商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
| 発売年月日 | 2025/04/30 |
| JAN | 9784488029197 |
- 書籍
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記憶の対位法
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記憶の対位法
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商品レビュー
4.1
17件のお客様レビュー
「 『歴史』はただ一度おきたことをそう呼ぶんじゃないんだよ。 なんども繰り返し語られて、なんども繰り返し思い出されるんだ。 だからこそ『歴史』になるんだよ。 」
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フランスのリモージュが舞台。フランス語がたくさん出てくる。日本語の意味がわかるように、ルビの形になっているのだけれど、慣れない語彙に戸惑う。さらに扱っているテーマも、タイトルから察せられるように音楽史なのだが、それだけでなくフランスの現代史や移民、差別の問題など、重たい内容が盛り...
フランスのリモージュが舞台。フランス語がたくさん出てくる。日本語の意味がわかるように、ルビの形になっているのだけれど、慣れない語彙に戸惑う。さらに扱っているテーマも、タイトルから察せられるように音楽史なのだが、それだけでなくフランスの現代史や移民、差別の問題など、重たい内容が盛りだくさん。こう書くととっつきにくいイメージがあるが、物語としては面白いし、それぞれのキャラクターも良い。解決していない問題も会ってモヤモヤしているので、続編を期待したい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
400ページを超える、フランスの分断と歴史、そして人種であり宗教、音楽の記憶と秘密。フランスという政教分離の国の中でのイスラム教徒たち。テロという社会的な問題と、イスラム教徒であるという理由で本質的な差別を受ける人々。主人公のジャン=バティスト(ジャンゴ)はバティスト(洗礼者)という名前を持ちながらキリスト教徒ではなく、北アフリカの血統に連なる容姿をしながら回教徒ではない。彼はジャーナリストだ。 ジャーナリストとして、キリスト教系の新聞社に務め、その中で差別というものと立ち向かおうとしている。だけど、かつては仲良く過ごしたはずのイスラム教徒の友人たちにとってはジャンゴは「裏切り者」だ。 フランスという国にも、宗教というものにも、どこにも属しきれないまま、ジャンゴは、かつて対独協力者として弾劾された祖父の遺品から黒檀の小箱を見付ける。そして、それが祖父の真実と、この国や差別、音楽や宗教というものと向き合わせていく。 記憶/歴史は、主観で変わる。起きた出来事は、たった一度のひとつきりかもしれないが、繰り返し呼び出されるたびに形や色彩は変わっていく。それはいい意味にも、悪い意味にもなっていくだろう。だけど、何かを語り残すには繰り返し呼び出し続けるしかなく、歴史も記憶も、決して同じ形で居続けることは出来ない。 かつて、ただひとつの真実を知ってしまい声を上げたゆえにコラボとして追われた教師であった祖父も、共にすごした仲間が一方的に差別されることに立ち向かおうと記者になったジャンゴが裏切り者と呼ばれることも、いつかいつか変わっていけるように。
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