ホテル・ニューハンプシャー(下) の商品レビュー
現代アメリカってこんなに野卑で生々しかっただろうか。ゲイ、レズビアン、目や耳の不自由な障碍者、テロリスト、売春婦、レイプ、セックス、近親相姦、暴力、糞尿、強烈な体臭などありとあらゆる人間の生の生態が詰め込まれている。なかなか読み切るのがしんどい一冊。
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直前に阿部和重の対談集を読み、「小説の中のリアリティ」とか言っていたのが頭に残っていた。ホテル・ニューハンプシャーは荒唐無稽な人々や出来事で埋め尽くされているが、これがリアリティの欠如という事でつまらなくなるなんてことはあり得ない。小説の中でのみ通用するリアリティがやっぱりあるん...
直前に阿部和重の対談集を読み、「小説の中のリアリティ」とか言っていたのが頭に残っていた。ホテル・ニューハンプシャーは荒唐無稽な人々や出来事で埋め尽くされているが、これがリアリティの欠如という事でつまらなくなるなんてことはあり得ない。小説の中でのみ通用するリアリティがやっぱりあるんだな、と思った。 何度も起こる悲劇の中で絶望しきってしまう事のない主人公たちと「開いた窓の前で立ち止まってはいけない」を胸に、明日も会社に行こう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「克服」(処理)の物語。みんながみんな勝てるわけではないけれど。 そしてそのそばにはそれぞれの「熊」がいる。熊に負けてしまうこともあるけれど。 アメリカの小説を読むと、中身のわりに「静かさ」をいつも感じる。ヘミングウェイも、フィッツジェラルドも。 また、いつか読みたい。
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上巻はいまひとつ入り込めませんでしたが、下巻ラストへ向かうにつれ次第にひき込まれていきました。結末にも満足。
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一昨日読了。 「ソローはただただ漂い続ける」を証明するかのように、悲劇的運命に翻弄され続ける風変わりな人物揃いのベリー家を描いた家族小説?。 近親相姦や自殺等というショッキングなエピソードが連続する一方で、驚くほど純粋に、家族のきずなや愛情にも真っ直ぐ光を当て描いてもいる。 ...
一昨日読了。 「ソローはただただ漂い続ける」を証明するかのように、悲劇的運命に翻弄され続ける風変わりな人物揃いのベリー家を描いた家族小説?。 近親相姦や自殺等というショッキングなエピソードが連続する一方で、驚くほど純粋に、家族のきずなや愛情にも真っ直ぐ光を当て描いてもいる。 ユダヤ系オーストリア人「もう一人のほうのフロイト」の相棒のクマ「スージー」。 心身を深く傷つけられその苦しみから逃れられずにいた長女フラニー、ベリー家のソロー(悲しみ)を傍観者の立場で見つめているようでその実、運命に抗えずに誰よりもそのソローに飲み込まれていた(そしてその事実に対し無自覚を装っていた)次男ジョン、二人の魂を救い導くのが、この一匹のクマ(?)であるという寓話性!。 エピソードのユニークさが際立つあまり寓話的印象が強いが、実は、現代をデフォルメせずに余計なメタファーも一切排し描いていて、そのギャップが非常に面白い。
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物語の前半に夢中になり、中だるみを経て、ラストでまた夢中になる。J・アーヴィングらしい作品。後半、家族の数年後を描いているところ、私的にとても評価高い。わかってるなアーヴィング。
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下巻ではウィーンにて第二次ホテルニューハンプシャーでの不思議な生活と、アメリカに戻ってきてからの第三次ホテルニューハンプシャーへと移行し、ラストへ。 登場人物全員のクセが凄い小説だった。語り手である僕の思考がとっても変態なのに堂々と語ってるのが面白かった。
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ホテル・ニューハンプシャーの下巻。 上巻の内容の散逸さに、投げ出してしまいたい人もいたのではないか。でも、そこはジョン・アーヴィング。全てが絡まり、全てが物語としてゆったり落ち着く。 この結末は見事としか言いようがない。 第二次、そして第三次ホテル・ニューハンプシャー。
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つまらない。 途中で何度も挫折しかけた。 ホテルを経営して再建して…の家族の話。 最後まで読み切るのが大変だった。
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ユーモアの感覚が面白い。アメリカのホームドラマを見て居るよう。笑いと感動。笑いがあるからこそ感じられる人間の可笑しみ、尊さ、愛しさ…。著者の人間に対する愛が感じられる。大団円へのアプローチが見事。
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