世界近現代全史(5) 世界戦争の時代 上 YAMAKAWA SELECTION

大江一道(著者)

• 販売会社／発売会社: 山川出版社
• 発売年月日: 2025/04/23
• JAN: 9784634424180

商品レビュー

2025/05/12

帝国主義の危機と世界大戦: 20世紀初頭の帝国主義列強間の緊張の高まり（特にモロッコ問題やバルカン半島の紛争）が第一次世界大戦勃発の背景にあることが示されています。
モロッコ問題: フランスの政治的優越権をドイツが承認したものの、ドイツの経済的拡張は阻止された。
バルカン半島の紛争: オーストリア=ハンガリーによるボスニア・ヘルツェゴヴィナ併合はセルビアの民族運動を激化させ、バルカン戦争を引き起こした。これは「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれ、列強間の対立が深まる要因となった。
第一次世界大戦の勃発: オーストリア=ハンガリーとセルビア間の限定的な紛争になると楽観視されていたが、ロシアの介入、ドイツの支援、シュリーフェン計画などにより、世界戦争へと拡大した。
総力戦の時代: 第一次世界大戦は、国民経済や社会全体を戦争遂行に動員する「総力戦」の様相を呈しました。
各国は軍事生産体制を確立し、食料や物資の供給を強化した。
イギリスの海上封鎖により、ドイツは困難な状況に追い込まれた。
女性の労働力活用や労働者のストライキも発生した。
世界革命と民族革命: ロシア革命が世界に大きな影響を与え、特にアジアにおいて民族自決の機運を高めました。
ロシア革命: 二月革命、十月革命を経て、ソヴィエト政権が樹立された。ブレスト・リトフスク条約により、ロシアは第一次世界大戦から離脱した。
アジアにおける民族運動: ロシア革命の影響を受けて、朝鮮、中国、インド、イラン、トルコなど、様々な地域で独立や改革を求める運動が活発化した。
朝鮮では「三・一独立運動」が起こり、日本の植民地統治の修正を促した。
中国では「五・四運動」が起こり、ヴェルサイユ条約への不満と反日運動が拡大した。
インドではガンディーによる非暴力抵抗運動が展開された。
イランでは立憲革命や民族運動が起こり、レザー・ハーンによる新王政が樹立された。
トルコではムスタファ・ケマルによるトルコ革命が起こり、アンカラ政府が樹立された。
民族自決の原則: ウィルソン米大統領が提唱した民族自決の原則は、多くの植民地や従属国の民族運動を鼓舞した。
戦後の世界秩序の変容: 第一次世界大戦後、ヴェルサイユ体制が成立し、国際連盟が設立された。しかし、この体制は多くの問題を抱えており、後の第二次世界大戦へと繋がる要因となった。
ヴェルサイユ条約: ドイツとその同盟国に戦争責任を負わせ、領土割譲や賠償金支払いを課した。
国際連盟: 国際紛争の平和的解決を目指して設立されたが、主要国であるアメリカが不参加であり、有効性に限界があった。
新独立国家の誕生: ポーランド、チェコスロヴァキア、ユーゴスラヴィア、ルーマニアなどが領土を拡大・獲得し、新たな国民国家が誕生した。しかし、これらの国家は少数民族問題を抱えていた。
アメリカ合衆国の台頭: 第一次世界大戦を経て、アメリカ合衆国が国際経済において主導的な地位を確立した。しかし、ヴェルサイユ条約の批准を拒否するなど、孤立主義的な傾向も見られた。