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ひとめあなたに… の商品レビュー

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68件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

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2013/07/04

私は出会った、心から愛せる人に。まるで自分自身の分身のような、運命の人に。でも現実は残酷だ。隕石衝突まであと一週間。誰も仕事なんてしていない。電車なんて動いていない。でも最後に、最後に一目会いたい。だから私は歩くことにした。世田谷から鎌倉まで。 すごい。衝撃。本作はふたつの側面...

私は出会った、心から愛せる人に。まるで自分自身の分身のような、運命の人に。でも現実は残酷だ。隕石衝突まであと一週間。誰も仕事なんてしていない。電車なんて動いていない。でも最後に、最後に一目会いたい。だから私は歩くことにした。世田谷から鎌倉まで。 すごい。衝撃。本作はふたつの側面を持つ。人間の狂気と、人間の深愛。コインの裏と表。コインが高速で回転すれば狂気は深愛と交わり、深愛はまた狂気を生む。その回転が止まったとき、上を向くのは…… すごい。読書初心者にはオススメできない、本好きに是非とも読んでほしい作品。

Posted byブクログ

2013/06/27

「地球があと一週間で終わる」という状況で、正気を保った2人と狂ってしまった幾人かを、特徴的な口語体で書き綴った一作。 個人的にはほぼ十年ぶりの再読。前に読んだときは正気を保ったヒロインに注目して読んだ一作だけど、今回は「狂ってしまった幾人か」の話を”もっと聞きたい”、と思いながら...

「地球があと一週間で終わる」という状況で、正気を保った2人と狂ってしまった幾人かを、特徴的な口語体で書き綴った一作。 個人的にはほぼ十年ぶりの再読。前に読んだときは正気を保ったヒロインに注目して読んだ一作だけど、今回は「狂ってしまった幾人か」の話を”もっと聞きたい”、と思いながら読んでた。ある意味で純すぎる人たちがちょっとしたボタンの掛け違いで狂ってる。どの人も正気を保ってる人と紙一重で、一歩間違えば自分もそうなりかねない、そこに共感を覚えた。 そういう人を描いている作品は他にもたくさんあるんだろうけど、作品を通して口語体で書かれているこの小説は、”もっと読みたい”という気持ちよりも”もっと聞きたい”という感情を引き出すところがある。文語・口語混交文ではなく口語文のみで小説を書ききる、この作者以外でこの文体を使いこなせた人は少ないことも含め、もっと評価し議論されてもいい。少なくとも、自分は今までこの作者を過小評価してたんだな、と確認させられた一作。

Posted byブクログ

2012/11/18

これ今読み返してもほんとすごいなー。ぎりぎりの最後、それぞれの形で愛とエゴを膨れ上がらせていく女性たちの姿。 中でもお気に入りは当然ゆりこさんとまりちゃん!

