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パリ・ロンドン放浪記 の商品レビュー

4.4

33件のお客様レビュー

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2021/04/17

ジャック・ロンドンと違い、著者はイギリス人=ヨーロッパ人であること、そして、必要に迫られて貧乏暮らしをしたことなど、貧しさが他人事ではない印象。 そして面白いのは、母国については批判的なのに、パリに対しては友人のような気安さがある。 「金が人間を労働から解放してくれるように、貧...

ジャック・ロンドンと違い、著者はイギリス人=ヨーロッパ人であること、そして、必要に迫られて貧乏暮らしをしたことなど、貧しさが他人事ではない印象。 そして面白いのは、母国については批判的なのに、パリに対しては友人のような気安さがある。 「金が人間を労働から解放してくれるように、貧乏は人間を常識的な行動基準から解放してくれる」 そして、考えないようになっていく。 本当の貧乏の中で、革命は生まれないのではないかという気づきが新鮮だった。 そういう意味で、今の日本は全体的に貧しいと思う。誰も自分で考えず、誰かが考えてくれるのを待ち、それが気に入らないと「批判」する。 そんな仕組みの中で、埋もれないようにしたいものだ。

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2020/09/01

オーウェル最初の単行本のせいか、それとも小説よりこういうルポのほうが本人の気質に合っていつのか、実にイキイキして面白い。1920年代の貧乏な人々の暮らしと息づかいが目の前に。

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2020/08/16

オーウェルは、自らルポルタージュの為にパリ、ロンドンの底辺の世界に身を置いたらしい。 そこで、貧乏のどん底で心の平安を見いだす。 絶望ではなく、平安をである。 『貧乏のどん底に近づくとあることを発見して、後は大抵どうでもよくなってしまうからである。退屈で、家のやりくりに俺の家に...

オーウェルは、自らルポルタージュの為にパリ、ロンドンの底辺の世界に身を置いたらしい。 そこで、貧乏のどん底で心の平安を見いだす。 絶望ではなく、平安をである。 『貧乏のどん底に近づくとあることを発見して、後は大抵どうでもよくなってしまうからである。退屈で、家のやりくりに俺の家に、目が決まってればくるものの、貧乏には同時に大きな救いがあることを発見するのだ。 将来と言うものが、消えてしまうのである。金がないほど心配も少ないと言うのは、確かにある程度まで真理である。100フランでも持っていれば、気が狂いそうなほど心配になるだろう。 だがたった3フランしかないとなれば話はまるで違う。 3フランあれば翌日までは食える。 そしてその先のことは考えられない。退屈ではあっても怖い事は無い。「明日は餓死すらだろうーえらいことだな」とぼんやり考えはする。だがそれっきり、また別のことで気が紛れてしまうのだ。マーガリン付きのパンと言う食事は、それ自体である程度の鎮静剤にもなるのだ。 このほかにも、陰謀なとき大きな慰めになる感情がある。どん底に落ちたことがある人なら、誰でも経験していることだろう。それは、自分がついに本当にどん底に落ちたと悟った開放感というか、喜びといってもいいほどの感情である。零落すると言う話は始終していたわけだけれども-ついに、いよいよ零落して朝にどん底まで落ちたと言うのに、それに耐えられるのだ。そう思うと、不安はあらかた消えてしまう。』

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2022/03/16

あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。 パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨...

あまり期待せずに読み始めたら面白くて止まらなくなった。オーウェルの観察眼と表現力が光る。翻訳も素晴らしい。 パリ編もロンドン編もおもしろいが、特筆すべきだと感じたのはP232〜234で、オーウェルが自ら経験した窮乏生活から学んだ「物乞いの社会的地位」について述べている部分が感慨深い。 それに続く、ロンドンのスラングと罵詈雑言について、また「零落した人間」についてなど、終盤にさしかかったところからの記述が深い。 そして、ここで出てくる『暇つぶしの才覚』という表現がタイムリーだった。この本を読んだのがちょうどコロナ騒ぎの真っ只中で、自粛生活がつらい、暇でしょうがない、などという世間の話題をよく聞いたが、そういう人々は本書でいうところの『暇つぶしの才覚もないまま』大人になってしまったのだろう…などと思ったり。 それに比して、巣ごもりを満喫できる我々読書好きは『暇つぶしの才覚』があるということかしら。。

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2020/03/20

この本を普段の生活では味わえない価値観というエンターテインメントとして捉えたくはないと思った。 現在日本も人手不足だけど、法律や福祉を正せば輝ける人材もあるのではないかと思う。 ホテルに対する記述が、私が思っていたけど言葉にできなかったもやもやを晴らしてくれた。 「高級といわ...

