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男はなぜ孤独死するのか
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男はなぜ孤独死するのか
¥2,420
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商品レビュー
3.5
16件のお客様レビュー
ほぼ邦訳題の通り、「男はなぜ孤独死するのか」(あえて言うのであれば「孤独死」というよりは「(精神的に追い詰められての)自殺」であろう)について、原因を深く掘り下げ、また対策を考える1冊。 とは言っても、筆者は「男に『読書クラブに入れ』『芸術鑑賞をしろ』などと言っても一部の層にしか...
ほぼ邦訳題の通り、「男はなぜ孤独死するのか」(あえて言うのであれば「孤独死」というよりは「(精神的に追い詰められての)自殺」であろう)について、原因を深く掘り下げ、また対策を考える1冊。 とは言っても、筆者は「男に『読書クラブに入れ』『芸術鑑賞をしろ』などと言っても一部の層にしか響かず賛同は得られない」と言いつつも、同様に「一部の層にしか響かない」であろう「規則正しい生活」「アウトドアの趣味を持つこと」を挙げており、これらの「対策」は男性の自殺にとって特効薬とはなり得ないであろう。 本書に曰く、男性は(ほとんど年齢とともに)交友関係を失うために孤独死しがちであり、その原因は社会的地位や金銭などといった類のものと交友関係(の育成維持)がトレードオフになるためとのこと。男性の社会が強く競争的排他的な傾向を持ち、共感といった類のものを育まないというのは近年喧しく言われていることであり、そろそろその反省を活かすべき時であろう。 また、本書では、男性は交友関係の育成維持には関心を払わず人を助けないが、見ず知らずの人を助けるケースはむしろ男性の方に多いと述べている。筆者の言には疑いはないが、「女性にAEDを使うと訴えられる」とのデマが頻回で出回り、その度に「自分は女性が倒れているのを見かけてもAEDなど使わない」と述べる男性があまりに多い本邦においてもその通りであるのかは疑問である。 全体として事実を正確に見据えており、楽観も性差別的な見方もなかったように思う。昨今話題の自称「弱者男性」には本書を読んでみてほしいものである。
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本書は海外の事例なので、日本ではどうかを調べてみた。やはり、男性の方が孤独死する割合が圧倒的に多い。しかし、女性の方が一般的に長寿だから、一人暮らしは女性の方が多い。だったら女性だけ特殊な死因でもあるのかと腑に落ちない感じだったが、この「孤独死」の定義、死後早めに発見されたら当て...
本書は海外の事例なので、日本ではどうかを調べてみた。やはり、男性の方が孤独死する割合が圧倒的に多い。しかし、女性の方が一般的に長寿だから、一人暮らしは女性の方が多い。だったら女性だけ特殊な死因でもあるのかと腑に落ちない感じだったが、この「孤独死」の定義、死後早めに発見されたら当てはまらないらしい。それは、本書の〝なぜ“にも直結するのだが、多くの男性は人付き合いをしていないのだ。 この切り口で始めると、大凡の事が分かってくる。次に調べるべきは、「男性は何故人付き合いをしたがらないか」だ。そこで見えるのが男性的な競争社会や職場中心の価値観だ。 ー 本書の要点は、孤独の格差は明らかに存在し、現状では、男性の方がより孤独であるということだ。これは、本書で最も重要となるパラドックスである。地位やお金、優遇措置など、良いことは男性の方が多いが、自殺や孤独など、「悪いことも」男性の方が多いということだ。たとえば、女性の収入が上がり、それに伴う地位にこだわるようになれば、女性の孤独のレベルがじりじりと上がっていくことも考えられる。 大体読む前の見立てに近い事が書いていた。それと以下の話も印象的。 ー 新鮮な空気、緑の草、自由は、ニワトリにとって魅力的なものだと思われるだろうが、同時に鶏小屋の継続性や快適さも魅力的なのだ。自己証明理論によれば、人の自己確証欲求の根底には同じ動機があるとされている。人は安定した自己概念を(たとえ否定的なものであっても)好むが、それは安定が、世界全体に対する統制や結束、予測可能性の感覚を提供してくれるからだ。僕たちの神経系は、それ自体にとって望ましく、また僕たちにとっても望ましいものと思えるように設計されているようだ。ある人々には、残念ながら、自己評価の低さを感じ続けることが、自分の鶏小屋になる。鶏小屋は、慣れ親しんでいて快適で、魅力的な代替品よりも好まれる。代替品には、まさに継続性や安定性を犠牲にすることが求められるからだ。自己証明論者は、この安定した連続性の感覚を「認識による安全」と名付けた。これは「慣れ親しんだ知識による安全」と言い換えてもいいかもしれない。これが、ニワトリが鷄小屋から飛んでいかない理由のひとつであり、過食症の人が、自分が魅力的だと思わない情報に興味を持つ理由のひとつだ。 安定こそ快適。しかし男子は人付き合いを!
