商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2023/12/26 |
JAN | 9784000616164 |
- 書籍
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戦争語彙集
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戦争語彙集
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4.2
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戦争の体験は、一人ひとりが言葉に抱く意味を変えてしまう。 前半は、ウクライナの詩人が実際に避難者の支援をしながら聞き取った証言たち。あらゆる証言に一切の優劣をつけることなるフラットに並べ提示する。マドレーヌ、ニュース、悦び、スイーツ、ゴミ、記事などの語彙にまつわる証言がとくに、...
戦争の体験は、一人ひとりが言葉に抱く意味を変えてしまう。 前半は、ウクライナの詩人が実際に避難者の支援をしながら聞き取った証言たち。あらゆる証言に一切の優劣をつけることなるフラットに並べ提示する。マドレーヌ、ニュース、悦び、スイーツ、ゴミ、記事などの語彙にまつわる証言がとくに、戦時の人々の人生や心の置き方として強く印象に残った。 「(…)その時に気づくんです。何もかも、以前とは違うのだと。朝ご飯も、犬の散歩も、表面や膜に過ぎないのだと。では、膜の内側にはいったい何が入っているのだろう?戦争が始まる前にそこにあったものは、一体何だったのだろう?」 (ニュース p.77) 「わたしの家も、この街も、置いていけばゴミになるの?そもそも、そんなことを考えている場合なの?」 (ゴミ p.93) 後半は、ロバート・キャンベルさんが実際のウクライナに入って、詩人や実際に避難を経験した人たちに会って聞いたこと、見たもの、感じたことがエッセイとして書かれている。前半の断片的な証言の奥行きを理解し、立体的にその経験を想像することができる。 その中で、日本からの人たちが無邪気に言う「平和」を求める言葉の数々が、ウクライナの人たちにある種ネガティブに受け止められる場面がある。 「ふわっとした着地点の見えない『平和』では、むしろわたしたちの言語も文化も、わたしたちの生命すら脅かされかねないからです」(p.175) 日本の平和思想と、まさにいま侵略されている国の避難民の現実は一致しえない。私は国際政治においてはどちらかというとリアリズムの立場を取るので、無条件な平和思想には同意できない。前者に基づく言葉は、戦地において空虚に響くだろう。しかしだからといってどちらかをお花畑、どちらかをリアリズムと切り分けるのではなくて、日本において平和思想が根付いた背景も軽んじるべきではないと思う。キャンベルさん自身も、エッセイの中でどちらかが正しいと結論付けることはしてない。 いまのわたしたちは同じ現実を生きているわけではないからこそ、現地での経験をきちんと知らないといけないと思う。
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言葉がシェルターになる。 戦争・侵略は、言葉の意味を変える。 避難してきた方々から、溢れでる言葉から、感じ、想像する様々な感情、風景。 そして、単なる語彙集とせず、現地を訪れ、その語彙の周りも丁寧に取材され、記録されたロバートさんの手記で、その語彙の奥行きが深まる。 この語...
言葉がシェルターになる。 戦争・侵略は、言葉の意味を変える。 避難してきた方々から、溢れでる言葉から、感じ、想像する様々な感情、風景。 そして、単なる語彙集とせず、現地を訪れ、その語彙の周りも丁寧に取材され、記録されたロバートさんの手記で、その語彙の奥行きが深まる。 この語彙集は、本望では無いにしろ、続巻が出るのだろう。そして、必ず読む。他人事ではなく、隣人のこと。
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戦地から避難してきた人々の証言で集めた言葉をまとめたもの。悲惨な話、ユーモアのある話、詩的な話と色々あった。私はきっとこれから祈る度に、占領地を脱出する際にイスラム教徒の女性に祈り方を教わって一緒に祈った人のことを思い出すと思う。 …とはいえ、訳者の旅行記パートによって全体的にあ...
戦地から避難してきた人々の証言で集めた言葉をまとめたもの。悲惨な話、ユーモアのある話、詩的な話と色々あった。私はきっとこれから祈る度に、占領地を脱出する際にイスラム教徒の女性に祈り方を教わって一緒に祈った人のことを思い出すと思う。 …とはいえ、訳者の旅行記パートによって全体的にあざとい作りになってしまった感は否めない…
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