商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 青土社 |
| 発売年月日 | 2024/05/11 |
| JAN | 9784791776436 |
- 書籍
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スピノザ考
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スピノザ考
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この書籍は、上野修氏によるスピノザ哲学の考察を深掘りし、「人間ならざる思考へ」というテーマを探求しています。 ### スピノザ哲学の根幹 本書は、スピノザの主著である**『エチカ』**をその考察の中心に据え、**幾何学的秩序**に従って記述された彼の哲学体系を詳細に分析していま...
この書籍は、上野修氏によるスピノザ哲学の考察を深掘りし、「人間ならざる思考へ」というテーマを探求しています。 ### スピノザ哲学の根幹 本書は、スピノザの主著である**『エチカ』**をその考察の中心に据え、**幾何学的秩序**に従って記述された彼の哲学体系を詳細に分析しています。特に、真理とは何か、真なる観念がいかに形成されるかといった**「真なる観念の内的規定」**の概念が、彼の哲学の理解において極めて重要であると論じられています。また、**「自らの原因」**、**「実体」**、**「属性」**、**「様態」**、**「神」**、**「永遠性」**といった『エチカ』の**基本的な定義**が、スピノザの存在論的、認識論的基盤をいかに築いているかが解説されています。 ### 実在と永遠の視点 スピノザの**形而上学**において、**「現実性と必然性」**は中心的なテーマです。このパートでは、彼が世界を**神の必然的生成**と捉える**「必然主議」**の概念が深く掘り下げられます。また、認識を**「第一種の認識」「第二種の認識(共通概念)」「第三種の認識(直観知)」**の三つに区分し、**「永遠の相のもとに」**物事を捉えるスピノザの視点が、**時間や有限性を超えた真理の理解**に不可欠であることが強調されています。スピノザにとって、神は世界全体である実体そのものであり、**世界は神以外の何物にも存在しない**とされています。 ### 政治思想と「群集」の力能 本書は、スピノザの政治哲学、特に**『神学政治論』**と**『政治論』**に焦点を当て、**ホッブズの契約論**との関係性を探求しています。特に、**「自然権」**の概念や、個人が自身の**「力能」**の及ぶ限りにおいて自然な権利を持つというスピノザの主張が分析されます。さらに、**「群集(マルチチュード)」**の概念が詳細に考察され、個人の力を集合させた**「群集の力能」**が政治権力や社会構造において果たす役割の重要性が強調されています。 ### 哲学史におけるスピノザの足跡 本書の重要なパートとして、**近代哲学史におけるスピノザの受容と影響**が広範囲にわたって分析されています。特に、**ライプニッツ**との対比を通じて、**可能性世界**の概念や現実性の理解におけるスピノザの独自性が浮き彫りにされています。また、19世紀フランス社会主義におけるスピノザの**「不在」**、**シモーヌ・ヴェイユ**、**ミシェル・アンリ**、そして**ジャック・ラカン**、**アントニオ・ネグリ**といった多様な思想家や運動がスピノザの哲学といかに交錯し、また独自の解釈を展開したかが探られています。 ### 「人間ならざる思考」への展望 最終章では、スピノザ哲学全体を通して追求された**「人間ならざる思考へ」**という主題が結びつけられています。これは、**人間の感情や意識**に限定されない**宇宙全体の真理**を探求し、**非人間的な視点**から現実を理解しようとするスピノザの**ラディカルな思想**が、現代の**哲学的問題**や**世界認識**にいかに新たな**洞察**をもたらすかを示唆しています。宮崎駿のアニメーション作品**『ナウシカ』**への言及は、この「人間ならざる思考」がいかに広範な領域に応用可能であるかを示す一例として挙げられています。
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