ちゃっけがいる移動図書館

髙森美由紀(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 2024/08/20
• JAN: 9784120058189

商品レビュー

2024/11/07

非正規雇用の身として、序盤は心が苦しくて読むのも辛かった。主人公の心情がそれ位リアルに描かれている。
だから、仔犬が登場してからのファンタジックな展開に癒やされるのか…と思いきや、そう簡単には行かない。
でも、その小さな変化は次第に主人公を変えていく。自分だけではなく、周りを見れば気づく事がある。それを気づかせてくれるのは無垢な存在なのかもしれない。

2024/10/31

移動図書館の車にボロボロで保護された子犬を、独身・非職員・35歳の実が預かることになる。ちゃっけと過ごすうちに、実の視野が広がっていく様が丁寧に書かれている。自分にあまりに自信を持たない実は、そのせいでやれる事さえ諦めて過ごす癖がついてたんだろうな。セラピー犬がいるように、犬って人間を癒す力があるのかもしれない。

2024/10/28

移動図書館と犬、好きが詰まった本。非正規雇用で働きながらも色んなものを諦め親からのプレッシャーを感じながらも淡々と暮らす実が子犬を保護することで環境も考え方も全てが変わっていく。食べて排泄して遊んで寝る、生きることに真っ直ぐな犬は人を根本から変えてくれる力がある。小さいという意味で名付けたちゃっけから大きなものをたくさん受け取っていき実の心が満たされていくのが心地いい。ちゃっけの「全てを理解してますよ」という様な賢さや人好きな姿が愛しい。期待より更に深く深い内容でとても実ある読書で本当に楽しかった。