Posted byブクログ

2012/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初の読み始めは一体何の少女漫画(みたいな小説)を買ってしまったんだと思ってしまうような作者独特の文体と、一人称のよくわからん文章で、正直読むのをやめようかと思いましたが、テーマが自分の好きなSFで地球が隕石で衝突するというお決まりものでしたので、何とか読み進めました。ところが読み進めるうちに、いやはやなかなかの構成とテンポの良さで気付くと最後まで一気に読んでしまった、そんな軽快なSF小説です。まあ軽快なのは作者の日記のような独特の文章(読んでいるうちに気にならないどころか、気に入ってしまいましたが)のおかげで、この文体が地球が滅亡すると分かった最後の人々の描写を暗くなるだけにならずに済むどころか、作者が書きたいテーマを表現するのに重要なのだと気付かされます。 1週間後に隕石が地球に衝突すると分かった主人公の圭子が、喧嘩別れした恋人の朗に会いに鎌倉まで行くという話を軸に、複数のエピソードが交差する形で描かれます。それらは普段は何気ない日常に隠されている平凡な人々の生活に潜む不満の闇が、世の中が終わるというシチュエーションを鍵に、噴出し色んな結果を生むのですが、どれも女性が主役で、女性の視点で描かれているので(作者が女性ですからね)、男性読者たる私は非常に興味深く読むことが出来ます。世の男性諸氏であれば周知のことですが、ほんとに女性は違う生き物だというのが地球が滅亡するという極限状況の中、確信犯的に描写されており、ここら辺が作者の狙いだったのかなと思いますね。 読み物としても非常に面白いのですが、やはりクライマックスで圭子が苦難の末に朗に辿り着いて一緒に鎌倉の海で過ごす一時の描写は、一言「美しい」です。そして地球に隕石が衝突しなくてもいつかは誰もの人生が終わるという現実を前に、その一瞬とも言える人生の中で(まあ男女になるのでしょうが)、相手を愛して求める想いの儚さと人生の意味を問いかけるのが本書のテーマでしょうか。実際にはそこまで重いテーマを追っている文章には見えないのですが、交差するエピソードの末、ラストで圭子と朗の会話で地球が終わることと同じ位、二人が出会って語り合っている時間が永遠の物に感じられて、そこに救いも感じますし、地球が滅亡するラストには変化はなくとも人が生きていくことへの希望を感じなくもありません。 話しそれますが、以前読んでみた「地球最後の24時間」では似たようなシチュエーションで話が進むものの、ラストの終わり方は似ているようで異なります。どちらが良いかは読者次第なのでしょうね。似たような話では「終末のフィール」というのもありましたね。ここら辺、地球が滅亡する状況で人々がどんな風に感じて過ごすのかというのは、意外に日本人が好きなテーマで、描写したい内容なのでしょうか。 ともあれ、本書のテーマはさておき最近読んだ最新宇宙天文物理の本などの影響なのでしょうが、いかに現実の地球も非常に脆い泡沫の一瞬のような時間の中で存在している気がしてなりません。歌か何かでありましたが、まさに地球は「奇跡の惑星」であって、フェルミパラドックスの本にもあったように無限の可能性があるようなこの宇宙でも唯一の存在である可能性の方が、その逆より大きいと思われるという立場からすると、何だか今この瞬間にも隕石が衝突して地球が無くなってもおかしくないのが事実です。それを考えると人生の心配以前に、随分と落ち着かなくなりますが、本当に最近の人類社会は宇宙への進出について、少々さぼり気味というか停滞感があっていらいらしてしまいます。真の意味での滅亡回避リスクは、地球以外の惑星なり恒星へ人類の居住域を確保して、初めて布団を高くして寝れるというものなのですが、今しばらくは少なくとも私が生きている間は、実現は難しいでしょうか!?まあ月並みですが、戦争している場合でなく、そこら辺のエネルギーなりコストをもう少し宇宙進出に振り分けるシステムを作れれば、小さいころに夢見ていたスペースコロニー位はあっという間に作れそうな気が、作れる実力があるのが人類ではと思わなくもありません。手始めに衛星の月に恒久基地が出来るのを生きている間に見たいなぁ、なんて思いますね。 本の感想からずれましたが、ここら辺の考え方はSF好きの方々以外でなくても共有できるものではないのでしょうかね。せいぜい、生きている間に隕石はおろかガンマ線バーストやブラックホールの接近などはご免被りたいですな。

Posted byブクログ

2012/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人類滅亡の時、誰に会いたいか。端的にいうとそんな小説。やや詳細に言うならば、人生の終わりに女はいかにして狂うか。 中学生の時にに読んで、衝撃を受けたSF小説。 多くの人は死と向かい合った時、初めて自分の生きてきた道を見つめるのだと、その時知りました。 きっかけはZ会の月刊誌の学生の書評でした。「すべてが狂った世界で主人公は練馬から鎌倉まで愛する人に会う為に歩きます」その二つの土地は当時大好きな祖父母の住む町と私が住む町でした。 そこまで歩いていくことの大変さをリアルに感じた私は、すぐに本を買いに行きました。 その中の一章にある、松任谷由実のチャイニーズスープは、当時読んでもすでに古かった歌であるのに、チャイニーズスープを作る妻の悲哀を今の私はよりリアルにに感じられます。 今も時々、思い出しては「今、あの距離を歩いても最期に会いたい人は誰だろう」と私は心を傷めるのです。 いろいろな解釈はあると思いますが、私の中での女性の情念はこの小説が最高峰です。

