疑似科学から科学をみる

マイケル・D.ゴーディン(著者), 平井正人(訳者), 住田朋久(訳者), 黒川尚子(訳者), 隠岐さや香(監訳)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店
• 発売年月日: 2025/11/20
• JAN: 9784000617284

商品レビュー

2025/11/21

科学と疑似科学の間に明確な境界線を引くことは不可能 反証可能性という単一の基準では科学を定義できない 進化生物学や歴史地質学は反証可能性の基準では科学から除外される ポパーの基準は実際には多くの疑似科学を排除できない 創造論者やUFO研究者はポパー自身を引用して自分たちを擁護する ローダンは区分問題そのものが疑似問題だと主張した 科学者たちは異常な結果に直面しても理論を即座に放棄しない ラカトシュの研究プログラム論は科学理論の発展をより適切に説明する 遺存科学とはかつて正統な科学だったものが後に追放される現象 骨相学は19世紀初頭では正統な神経学と見なされていた 脳機能の局在性に関して骨相学支持者は正しい側にいた 骨相学の中心的主張は最終的に厳密な科学的方法により否定された 錬金術は近代化学の誕生をもたらした重要な思想的貢献をした ロバート・ボイルは錬金術の伝統から多大な影響を受けた 化学という独立した科学は17世紀後半に錬金術から分離した 高度に政治化された科学はイデオロギーと密接に結びつく アーリア物理学運動はナチスドイツにおける民族主義的運動だった アインシュタインらの現代理論物理学は『ユダヤ物理学』と蔑視された レーナルトとシュタルクはノーベル賞受賞者でありながらアーリア物理学を主導した ナチス当局は最終的にアーリア物理学を無視することにした アーリア物理学が兵器開発に悪影響を及ぼす可能性があった ルイセンコはソビエト連邦で獲得形質の遺伝を主張した メンデル遺伝学はルイセンコの時代ソビエト連邦で禁止された 1948年8月にルイセンコの立場がスターリンにより承認された 古典遺伝学者たちは『自己批判』を行い以前の確信を撤回した ソビエトの物理学は遺伝学が攻撃される時期に驚異的成功を収めていた マルクス主義思想と科学の国家的破壊に直接的相関関係がなかった 超心理学はESPや心霊現象の研究分野である 1882年にロンドンで心霊研究協会が設立された J・B・ラインはカール・ゼナーと共にESP実験システムを開発した ゼナー・カードを用いた実験で20パーセント以上の正解率が得られた C・E・M・ハンセルはラインの実験に深刻な欠陥を指摘した ガンツフェルト実験は『送信者』と『受信者』の隔離下で行われた ガンツフェルト研究は独立して再現されていない 主流科学者はほぼ全員超心理学を疑似科学と認識している 超心理学の理論は検証が困難または不可能である 優生学はフランシス・ゴルトン卿により1883年に提唱された ゴルトンは『氏か育ちか』というフレーズを作った 科学的人種差別と優生学は20世紀初頭に大きな影響力を持った 疑似科学の定義は政治的および社会的文脈に依存する