十九、二十 の商品レビュー

原田宗典【著】

2022/02/10

クリープハイプの「二十九、三十」が良すぎて、好きすぎて。そのもととなった、小説らしいから読んだ。

ほぉ。曲の歌詞を浮かべながら読んでたんだけど、分かるとこもあったり、尾崎世界観の解釈なんだろうなぁと思うとこもあったり。でも、この小説読んで、あんな曲が書けるなんて、やっぱりすごいね彼の方。

二十歳だからこその輝き。いい意味でも悪い意味でも。その煌めきを今持ってるから、大切にしたい楽しみたいと思う反面、恐れや不安があって。でも、だからこその輝き煌めきなんだろうな、と思う。あーぁ、もう二十歳すぎたよどーしよう。

2021/08/04

どうしようもないやるせ無さと焦燥感に見舞われた。
私は今主人公と似たような年頃だが、すでに自分が主人公の父親のようになってないか心配している状態に虚しくなった。
俯瞰的に見ているようで、実は心が落ち着いておらず、どうしようと慌てふためいている主人公の心情にかなり共感した。人の顔色を見て、つまらない相槌ばかり打って、悲しくなる。
もっと大人になってから読めば、「あの頃は若かったな」と思いながら気楽に読めるようになるのだろうか。
苦虫を潰したような顔をしながら読まずに済むのだろうか。けど、この焦燥感をまだ、忘れたくはないな。

2021/03/25

自分の19.20歳の時と重なった部分も多かった。
けど、この主人公ほど鬱屈した日々は送ってなかったなあ。

この時期は人格形成における大事な時期やと思う。

2021/01/16

　ちょうど十九から二十歳になる月だったのと、図書館の本棚でふと目に留まったので読み始めた。クリープハイプ の二十九、三十のタイトルのモデルである小説だということも知っていたので、いつか読もうと思っていた。
　小説を読むこと自体久しぶりだったので、情景が見えるような描写の力に驚いた。でも普通に考えたら小説って文字だけだからそんなもんだよね。特にネコ氏の写真集の描写は、短いけれど写真が目に浮かんでくるようだった。
　私も読んでいるとき十九歳だったので、主人公の大人の見方に共感した。年上に気を遣い、そのことに嫌悪するのも、大人になった自分に恐れを抱くのも。十九にもなると、大人が自分が思っていたよりもずっと幼稚で、滑稽な生き物であることに気づく。大人にがっかりすることが増えて、そしてその大人に自分が近づいているという恐れがある。それが滲んでくる描写がいくつもあった。
　また、主人公の恋愛に関する、甘い予感、胸が冷たく痛いという表現がすごく好きだったし、共感した。
　解説にあったように、父と子との役割や立場が転倒する場合がある、ということが深刻で普遍的なテーマとなっている。保護者としての息子、被保護者としての父親。一見、救いのない物語ように見えるが、主人公にとっては刹那的なバッドエンドだなと感じられた。十九、二十って若いからね。主人公は若さを持っているので、良いこと一つもなかった夏に、深刻な絶望は感じられない。それと対比するように主人公の父親の絶望の深刻さが際立つ。ネコ氏とかアツコとかせっかくいろいろ愉快な仲間たちが出てきたのにそれらの登場人物の影が薄れるほど、父親から伝わる絶望感は深刻だった。

2020/10/09

クリープハイプのある曲の元になった本だと知り読むことに。
10代の終わり、ただただ報われない。
｢いつかはきっと報われる。いつでもないいつかを待った。｣という歌詞も｢前に進め 前に進め｣という歌詞も主人公のどん底ながら未来へ期待を寄せたり頑張らなければならないという心情をすごく的確に表していると感じた。

2020/01/10

話の最後までとことん悪い事続きの主人公。文中何度も登場する夏の蒸し暑さの表現も相まって、この本から漂うやるせなさ、気怠さが身体にまとわりつくようだ。自分が二十歳になる時はどんなだろう、十代の内に読んでいて良かった。

2019/04/24

解説の中村湊さんはこの物語に毛沢東の”人間が何事かを成し遂げるための条件”がすべて兼ねそなえられていると言う。若いこと、貧しいこと、無名であることがその三条件だ。若くて無名なのはいいけれど、貧しいのは嫌だな。山崎の貧しさと父親の貧しさには大きな違いがある。山崎は仕送りがない苦学生だ。父親はギャンブルで払えないほどの借金をこさえたにもかかわらず定職に就いていない。父親は家族を巻き込んで人生の堕落者を選んでいる。こんな調子だから物語はどんよりした感じだ。オイラの十九、二十がそうであったように。オイラはあの頃に戻りたいなんて思わない。若くて無名なのはいい、貧しいのはやっぱり嫌だ。「苦労は買ってでもしなさい」なんて言う人がいるけど、オイラはそんな無駄遣いする余裕はない！って昔から思ってた。いまは若くないし、金もないし、もちろん無名。せめて、笑って過ごしたいものである。

2018/10/28

原田氏の本に出会ってから、片っ端から読み始めた時期でした。

この本も作者の実体験に基づくところで書かれており19-20歳のころの描写がリアルに描かれている。
19-20のころは私も大学に通い、バイトをして、サークルして、飲んで、遊んで・・・
なにかやり遂げた感じはなく、それでも、楽しみながらの日々を過ごしていました。

19-20というと、明るい未来への様相もあるかと思うが、本書は日常の実体験からの劣等感などにも
触れられている。

アルバイト、恋、一番思い出にのころ時代でもあり、一番悩む時代でもあるのだと思います。

ネガティブ感が多く感じられるが、読後感は共感できることも多くなぜか心地がいい作品でした。

2015/08/23

そのころ読もうと思って、読めなくて、今更読んだ。ハタチの当事者じゃないから傍観者として距離をとって読めるけど、それでも鬱屈した水に浸かっているようで、さっぱりはしません。でも、なにか心に残る小説らしい小説。

2014/10/20

なんとも、後味が悪い小説でした。でも、面白くないかというとそういうわけではなくて、こういうのって多分今もある話しだなと思う。