Posted byブクログ

2012/03/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

地球に隕石が落ちてきて、地球が壊滅する前の一週間の物語。 「ダンナをバラしてシチューにする」という内容だと聞いていたんだけど、ほんのトッピングにすぎなくて、ちょっと消化不良。 あと一週間で死ぬというのに、切迫感ないです。 ラブストーリーでした。

Posted byブクログ

2011/12/14

当時20歳かそこらの小娘が書いたという本。 ラノベの元祖と呼ばれているらしく 友人の勧めで読んだよ。 地球が終わる日までのカウントダウンの話。 人が狂うありさまを描いているのだけれど よくここまでいろんな人の心情を分けてかけるなあと感心。 人を食べるシーンとかかなりきつかったの...

当時20歳かそこらの小娘が書いたという本。 ラノベの元祖と呼ばれているらしく 友人の勧めで読んだよ。 地球が終わる日までのカウントダウンの話。 人が狂うありさまを描いているのだけれど よくここまでいろんな人の心情を分けてかけるなあと感心。 人を食べるシーンとかかなりきつかったので飛ばしちゃった。 最期の日を一緒に過ごす相手がいる、主人公に嫉妬した。

Posted byブクログ

2011/10/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

地球が滅ぶ寸前、恋人に会いに行く主人公の話。 ちょっとずつ狂ってる人たちが面白い。 特に勉強を続ける少女が印象的です。

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2011/10/11

小学生の頃、姉の部屋の本棚に置いてあったのを盗み読みした(笑) その後読み返してないけど、子供にはちょっと刺激が強すぎたかも。 でも、何があっても愛する人のところに 向かおうという主人公の気持ちにホロリ。 多分大人になってから読むよりも、この頃読んだからこそ色々素直に感じること...

小学生の頃、姉の部屋の本棚に置いてあったのを盗み読みした(笑) その後読み返してないけど、子供にはちょっと刺激が強すぎたかも。 でも、何があっても愛する人のところに 向かおうという主人公の気持ちにホロリ。 多分大人になってから読むよりも、この頃読んだからこそ色々素直に感じることができたんだと思う。 誰もがそうではないかもしれないけど、大したことない知識や経験と引き換えに、思春期前の感受性を失ってるんだなあ。 とか、ふとこの本をきっかけに、そんなことを思った。

Posted byブクログ

2011/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「とにかく、珍しいくらい人なつっこい人。入学式の日から、クラス全員を名前のほうで呼び、全員の親友みたいな顔をしてる人。」 「あたしね_おそらくあたし_地球が亡ぶってニュース聞いて、この世の中でただ一人、しあわせなのは、あたしだけだと思うの。ほんっとに」 私は、ハッピーエンドの小説が好きだ。読んで読み進んで泣かされる事があったとしてもその先にハッピーエンドがあればと絶対期待している。本の中でさえ絶望させられたら死んでしまう。狂って壊れていく女性を描くのが好きだと新井さんは言う。狂って壊れていく女性は美しいって。うえっ、て 思う。狂気に満ちて、自分を見失ってる状態が美しいだなんて、考えられない。それに不謹慎だけど、地球が一週間後に亡ぶって聞いて、しあわせなのって言ってしまう、気持ちが判ってしまう。 「あたしは、ね。走ってきたの。走ってんの。ずっと。もうすっかり加速がついちゃったの。だから、とまれないの・・・・・・」 この気持ちも判ってしまう。真理は恋に走ってたわけじゃないんだけど、真理みたいにレールの上を走る事しかできなかったわけじゃないんだけど、とまれないというより止まりたくない気持ちは判る。 痛い、痛い、痛い。読んでて途中痛くてひといきには読めなかった。スプラッタ物が若干苦手なんだけど、えぐぐはない。けど痛い。でも判る。泣く。泣いてしまう。でもよかったひとめあえて。

Posted byブクログ