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恋文 の商品レビュー

3.9

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2019/01/09

人が死なない連城小説!!ずっとしんどい思いをしながら日本語の美しさに惹かれて読み続けていますが、なぜだろう、人が死ぬときのほうが日本語が美しい気がする。でも、この少し昭和・大賞の空気を纏った彼の文章がやはり好きなのだ。 20代の頃だと分からなかった、と思うけど、今この年になって...

人が死なない連城小説!!ずっとしんどい思いをしながら日本語の美しさに惹かれて読み続けていますが、なぜだろう、人が死ぬときのほうが日本語が美しい気がする。でも、この少し昭和・大賞の空気を纏った彼の文章がやはり好きなのだ。 20代の頃だと分からなかった、と思うけど、今この年になって、どの短篇の主人公の気持ちも分かるような気がする。自分だったら耐えられないけど。全ての話が、連城さんの周りの人々や出来事、言葉にインスピレーションを受けて書かれていると巻末にコメントがあって、それもまた素敵だと思った。私のような一般人の周りにはそんなドラマチックなこと起こらない… ●恋文 夫が自分を捨てて余命いくばくもない昔の恋人のもとへ行ってしまったことをきっかけに、現在の妻である自分と昔の恋人が友達同士となる、っていうの、なんだか分かるような気がした。私には耐えられない。 ●紅き唇 新婚で妻を失った義理の息子を密かに思う女性のお話。私には耐えられない。 ●十三年目の子守歌 母親が自分より若い男を夫として連れ帰ってくるお話。設定がぶっ飛んでいる。私には耐えられない。 ●ピエロ 夫が超絶有能な三枚目ピエロ。この結末、私には耐えられない。 ●私の叔父さん このお話は耐えられないとは思わなかった、私が登場人物だったらという想像が働かない領域…最後なんだかわからないけど胸がきゅーっとなって泣きたくなる感じ。 しかし基本全部私は耐えられないけど、お話として読むとじんわり染みるんだよ…不思議。 -- マニキュアで窓ガラスに描いた花吹雪を残し、夜明けに下駄音を響かせアイツは部屋を出ていった。結婚10年目にして夫に家出された歳上でしっかり者の妻の戸惑い。しかしそれを機会に、彼女には初めて心を許せる女友達が出来たが…。表題作をはじめ、都会に暮す男女の人生の機微を様々な風景のなかに描く『紅き唇』『十三年目の子守歌』『ピエロ』『私の叔父さん』の5編。直木賞受賞。

Posted byブクログ

2018/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「恋文」「紅き唇」「13年目の子守歌」「ピエロ」「私の叔父さん」の5編からなる短編集。どれもが情緒的、美しい言葉で心の柔らかい部分を刺激するような物語。 標題作の妻の強がり、紅き唇の義母の女心、私の叔父さんの叔父さんのついた大人の嘘・・・どれもが哀しく、心に染み入る。叔父さんが最後に吐いた大人の嘘が彼本人も、夕美子も幸せにしてほしい。 筆者のあとがきも秀逸。手元に置いて何度でも読みたいと思える数少ない作品の一つになった。

Posted byブクログ

2018/03/19

表題作が直木賞受賞作。 良かった。 全編、良かった。 出てくる人、みんなカッコいい大人だ。 自分のためじゃなく、素敵な嘘をつける。 こんな風に、誰かを思いやれる大人になりたい。

Posted byブクログ

2017/09/12

悪くないんだけれども男目線の、いやおっさん目線の小説かなぁ。発想と言い、観点と言い。別に悪くはないんだろうけれども、その身勝手さが直感的に分かるような気がして何だかなぁという感じ。要するに当方も歳を食ったということなんでしょうが、その設定・オチは無いわなという感触を捨てきれないの...

悪くないんだけれども男目線の、いやおっさん目線の小説かなぁ。発想と言い、観点と言い。別に悪くはないんだろうけれども、その身勝手さが直感的に分かるような気がして何だかなぁという感じ。要するに当方も歳を食ったということなんでしょうが、その設定・オチは無いわなという感触を捨てきれないのもまた確かではあります。

Posted byブクログ

2017/04/29

<淡くも濃くも,ひとしだい> その話もドラマティックで,少しのさみしさを感じる. 「紅き唇」はセピア色,「私の叔父さん」はインディゴブルーな映像が似合う. 自分の生まれる前の作品でも,今読んでもグッとくるものがあると,やはり連城三紀彦は凄いといか言えなくなる

Posted byブクログ

2017/04/10

読後にしみじみとした余韻をもたらす5編の短編集。 いずれの作品も、登場人物の秘められた想いに焦点が合わされている。 「恋文」 文学性の高い作品で、50ページ足らずの中にいくつもの名場面がある。 主要な登場人物は、響子、将一、江津子の三人。この三人の感情が交錯し、時に爆発して、微...

