チンパンジーは、なぜ「教え」ないのか ヒトにできて、チンパンジーにできないことを哲学的に考える

木村史人(著者)

• 販売会社／発売会社: 晃洋書房
• 発売年月日: 2025/02/28
• JAN: 9784771039117

商品レビュー

2025/03/28

第1章: ヒトとチンパンジーの相近性
- 問いの確認:
- ヒトとチンパンジーの間の心理的・認知的相違についての考察。
- 研究参照:
- 松沢村郎のチンパンジー研究。
- マイケル・トマセロの幼少期に関する研究。
- 共同注意の概念:
- 他者の注意を理解する能力としての「共同注意」を定義。
- ヒト特有の「距離を空ける」能力の仮説提示。

第2章: 意味の構造と距離を空ける能力
- 距離を空けることの重要性:
- ヒトのみが「意味」を理解し、言葉を用いたコミュニケーションを行える理由を探る。
- 意味の構造解析:
- 意味の理解が如何にして他者の意図を読み取ることを可能にするかを示す。
- 共同注意の成立条件:
- 二つのものに同時に注目を向けるための「距離を空ける」能力の役割。

第3章: 意図の哲学的分析
- 意図の透明性:
- アンスコムの「意図的行為」に関する理論を基にした分析。
- 実践的知識の構造:
- 意図がどのように行為に反映されるかの検討。
- 行為の理解:
- 他者の行為を理解するための実践的知識の枠組みを提示。

第4章: 権威ある他者からの学び
- 教育における権威の役割:
- 教師と生徒の関係性とその影響について。
- 共同注意の重要性:
- 教える・教わることにおける共同注意の成立条件を探る。
- 生徒の学びのプロセス:
- 生徒が教師を「第三者の審級」として認識し、規則を学ぶ過程。

結論
- ヒトの特異性:
- ヒトのみが持つ「距離を空ける」能力とそれが意味理解や意図の把握に如何に寄与するかを総括。
- 今後の研究の方向性:
- ヒトと他の動物との比較研究の重要性を強調し、さらなる探求の必要性を示唆。