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まず良識をみじん切りにします
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まず良識をみじん切りにします
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商品レビュー
3.5
68件のお客様レビュー
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世にも奇妙な物語のような短編小説たちだった。 浅倉さんらしいどんでん返しや叙述トリックがないなーと思ったけど、思えば『フラッガーの方程式』みたいな勢いある意味のわからなさも浅倉さんらしさだったなと思い出した。 『そうだ、デスゲームを作ろう』は、個人でデスゲームを開催しようとすると下準備めちゃめちゃ大変だな…そしてその苦労を一瞬でふいにする参加者の予想外の行動が切なくもおもしろかった。 『行列のできるクロワッサン』はめちゃくちゃ世にも〜ぽくて、行列6キロから「え?」てなり出してフルマラソンの距離、そしてとうとう行列が県を跨いで三重まで行ってしまってもうわけわからなさすぎておもしろかった。なんだクロワッサン保険て。 最後の『完全なる命名』は子を持つ親としてなるほどなーと思わせられる部分あった。 世間にはこんな真剣に命名する親もいるんだなー、いやいないか。 浅倉さんの短編は始めて読んだけど、楽しく読めました。
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考えてみれば、人間のすることには滑稽なことが多い。その取り組みが真面目であればあるほど、滑稽さの度合いは増すばかり。 そんな、思い詰めたあげく滑稽な行動に走ってしまう人たちをコミカルに描くユーモア短編集。 ◇ その日、花籠は不動産屋の営業に連れられて、...
考えてみれば、人間のすることには滑稽なことが多い。その取り組みが真面目であればあるほど、滑稽さの度合いは増すばかり。 そんな、思い詰めたあげく滑稽な行動に走ってしまう人たちをコミカルに描くユーモア短編集。 ◇ その日、花籠は不動産屋の営業に連れられて、長野県武石小沢根の山深い土地に別荘の内見に来ていた。 別荘は、軽自動車がギリギリ通れる狭隘な道を入った場所に1軒だけポツンと建っていて、人はもちろん車もまず通らない。おまけに古くはあるが堅牢なコテージ造りであるところも、花籠の目的に合致する。 花籠の目的。それは、密室状態にした建造物をデスゲーム施設に造り替え、恨み骨髄のあの男への復讐を果たすことだった。 ( 第1話「そうだ、デスゲームを作ろう」) ※全5話。 * * * * * どの話もバカバカしいほどにあり得ないような設定なのに、妙に惹き込まれてしまって大笑いしながら読んでいました。 そんな抱腹絶倒ストーリー5つの中でも不思議にリアリティを感じるのが、第2話「行列のできるクロワッサン」と最終話「完全なる命名」でした。少し紹介しておきます。 第2話「行列のできるクロワッサン」 主人公の絵美は、吉祥寺の閑静な住宅街で暮らす専業主婦です。 ママ友たちとゆったりお茶会を楽しむのが好きな絵美は、商店街に新しくできたクロワッサン専門店「イゴル・エディ」に客が行列を作っているのを見ても眉を顰めているだけでした。 だから「イゴル・エディ」人気が留まるところを知らず、行列が日を追うごとに長くなっていっても、さほど気にはならなかったのです。 ママ友のほか夫と娘もそんなものには興味がない様子なのを見て安心していた絵美ですが、ある日、行列に冷めた目を向けていたはずのママ友たちまでこっそり列に並びだしたことを知ってショックを受けます。 さらに、夫と娘の本当の気持ちにも気づいてしまった絵美は……。 第5話「完全なる命名」 もうすぐ息子が生まれる、心配性でかつ妄想癖のある男。里帰り出産をすることになった妻から命名を頼まれます。 名前が人生を左右することもある。それならば、息子にとってよりよい未来をもたらす名を、是が非でもつけなければなるまい。 男は真剣に、まだ見ぬ息子の名を考えるのでした。 子どもが生まれ、男は熟慮の末に考えついた名を、妻とその両親の前で披露します。義両親は微妙な反応だったものの妻は喜んでくれ、うれしそうに赤ん坊に名前で呼びかけています。 男もひと安心するのですが……。 ☆日常社会を成立させているのが「良識」であることは間違いありません。皆が欲望の赴くままに行動すれば、あちこちで争いが起きることは火を見るより明らかです。 だから自分を慎む。それが「良識」と呼ばれる「大人の分別」なのですが、何かの拍子にその「良識」という枷をかなぐり捨てたくなるときがあるもので……。 各話の主人公たちは皆、良識を逸脱した行動をとらないよう気をつけている、真面目な人たちばかりでした。 けれど、あることがきっかけとなって普段の自分では考えられない行動に出てしまいます。内容的にはあり得ないほど極端なのですが、そこに至るまでの心理的な過程にはリアリティがあって、大笑いしながらもゾッとする気持ちも味わえます。 イチオシは第2話で、ホラー仕立てのラストがよく利いていました。
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好き嫌いが分かれそうな作品。星新一や今村夏子の作品のようなファンタジー(?)短編が好きな方ならおそらく好きであろうテイスト。『六人の嘘つきな大学生』と同じ作者だと言うことに大変驚いた。私はどちらも好きな作品だが、『六人の〜』を読んで作風を気に入ってこれを読んだら驚いてしまうかもしれない。
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