読後にしみじみとした余韻をもたらす5編の短編集。 いずれの作品も、登場人物の秘められた想いに焦点が合わされている。 「恋文」 文学性の高い作品で、50ページ足らずの中にいくつもの名場面がある。 主要な登場人物は、響子、将一、江津子の三人。この三人の感情が交錯し、時に爆発して、微妙な恋愛模様を織りなしていく。三人とも心中に隠し持ったものがあり、それが最後に明らかとなる。作中に「恋文」がいくつか出てくるが、響子から将一への恋文が出色。 ラストで響子の問いかけに対して、将一が首を振る場面があるが、将一は首を横に振ったのであろうか、それとも縦に振ったのであろうか。 「紅き唇」 主人公の和広とその義理の母のタヅを巡る物語。 タヅの語る昔話が印象的であり、口紅が重要なアイテムとなっている。最後まで読むと、タヅの秘めた想いが判明する。パチンコの景品として口紅を選んだことに、重要な意味があることがわかる。 「十三年目の子守歌」 オチの意外性は、本短編集中でも一番。 突然、実家に舞い込んできた年下の義理の父親への反感が切々と綴られていくが……。 主人公の知らない秘め事があり、それが判明した時、「ああ、そういうことだったのか」と思わずのけぞってしまった。「父さんと呼べ」という言葉にそんな意味があったとは。 父親への想いが、この作品の底流にある。 「ピエロ」 「いいよ、俺なら」が口癖で、決して怒らない夫の計作に一抹の寂しさを感じ、浮気をしようとする美木子。美木子の視点で語られるこの話は二転三転し、二段構えのどんでん返しが用意されている。 飄々として、常にピエロのような道化役を演じている計作の人物造形がすばらしい。計作の道化に隠された真意はどこにあったのだろうか。 「私の叔父さん」 四十五才の構治、19年前に20才で亡くなった姪の夕希子、その娘の18歳の夕美子が主要な登場人物。夕希子が亡くなる前に撮られた五枚の写真が重要なアイテムとなり、夕希子の秘められた想いが明かされる。 夕美子が突然予想外のことを言いだし、ひと騒動起こる。それに対して、構治が取った態度も意外であり、ひとつの想いが結実する。

Posted byブクログ

2016/05/13

「僕に小さな小さな名場面や名台詞をくれた素人のしたたかな名優さんたちへの、これは、表題通り、僕の“恋文”です」と著者はあとがきで語っている。 昭和の大人たちの物語。昭和の大人たちって、何でこんなに大人なんだろう。 平成の我々は40代になってもなんか、良くも悪くも「現場」なんだよな...

「僕に小さな小さな名場面や名台詞をくれた素人のしたたかな名優さんたちへの、これは、表題通り、僕の“恋文”です」と著者はあとがきで語っている。 昭和の大人たちの物語。昭和の大人たちって、何でこんなに大人なんだろう。 平成の我々は40代になってもなんか、良くも悪くも「現場」なんだよな。 この物語の人たち、同じ年代や少し下の世代とは思えない。

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2015/07/05

連城さんの作品だから、最後に何かがあるんじゃないかと身構えながら読んでいましたが、表題作の「恋文」は直球勝負でした。 私には妻の心情はちょっと理解しがたいですが……。 「十三年目の子守唄」と「ピエロ」はちょっとトリッキーで、十三年目の方はこうくるかと意表をつかれました。 一番好み...

連城さんの作品だから、最後に何かがあるんじゃないかと身構えながら読んでいましたが、表題作の「恋文」は直球勝負でした。 私には妻の心情はちょっと理解しがたいですが……。 「十三年目の子守唄」と「ピエロ」はちょっとトリッキーで、十三年目の方はこうくるかと意表をつかれました。 一番好みだったのは「私の叔父さん」で、過去の叔父と姪の叶わなかった禁断の愛情がベースになっていて、カメラマンの主人公が撮影した姪の5枚の写真にやられました。 「アイシテル」のサインはテールランプだけじゃないんだね。

Posted byブクログ

2015/04/29

こころのかたち。 少し古臭い匂いのする文章でだ。けれど、この昭和の半ばをイメージさせる文体が好きだ。 短編集であり、5編の男女又は親子の物語が紡がれる。 ぎこちなさが愛おしく思えたり、スッと心に入る率直な物言いが気に入ったり。どれもいい余韻を残す。 中でも、表題が印象深い。 ...

こころのかたち。 少し古臭い匂いのする文章でだ。けれど、この昭和の半ばをイメージさせる文体が好きだ。 短編集であり、5編の男女又は親子の物語が紡がれる。 ぎこちなさが愛おしく思えたり、スッと心に入る率直な物言いが気に入ったり。どれもいい余韻を残す。 中でも、表題が印象深い。 この旦那にしてこの奥さん。この二人の組み合わせでなければこの物語は渡りきれなかったであろう。 見栄っ張りでもいい。この人が思う道を歩ませられるのなら、…多少の事はがんばれる。

Posted byブクログ

2015/02/03

2015年2月2日読了。長年連れ添った男から、他の女性の最期を看取るため別れてほしいと切り出された主人公の葛藤を描く表題作ほか、男女の機微や恋愛を描いた短編を5編収録。「わたしの叔父さん」の中で主人公が「大人というのは…嘘をつくことではなく、嘘をつけることをいう」と発言するが、登...

2015年2月2日読了。長年連れ添った男から、他の女性の最期を看取るため別れてほしいと切り出された主人公の葛藤を描く表題作ほか、男女の機微や恋愛を描いた短編を5編収録。「わたしの叔父さん」の中で主人公が「大人というのは…嘘をつくことではなく、嘘をつけることをいう」と発言するが、登場人物たちの多くは誰もが相手を思いやって嘘をつき、相手もその嘘と真意が分かって、さらにフォローのための嘘をつき、お互いが傷つきあいながらかばいあう、というような関係がなんとも切ない。女性の心情描写も細やかでリアル(、なんだと思う)。

Posted byブクログ