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トーマス・ジョイナー氏の『男はなぜ孤独死するのか:男たちの成功の代償』は、現代社会において男性が直面する、見過ごされがちな「孤独」という深刻な問題に深く切り込んだ一冊だ。本書は、**「大人の男性は女性よりもずっと寂しい」**という衝撃的な真実を冒頭で提示し、その原因と対策を多角的...
トーマス・ジョイナー氏の『男はなぜ孤独死するのか:男たちの成功の代償』は、現代社会において男性が直面する、見過ごされがちな「孤独」という深刻な問題に深く切り込んだ一冊だ。本書は、**「大人の男性は女性よりもずっと寂しい」**という衝撃的な真実を冒頭で提示し、その原因と対策を多角的に分析している。 男性の孤独は「無自覚な進行」 本書の核心にあるのは、男性の孤独が**「最初からではなく次第に孤独な性になっていく」という指摘だ。男性は、時間とともに孤独感を測るセンサーが鈍りやすく、知らず知らずのうちに孤独が進行していく。2005年のアメリカの自殺者数の約80%が男性であるというデータは、男性が不釣り合いなほど「不幸」を抱えている現実を突きつける。著者はこの不幸の根源を「孤独感」**であると断言する。 友情の喪失と「お金・地位」への執着 男性の孤独の大きな要因として挙げられるのが、友人関係の喪失と補充の失敗だ。多くの男性は、幼少期の制度化された環境で自然に築けた友情から、成人期に努力を要する**「努力の結晶である友情」への移行に失敗している**。彼らは、酒やゴルフ、趣味といった限られた社交の場でしか、本当のつながりを見出せずにいるという。 そして、男性が友情を軽視する背景には、「お金や地位」への強い執着がある。本書は、男性が友人関係から遠ざかりながら、同時にお金や地位を獲得していくという皮肉な現実を描き出す。週に48時間以上働く人の8割が男性であるというデータは、男性が仕事やキャリアに没頭し、その代償として人間関係を犠ろかにしている可能性を示唆している。成功の先に待つ**「頂上の孤独」**は、まさにこの執着の結果であり、物質的な豊かさとは裏腹の虚しさや寂しさを突きつける。 「甘え」と「邪魔をするな」が招く孤立 著者は、男性の孤独のプロセスを「甘え」と「邪魔をするな」という二つの側面から説明する。「俺の邪魔をするな」という自立・自給自足の姿勢は、実社会における相互依存の重要性や、挫折を乗り越えるための友人の必要性を軽視する傾向につながる。また、若い男性が実社会の困難を経験せずに「甘やかされる」ことも、彼らが孤独の道へと進む一因となる。 孤独の代償と癒しへの道 孤独は、うつ病をはじめとする心身の不調を引き起こし、悪化させる。そして、男性が孤独を埋め合わせようと、アルコールの過剰摂取や不倫といった一時的かつ破壊的な行動に走る危険性も指摘されている。これらの行為は、本物の持続的な人間関係を伴わない限り、絶望的な解決策に過ぎない。 しかし、本書は絶望で終わらない。孤独を癒すための「総合的な治療法」は存在しないとしつつも、人間が本来持っている**「群生的」な性質に再び火をつけること**の重要性を強調する。その具体的な方法として、以下の点が示唆されている。 自然との相互作用(バイオフィリア): 自然との触れ合いは、感情的なつながりを生み出し、孤独感を減らす効果がある。 人間関係の再構築: Eメールではなく電話で話す、若い頃の親友と年に一度など定期的に再会するといった、地道な努力が友情を維持・再構築する上で不可欠だ。 「帰属意識」の育み: 他者がいるいないにかかわらず、「帰属意識」を感じられるような行動が、孤独の解毒剤となる。 歴史的連続性の認識: 祖先や子孫、そして歴史の中に自分を位置づける感覚は、アイデンティティの連続性を生み出し、孤独感を減らす。 本書は、男性が社会で「成功」を追求する中で失いがちな、人とのつながりの大切さを改めて問いかける。そして、単なる啓蒙に留まらず、具体的な行動変容を促す示唆に富んだ内容となっている。男性に限らず、現代社会における人間関係の希薄化に警鐘を鳴らし、真の幸福とは何かを考えさせる、示唆に富んだ一冊だ。
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