1,800円以上の注文で送料無料

三井大坂両替店 銀行業の先駆け、その技術と挑戦 中公新書2792
  • 新品
  • 書籍
  • 新書
  • 1226-26-01

三井大坂両替店 銀行業の先駆け、その技術と挑戦 中公新書2792

萬代悠(著者)

追加する に追加する

三井大坂両替店 銀行業の先駆け、その技術と挑戦 中公新書2792

1,100

獲得ポイント10P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2024/02/21
JAN 9784121027924

三井大坂両替店

¥1,100

商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

プロローグで記されているとおり、本書は江戸時代をユートピア的な視点で礼賛する本でも、また、明治維新によって打破された旧態依然とした暗黒時代だとこき下ろす本でもない。そうではなく、幕府の公金を為替するという特権があった三井大坂両替店(みついおおさかりょうがえだな)の営業活動を残された史料を基に紐解き、更にそこから見える江戸時代の社会を覗こうとするものである。 6章構成のうち後半の3章が、本題である同両替店の主力事業である融資事業の信用力調査についての説明であり、ここが非常にひきつけられる内容であることは論を待たない。現代のように数値化されたデータベースが存在しなかった時代、奉公人と呼ばれる住み込みの若者社員が、融資を必要とする人々の状況を事細かにチェックしていたのである。質に取る文物の評価はもちろん、融資申請者の人となりまで、周囲の人に聞き込み調査をしているのである。どうやら当時の融資の基準の大事な要素として、本人(あるいは連帯保証人)が、実直な人かどうかということがあったようである。 著者は現代に残されている信用調査の記録の価値に気づき、それを読み解いた上、本書ではその典型的な調査記録を現代によみがえらせてくれているが、その内容が多彩で興味深いのだ。ある人は女遊びがひどいだとか、またある人は家族トラブルを抱えているだとか。ここの記事に登場する人物の名前を現代の人に置き換えてぬきだしたら、興信所の調査報告書と見間違うであろう。効率化が極度に進んだ現代の信用力調査では考えられないことだが、「返す能力がある人」を正確に見定めるためには、これぐらいの実地調査があってもいいと思わされるとともに、周囲の人がこんなにもあけすけに語っている社会は、息が詰まりそうになるのではないかとも想像した。 個人的には、このような信用力調査の実態をより正確に理解するために設けられた2章も、興味をそそられた。ここでは三井大坂両替店の組織構造や人事システムなどが概説されているが、給与体系などをみるに、同社のビジネスを持続可能な形で継続できるような作りになっており、下手な人事戦だコンサルタントに丸投げするより、よほどためになる情報が埋もれているだろうと思われた。 このように眺めると、江戸時代から現代まで、明治維新という大きな時代の転換もありながらも、途切れることがなく続いている社会の営みもあるのだということがよくわかった。一方で、筆者がエピローグとあとがきで述べているように、三井大坂両替店は、あくまで特権的な両替商であり、全ての人々がその融資を受けられていた訳ではなく、また、特権を有していない同業他社もあり、三井大坂両替店と平等に亘りあえていた訳ではないという、江戸時代の制約も考慮すべきであるというのも、心に留めておくべきことである。

Posted by ブクログ

2024/06/29

顧客に貸付を実施するか否かを判断する際の信用調査票(聴合帳)が大変面白い。 聴合帳には、大阪三郷(今の中央区・西区を中心に北区南部・浪速区及び天王寺区北部辺りになるだろうか)の地名が頻出する。江戸時代の大衆社会や金融に関心がある方は勿論、大阪の歴史や地理に関心がある方にも楽しめ...

顧客に貸付を実施するか否かを判断する際の信用調査票(聴合帳)が大変面白い。 聴合帳には、大阪三郷(今の中央区・西区を中心に北区南部・浪速区及び天王寺区北部辺りになるだろうか)の地名が頻出する。江戸時代の大衆社会や金融に関心がある方は勿論、大阪の歴史や地理に関心がある方にも楽しめる一冊になっていると思う。 江戸時代の人々が自分と同時代を生きる人々に感じるし、三井グループの強さの源流を見た様な気がした。 喜久屋書店阿倍野店にて購入。

Posted by ブクログ

2024/03/22

三井大坂両替店は元禄四年に三井高利が創業した銀行業の先駆けだ。本書は膨大な史料からその経営手法を読み解く。繁盛の秘訣とは?

Posted by ブクログ