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女の一生(二部) の商品レビュー

4.4

44件のお客様レビュー

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    21

  2. 4つ

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2019/05/20
  • ネタバレ

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遠藤周作らしいいろんなテーマがあった。 神の沈黙が、今回は「殺すなかれ」と教えながら戦争を黙認する教会の沈黙や、「神なんていない」という救いのないアウシュビッツに変奏していた。 神は直接の救いをもたらすわけではないが、修平の渾身の疑問を正面から受け止めて苦しげに分からないという高木牧師や、アウシュビッツに共に収容されていながら、いつもあなたのために祈っていると語るコルベ神父を通して、神の沈黙は沈黙ではないと語られている気がする。つまり、直接目に見える解決はしなくとも、苦しむ人ともに苦しむ愛なる神、のように。神のみならず人間も、他者の苦しみを前に無力だ。サチ子も修平の苦悩を前にマリア像に祈るしかできないし、ジムも長崎の不運に心を痛めながら原爆を落とすしかない。でもそこで祈ることや痛むことは無意味ではなくて、人間はつまりいつでもそういう存在を望んでいる。弱っている時、ただそこにいてともに苦しんでくれる相手を。「沈黙」「侍」と相通じるテーマで、とにかく苦しいけど深い。

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2018/11/08

やはり周作さんらしい救いのないお話でした。 1部に続き2部でも大量虐殺が… 今まで本当に上っ面の事しか知らずに生きてきた自分が情けない思いでいっぱいになりました。 だからって自分に何が出来るのかは分からないけど、せめて「女の一生」に出会えたことに感謝して生きて行きたいです。 ...

やはり周作さんらしい救いのないお話でした。 1部に続き2部でも大量虐殺が… 今まで本当に上っ面の事しか知らずに生きてきた自分が情けない思いでいっぱいになりました。 だからって自分に何が出来るのかは分からないけど、せめて「女の一生」に出会えたことに感謝して生きて行きたいです。 P98、そは求むところなき愛なり p263、労働をつづけながらも… P347、路は悪いかわりに… P487~ラスト迄 とっても心に響く言葉であったり文章でした。 あと、長崎の方言好きだな(笑) 大浦大聖堂にも行ってみたい! マリア像の前で思いっきり泣きたい!

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2021/06/29
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2021/6/29 長崎に行くことがあり、再読。 前に読んだ時より、コルベ神父の存在を強く感じた。 ヘンリックに与えた小さな変化は他の誰かにとっての大きな変化。人を少しでも変えるほど影響力を持ったコルベ神父はやっぱりすごい。 結末はわかっているのに後半読み急いでしまった。 今回は修平に寄って読んでしまう。どうにもならない運命に理由をつけて進んでいく。矛盾してることはわかっていても抗えない運命を受け入れる。 キリスト教はつくづく受け止める受動的な宗教だなと思った。 そは求むるところなき愛なり、これに尽きる。 かなり昔に読んだきりだった為、再読。 前より面白かった気がする。 キクの時と比べて話があっちこっちに行くので、サチ子に思い入れがしにくく、前は少し苦手だったところを今回は乗り越えられた。 キクと同じくイエス様もマリア様もいちばん大切なものを助けてくれない。それでもサチ子は最後まで祈る。在るものの中から幸せを見つけて、それに対して感謝する。 人生はこの形でいいのだと耐えていた。という言葉で遠藤周作の作品の全てに通じるものを見た気がします。 それでも修平とコルベ神父に何か救いを見せて欲しかったな。ヘンリック等々で救われるという解釈もできますが。でもこの感じがいいんだよなー…

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2016/08/16

第一部の幕末・明治初期から時代は下り、第二部は第二次大戦の時代が舞台になっている。 コルベ神父、キリスト教信仰における非戦の問題、神風特攻隊、長崎の原爆など、さまざまなエピソードが織り込まれている。 長崎で一緒に遊んでいた3人の幼馴染。一人は信仰と戦争の問題に苦しみながらも特...

