商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2024/07/29 |
| JAN | 9784102403136 |
- 書籍
- 文庫
狂った宴
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狂った宴
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商品レビュー
4.6
5件のお客様レビュー
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英国統治下にあるアフリカの小国アルバーティア(架空の国の模様)。 近い独立を前に国家元首を選ぶ選挙が行われる。 DDT(ダフィー・ダウナー&サイムス社)に勤める文才ピーター・アップショーは当選請負人シャルテルと共にこの選挙で狙った候補者が当選することへ心血を注ぐ。 英国、米国のプロモーション企業、果てはCIAまでもが独立後の利権を目論んでここぞとばかりに内政干渉し合う中、腕利きシャルテルの戦略はいかに。 途上国的原始性と近代化が混ざり合う混沌のアフリカの地においての、シャルテルの小粋な装いと自信たっぷりな身のこなしが魅力的。 ただ、中盤あたりからやっぱりこの手の政治的な話は個人的興味が盛り上がらないなと感じる。 勝つための戦略も画期的とは思えないし、それで勝てるんならそもそも戦い自体が洗練されていないんじゃないか。相手陣営も思ったほど登場して来ず、思想の話は二の次な小手先のパワーゲームを見ているだけな気がしてくる。 とはいえ最終盤の展開は予想していなかった。 凪からの大嵐去ったあとの余韻が残す虚無感の意外性に星一つ増えた。 原題『seersucker whipsaw』、いきなりこれ言われても何のこっちゃだけど、『狂った宴』が良訳とも思えず、読み終えた後にしては原題の方が感覚的に馴染むというなんとも悶々とするタイトル。
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※このレビューにはネタバレを含みます
快調な滑り出しに、いつにない能天気な展開にすっかり油断していたら、そうは問屋が卸さなかった。中盤の重い伏線がラストでいきなり炸裂するのだ。さすが!しかし怖い!未訳の長編は無論、絶版の諸作も再販・新訳で読みたい!!!
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昨年の『愚者の街』には驚いた。20世紀に活躍したアメリカの作家ロス・トーマスが、20年ぶりに邦訳されたのだ。ロス・トーマスは1926年生まれ。1995年に69歳で亡くなっているから、おお、ぼくはあとひと月でこの作家の人生に追い着くのだ。もちろんそれは、人生の長さというだけであっ...
昨年の『愚者の街』には驚いた。20世紀に活躍したアメリカの作家ロス・トーマスが、20年ぶりに邦訳されたのだ。ロス・トーマスは1926年生まれ。1995年に69歳で亡くなっているから、おお、ぼくはあとひと月でこの作家の人生に追い着くのだ。もちろんそれは、人生の長さというだけであって、文学という意味でのこの天才作家の才能やセンスには決して誰もなかなか追い着くことはできないだろう。人生は生きた時間の長さではないのだ、ということをこの作家の残した作品はぼくたちに多く物語る。 新潮社の方針なのか、翻訳家・松本剛史の選択によるものなのかわからないが、ロス・トーマスにしては初期作品が立て続けに訳されており、どれも人気作の二つの探偵コンビ・シリーズのユーモラスなハードボイルド風味ではない。むしろ重厚な国際冒険小説である。昨年に初邦訳された『愚者の街』は堕落した街を一つ滅ぼすという壮大なミッションを与えられた主人公が活躍する冒険小説であった。それに比して、今回の本作は、さらにスケールの大きな物語でアフリカの一国の国家元首選挙をコントロールしようという物語である。小さな国とは言えアフリカの幻の小国、というだけで怪しさが充満して見える。 なぜか、ぼくがこの作品を読んでいる間、なおかつこれを書いている今、怪しげな県議選挙結果が、日本で初ではないかと思われるような物議をかもしてネット媒体を炎上させている(なぜかTV媒体はほとんど昼寝状態、まあこれに限ったことではないけれど)。兵庫県知事選挙という日本でも新たな怪しさに満ちたイベント。議会によってクビになった斉藤某という若手市長が、売名行為で名高い暴力的カルト集団N国の立花何某とつるんで、なおかつSNSを駆使して、性懲りもなく選挙に挑み、なおおそらくは反則行為で再度市長の座を勝ち取った、という前代未聞のニュースで持ち切りとなっている。選挙のいかがわしさは、小説の中でも外でも同レベルで、ぼくらの脳みそを掻きまわしてしまうのだ。 さて本書。一人称で語るのは広告代理店勤務のピーター・アップショー。話をもちかけるリーダー役はクリントン・シャルテル。そう、ロス・トーマスのお家芸であるその後の作品群の多くが、ツイン主人公によるコンゲーム+冒険小説+スパイ小説の味わいを持つのだが、しっかり作家デビュー直後のこの時点でそれらの土台は出来上がっているのだ。ロス・トーマスの作品は物語はもちろん、キャラが立った作品が多く、ぼくもそれらのキャラにがつんとやられ、惚れまくった読者の一人である。本書『狂った宴』の二人もその例外ではなく、むしろこれまで読んできたロストマ作品におけるスパイ小説や探偵小説の範疇ではない、選挙を勝たせるプロというどこか地味眼な存在に驚いていた。 さてアフリカの小国に渡るまで、渡ってからと、その書き込みのディテールの確かさが、いわゆるロストマ節なのだが、如何せん、選挙がストーリーの主軸であるゆえに何とも地味なのである。一つでも多くの票を集めるためにやるべきは何か、敵陣営は何をしてくるかといった細やかな戦略を読んでいると、軽妙なアクションを思い描いていたぼくは、何やら随分精密で読みにくいロストマ作品だなと不満に思い、途中で投げ出したくなったこと数回。でもまあ。ロストマだ。我慢して読まないわけにはゆかないだろうが。 選挙小説なんて大して面白くないな、と我慢して読み続けた甲斐があったと感じられるのは、間違いなく大団円に急速に向かってゆく終盤である。この圧倒的な読者を引き込むパワーとそのストーリーの持つ力学が最後にぐいっと読者を引っ掴むのだ。ラストは、ちと忘れられないようないい映画を観た時のようにページを閉じることになる。あれほど選挙小説なんてつまらねえと一人不平を漏らしていたぼく自身が、やっぱりロストマは凄いんだなと吐息を漏らし始めるという自分でも恥ずかしくなるほどの身代わり七変化なのである。 なので選挙というものは小説の中も日本で行われるそれも大概はつまらないものだと思いながらも、そこを操る人間たちの千差万別さは、作品も現実もなかなか裏の闇が深いのだということを味わった一ヶ月間であったように思う。そう、そのくらいぼくの読書ペースは落ちているのだが、ラストの二百ページは早かった。ラストまで読まないと、あるいはラストだけ読んでも、この充実したような奇妙な感動は得られない一冊である。なお、日本の選挙を変えるのに役に立つか? という点では、本書は実用書にはならないよ、とだけお応えしておきましょう。この物語の中で繰り広げられる半世紀前のアフリカの小国の方が日本よりも遥かに先を行っている、とも。ついでに言えば、日本の選挙は未だに幼稚で野蛮だし、多くの国民に関心を持たれていないよね、とも。
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