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戦争語彙集
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戦争語彙集

オスタップ・スリヴィンスキー(著者), ロバートキャンベル

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2023/12/26
JAN 9784000616164

戦争語彙集

¥2,200

商品レビュー

4.1

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2025/03/29

2022年2月24日のロシアの軍事侵略により、主に東部在住のウクライナ人は西部などに避難することになった。鉄道の乗換駅や、西部の都市で避難民を受け入れたり援助活動をするウクライナ人の詩人は、避難者たちの言葉を書き取った。 この原書を知ったロバート・キャンベルがウクライナを訪ねて見...

2022年2月24日のロシアの軍事侵略により、主に東部在住のウクライナ人は西部などに避難することになった。鉄道の乗換駅や、西部の都市で避難民を受け入れたり援助活動をするウクライナ人の詩人は、避難者たちの言葉を書き取った。 この原書を知ったロバート・キャンベルがウクライナを訪ねて見たこと、インタビューしたことも収録されている。 まだ渦中にある当事者の言葉って、憎しみとか怒りとかではなくて、本当に日常に基づいたものが多いんですよね。今まで親しんでいたものが変わってまったこと、自分も大変だけど他の誰かを痛ましく思う気持ち。 チョーク:「たすけて」の文字とその下に落ちていたチョーク。このチョークを持って「助けに来たよ」と言えたらどんなに良いか。 バスルーム:戦争前は心身リラックスする安全地帯だったバスルームは、戦争が始まってからは爆撃のときに身を守る安全地帯になった。 ココア:避難者たちはココアを飲みたがった。みんな甘いものが必要なんだ。今はココアをたくさん用意しているけれど、避難者があまり来られなくなってしまっている。 テトリス:避難の荷物をスーツケースに詰め込むためにテトリスをやっていたのだろうか。 ココア:避難者を乗せた列車が着く駅でココアやお菓子を用意している。みんな甘いものが好き。こんなときには余計に。攻撃が激しくなり避難者が降りてこなくなった。ココアも用意しているのに。 ゴミ:この家も、私も、置いていったらゴミになるの? ロバート・キャンベルによるインタビューや聞き取りもあります。 避難所となった劇場は閉じることはせず、避難者の前で演じた。子供たちは「あの白い服を来た女の人は、死んだ人だね」などと話していて、劇場の人たちは「避難者につらい思いでを主出させてしまったのか」と思う。だが医師は「見えるものにして、再構築することは、前に進むために必要なのです」という。こんなことでも避難者のためになるのであれば。 ロバート・キャンベルの講演に、学生は「平和をめざすというより、勝利を目指すと言ってほしい」という。漠然とした美しい言葉だけの平和では、すぐに破られる事がわかっている。実際ロシアは冬のオリンピック年の3度に渡り侵略してるし。 現在侵略されているのウクライナの人々の言葉は、憎しみとかではなく、以前は日常だったものが今では全く変わってしまったことへの静かなつぶやきが感じられた。そして当事者には「平和」は、結局は勝たないと実現されないよね、って感じているんだな。

Posted by ブクログ

2025/03/12

国の傷みと体の痛みが連動して感じられる能力、他人を全く恐れることなく自信と信頼を持って関われるようになる能力、通常の状態では発揮されない精神の飛躍がある。 環境の変化がニュータイプを生むという発想は正しい。 しかしそれが戦争という過酷な状況でしか生まれないのは何とも悲しいことだ。...

国の傷みと体の痛みが連動して感じられる能力、他人を全く恐れることなく自信と信頼を持って関われるようになる能力、通常の状態では発揮されない精神の飛躍がある。 環境の変化がニュータイプを生むという発想は正しい。 しかしそれが戦争という過酷な状況でしか生まれないのは何とも悲しいことだ。 他者の中にこそ、私性は宿るというこの当たり前の事実が、先々事実として認識されるようになると良いな。

Posted by ブクログ

2025/02/13

バス、スモモの木、おばあちゃん、痛み、稲妻、妊娠、バスタブなど、77の単語と物語で構成したドキュメント。 「わたしの家も、この街も、置いていけばゴミになるの?」 戦争の体験が、言葉に抱く意味を変えてしまった。 ウクライナを代表する詩人が避難者の証言を聴き取り、ロバート・キャンベル...

バス、スモモの木、おばあちゃん、痛み、稲妻、妊娠、バスタブなど、77の単語と物語で構成したドキュメント。 「わたしの家も、この街も、置いていけばゴミになるの?」 戦争の体験が、言葉に抱く意味を変えてしまった。 ウクライナを代表する詩人が避難者の証言を聴き取り、ロバート・キャンベルが現地を訪ねた記録とともに解説。 戦争語彙集というタイトル、深いなぁ。

Posted by ブクログ