での行為だから、進歩も発展もない。その場限りのものだ。だから仲が深まるのは、性交によってではなく、時間の流れの上でのかかわり合いが進行することによってである」

Posted byブクログ

2014/06/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

松浦理英子さんの初期短編集で3編収められている。 「葬儀の日」 お葬式で泣くことを生業としている女性が主人公で、同じ葬式で笑い屋として派遣されてくる彼女との交流を描いた作品。 誰もが持っている泣き笑いという感情を分担させることによって、自分を見つめなおす機会を与えられた。 「乾く夏」 幾子から見た自殺願望のある友人彩子を描いた作品で、まあまあこれは! と思った。 この彩子という人物がアニメ化された某作品のヒロインを彷彿させられた。 光のある終わり方に救われた。この短編集の中で一番好きな作品。 「肥満体恐怖症」 大学生の唯子は一年だけという約束で寮で暮らしている。 しかし、同部屋の先輩三人はみな肥満体。 唯子は嫌いを通り越してデブを憎んでいる。 コメディ的要素を含みつつ、唯子が次第に追い込まれていく心理描写が秀逸だった。

Posted byブクログ

2014/02/13

レビューを見てどうしても読みたくてアマゾンで購入。 3編からの短編集。    葬儀の日 葬儀で泣く泣き屋と、葬儀で笑う笑い屋。 二人はいつも一緒だったのにある日突然笑い屋が来なくなった。 わかりにくいんだけど、その独特の世界観。もう一回読んで理解しようと思う。 乾く夏 自...

レビューを見てどうしても読みたくてアマゾンで購入。 3編からの短編集。    葬儀の日 葬儀で泣く泣き屋と、葬儀で笑う笑い屋。 二人はいつも一緒だったのにある日突然笑い屋が来なくなった。 わかりにくいんだけど、その独特の世界観。もう一回読んで理解しようと思う。 乾く夏 自己中な友達に振り回される主人公。でも振り回されるのは決して嫌じゃない。 私はあまり好きではない作品。 ラストの肥満体恐怖症が一番好き。 単純に面白い。女って怖いなあ。笑

Posted byブクログ

2014/01/16

こんなに素晴らしい文学小説があまり知られていないことにびっくりする。思春期の女子に是非読んで欲しい一冊。

Posted byブクログ

2013/09/25

1978年の文学界新人賞受賞作なので、随分以前のものだ。にもかかわらず、今読んでも十分に斬新な感じはある。シチュエーションを葬儀の場という特殊な状況に設定したこと、さらにはそこに「泣き屋」と「笑い屋」を配したことがひとえに本作を成功に導いたのだろう。もっとも、「泣き屋」と「笑い屋...

1978年の文学界新人賞受賞作なので、随分以前のものだ。にもかかわらず、今読んでも十分に斬新な感じはある。シチュエーションを葬儀の場という特殊な状況に設定したこと、さらにはそこに「泣き屋」と「笑い屋」を配したことがひとえに本作を成功に導いたのだろう。もっとも、「泣き屋」と「笑い屋」は、一つの人格の両側面でもあろう。統合をテーマとした作品が多々見られる中で、あえて統合しえないものとしてそれを描いたところにも独自性があるだろう。ただ、作品の全体が理知的といえばそうだが、あまりにも観念的に過ぎることも否めない。

Posted byブクログ

2013/07/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「葬儀の日」 片割れに関するお話。寓意的。若干わかりづらい。 「乾く夏」 「ナチュラル・ウーマン」にせよ「セバスチャン」にせよ、女性が強い同性に振り回される、という話。 その核がここにある。原点。 「肥満体恐怖症」 肥満体への嫌悪の根源が母との葛藤にある……これはちょっと。

Posted byブクログ

2013/06/21

松浦理英子さんの初期作品集。 挑発的な言葉や言い回しで、読み手をかき乱してどこかへ持っていこうとするような意志を感じた。「若いなあ」ってことなのかもしれない。ものすごく観念的。 「肥満体恐怖症」がわりと印象に残った。ちょっとホラーの趣きも。

Posted byブクログ

2012/10/07

紀伊国屋書店新宿本店の『ほんのまくら』イベントで手にしたのがこの本だった。 その書き出しは『昨日の葬式はとてもうまく行った』。 三編とも死にまつわる小説だった。 表題作が難解で、私には楽しく読むことができなかった。 ふたつめの『乾く夏』は夢中で読んだ。 『肥満体恐怖症』も怖面白...

紀伊国屋書店新宿本店の『ほんのまくら』イベントで手にしたのがこの本だった。 その書き出しは『昨日の葬式はとてもうまく行った』。 三編とも死にまつわる小説だった。 表題作が難解で、私には楽しく読むことができなかった。 ふたつめの『乾く夏』は夢中で読んだ。 『肥満体恐怖症』も怖面白かった。 読みにくかった表題作は、著者の処女作だった。 なんか、ちょっと、安心した。

Posted byブクログ

2012/09/30

「葬儀の日」での離れがたい片割れ、「肥満体恐怖症」の憎悪と牽制。わたしの中で何かがぴったりと嵌った感じがありました。こういうのが読みたかった。 他の誰でもない、唯一無二の存在。自分の片割れ。昂ぶってはじけるように散る。羨ましいと思わずにはいられない、生き方。 作者さん、とっても綺...

「葬儀の日」での離れがたい片割れ、「肥満体恐怖症」の憎悪と牽制。わたしの中で何かがぴったりと嵌った感じがありました。こういうのが読みたかった。 他の誰でもない、唯一無二の存在。自分の片割れ。昂ぶってはじけるように散る。羨ましいと思わずにはいられない、生き方。 作者さん、とっても綺麗な方です。「葬儀の日」は19歳の頃の処女作だとか。いろいろと卑怯。

Posted byブクログ