第一部の幕末・明治初期から時代は下り、第二部は第二次大戦の時代が舞台になっている。 コルベ神父、キリスト教信仰における非戦の問題、神風特攻隊、長崎の原爆など、さまざまなエピソードが織り込まれている。 長崎で一緒に遊んでいた3人の幼馴染。一人は信仰と戦争の問題に苦しみながらも特攻隊として戦死し、一人はその恋人として別離に苦しみ、一人はアメリカ兵として原爆投下の飛行機に乗っている、、、 戦争の不条理をこれでもかと思い知らされる。

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2014/07/06

第一部キクの場合の続編といえなくもないけど、構成は大分違うし、わりと視点も飛んでるので物足りなく感じてしまうところもあるかもしれません。でも最後は主人公である幸子と同じようにどこか満たされない、ぽかんと穴が開いたような気分で読了しました。 時代はキクが亡くなった時より進んで太平洋...

第一部キクの場合の続編といえなくもないけど、構成は大分違うし、わりと視点も飛んでるので物足りなく感じてしまうところもあるかもしれません。でも最後は主人公である幸子と同じようにどこか満たされない、ぽかんと穴が開いたような気分で読了しました。 時代はキクが亡くなった時より進んで太平洋戦争時になるわけですが、戦争は良くないということがメインテーマではない。あくまで1人の女性を主人公とした物語です。それなのにアウシュビッツと日本で場面が所々飛んでしまうので、幸子の存在が薄くなりがちだったのが残念でした。前作のキクはキクのいないところでもすごい存在感だったので比べると見劣ってしまうような気がします。 清吉と修平とを比べてもあまりに修平が幼く脳天気で鬼気迫るものがなく、何となく幸子と修平もおままごとの延長にしか見えませんでした。このあたりも時代の違いなのかなぁとも思ったり。キリスト教徒として戦争に巻き込まれていく修平の葛藤も唐突すぎてあまり伝わってきませんでした。 アウシュビッツのコルベ神父のエピソードはまた別の一つの作品として読んでみたかったです。最後のヘンリックに希望が見えてとても良いシーンでした。どちらのエピソードももっとじっくり読みたかったというのが一番の感想です。

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2012/12/24

戦争が信仰の奥の奥を、信仰の奥の奥が、人間の奥の奥を。 死を選ばざるを得ない背景。 俺なんて逃げるだろうな。

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2012/12/04

1部ほどの衝撃はないけれど、やっぱり、これも傑作だと思う。修平を想うサチ子の話とコルベ神父のアウシュビッツでの話が交互に出てくる前半はもう苦しくて。アウシュビッツでの話が、これからどんどん激しくなる戦争やその波に飲み込まれていくであろう2人の未来を暗示してるようで。想い合っても自...

1部ほどの衝撃はないけれど、やっぱり、これも傑作だと思う。修平を想うサチ子の話とコルベ神父のアウシュビッツでの話が交互に出てくる前半はもう苦しくて。アウシュビッツでの話が、これからどんどん激しくなる戦争やその波に飲み込まれていくであろう2人の未来を暗示してるようで。想い合っても自由にならない戦時中の2人が悲しかった。後半、終戦に向かうあたり、あああ長崎は原爆が落とされたんだと気づき愕然とした。本当に読んでて苦しかった。キクの時もサチ子の時も苦しい時に2人のそばにいた、大浦天主堂のマリア像に会いに行きたくなりました。

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2012/02/27

コルベ神父が1930年に長崎に来て、5年後にポーランドへ帰国後、アオシュビッツで惨殺される事を背景として、長崎を中心とした日本人男女の物語、原爆投下で終わる。信仰と戦争と言う永遠のテーマ。

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2011/07/24
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自分の状況とダブらせてしまう。 離れる人と留まる人。 祈る者と願う者。 もどかしく、美しく、醜く、悲しい。

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2011/04/05

第二次大戦下、教会の幼友達修平と、本当の恋をし、本当の人生を生きたサチ子の一生。 * 戦争によってさまざまな人たちがたどった悲しい運命に心を痛めずにはいられなかった。こんなひどい時代があったこと忘れてはいけないなと。

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