心の哲学史

村田純一(編者), 渡辺恒夫(編者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2024/11/14
• JAN: 9784065235225

商品レビュー

2025/09/29

ブレンターノとヴントを起点に，フッサールやメルロ＝ポンティなどの現象学や，認知神経科学といった分野への発展を展望する本。心理学・哲学・神経科学の関係性に注目。

2025/04/13

1. 表象と意識の志向性

ヴントは表象を意識内の対象の像として定義
プレンターノは意識の志向性を重視
フッサールは志向性概念を洗練させ、「明証」の概念を導入

2. ゲシュタルト心理学

知覚は単なる感覚の集合ではなく、全体として組織化された経験
ルビンの壺のような多義図形を通じて知覚の能動的組織化を説明

3. 行動主義と認知革命

ワトソン、スキナーの行動主義は内的意識状態を排除
チョムスキーが行動主義の限界を指摘
認知革命は情報処理モデルを用いて心的過程を再検討

4. 身体化された認知

認知過程は身体経験や環境との相互作用に深く根ざす
メルロ＝ポンティの身体現象学が大きな影響
ラバーハンド錯覚や脳-機械インターフェース研究が身体認知の理解を深化

5. 内観の意義と限界

ヴントは内観を心理学の基本的方法と認識
主観性と再現性の問題点も認識

6. 現象学と心理学の交錯

フッサールの現象学は意識体験の記述を重視
ゲオルギらのデュケイン学派が現象学的心理学を発展
ヤスパースの精神病理学は現象学的アプローチを採用

結論

心の研究は多様な哲学的・科学的視点から発展
身体化された認知が今後の心の研究に大きな影響を与える可能性