この本を普段の生活では味わえない価値観というエンターテインメントとして捉えたくはないと思った。 現在日本も人手不足だけど、法律や福祉を正せば輝ける人材もあるのではないかと思う。 ホテルに対する記述が、私が思っていたけど言葉にできなかったもやもやを晴らしてくれた。 「高級といわれているものの実質は、要するに従業員が余分に働き、客は余分な金を払うというだけのことなのである。」 この文章が言いたかったことを表してくれた。 こういった商売で経済が回っているのは事実だけど、本来必要な所に金が行き届いていない原因でもあるのではないか。

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2020/02/02

社会にとって有益な仕事に妥当な賃金が払われず、なんでもない仕事が逆に法外に高い賃金を獲得するこの不平等はいつの世も同じだなと感じた。

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2019/06/15

ジョージオーウェルと言えば動物農場...と思いきやこんなルポ的な旅日記のような、そんな本も書いていたんですね。 しかも1933年と、かなり若い時の執筆です。 パリとロンドンでの底辺暮らしの経験をみずみずしい感性で綴ったエネルギーを感じる一冊です。 個人的には前半のパリの話の方...

ジョージオーウェルと言えば動物農場...と思いきやこんなルポ的な旅日記のような、そんな本も書いていたんですね。 しかも1933年と、かなり若い時の執筆です。 パリとロンドンでの底辺暮らしの経験をみずみずしい感性で綴ったエネルギーを感じる一冊です。 個人的には前半のパリの話の方が好きです。

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2018/09/20

BRUTUSの危険な読書特集で気になった一冊。 「放浪記」なので、多少は「旅行記」的な内容も期待してはいたんですが、まったくそんなことはなく、1920年代当時のパリとロンドンの底辺での生活を、文字通り放浪しながら綴ったルポタージュ。 ジョージ・オーウェルって「1984」で名前を聞...

BRUTUSの危険な読書特集で気になった一冊。 「放浪記」なので、多少は「旅行記」的な内容も期待してはいたんですが、まったくそんなことはなく、1920年代当時のパリとロンドンの底辺での生活を、文字通り放浪しながら綴ったルポタージュ。 ジョージ・オーウェルって「1984」で名前を聞いたことがあったけど、これが原点なんですね。 とりあえず、南京虫が気になった。

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2018/08/28

前半のパリ編が秀逸。 20代の1年半をパリで過ごしたからこそ描写できた街の一面。南京虫と悪臭漂う底辺の暮らしを、ヨーロッパ中から集まってくる様々な人の人生との出会いを通して、生き生きとどろどろと描きだしている。 20世紀前半のこの時から、パリの根本部分は変わっていないと思う。

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2018/09/17

オーウェルの突撃ルポ、デビュー作。1927年から3年間、パリ貧民街とロンドンのホームレス界にどっぷり浸かって取材。やはり性来の裕福さがポジティブな行動と考え方を生んでいる感はあり、よくある王子さまが身分を隠して庶民の中で生活をして学んだり、社長の息子が平社員として素性を隠して研修...

オーウェルの突撃ルポ、デビュー作。1927年から3年間、パリ貧民街とロンドンのホームレス界にどっぷり浸かって取材。やはり性来の裕福さがポジティブな行動と考え方を生んでいる感はあり、よくある王子さまが身分を隠して庶民の中で生活をして学んだり、社長の息子が平社員として素性を隠して研修するという、ベタな物語を実際に行ったルポルタージュ。面白がってはあかんのかもしれませんが、単純に面白いです。だいたいにしてオーウェルがええとこの子なだけに、目が曇ってなくて、好奇心と探究心があるというか、面白がっているところが文章にも現れていて、読んでいるほうもワクワクします。

Posted byブクログ