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苺飴には毒がある
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苺飴には毒がある
¥1,870
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商品レビュー
3.5
30件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
れいちゃんみたいな子っているよなぁ。 人を小馬鹿にして見下して、噂や陰口で周りの関心を引こうとする。馬鹿にする相手は選ぶ。卒業した今でこそ、「暇なの?」と一蹴できる強さも余裕もあるけれど、学生の頃はそうじゃなかった。女子高生の友達関係って、本当に難しい。常に誰かの視線を意識していると思う。例えば、教室移動の一瞬でさえ、誰かと一緒でないと後ろ指を刺されてしまうし、カースト上位の子に嫌われるとその波紋はクラス全体に広がってしまう。個人としてはその子のことが嫌いじゃなくても、一緒にいると周りからダサいと思われるからという理由で、みんなの前ではその子と仲良くしている素振りは見せないとかもある。 この小説は、そんな人間模様がリアルに表現されていて、高校生に戻ったような感覚で読んでしまった。寿美子にもすごく感情移入してしまった。 タイトルにある「苺飴」は、れいちゃんが気まぐれで寿美子にあげるお菓子である。苺は甘いもの、毒は苦いもの。れいちゃんは、寿美子にとってまさに毒入りの苺飴のような存在だったと思う。花一匁の出来事は、どれだけ時間が経っても胸を締め付けるような、辛くて重苦しい記憶で泣きそうになる。けれど、飴をくれたり、ムクと遊んだり、そういった無邪気で純粋で楽しい思い出が確かにある分、憎みたくても憎みきれないのだと思う。最後の合評会で、菅原さんが、「純度の高い好意や友情しか感じない時間が存在したからこそ、苦しんだんだと思う。感情の両極を気まぐれに表す行為は、相手を精神的に支配することもあり得るから。それでも、どうしてももう一度見たい景色があったのだと思う。」と評したシーンは、まさに寿美子がれいちゃんに抱えていた感情を言い表しているなぁと思った。 自分を苦しめる人間関係だとしても、それから逃げられなかったり、それに縋るしかない時があるのだと思う。そういう状態に置かれた人って、多分相手を憎みつつ反撃する気もごっそり削がれていて、無力感を感じているのだと思う。この小説を読んで、そういう人間とは物理的に距離を取ること、他の依存先を見つけることが大切だなと思った。都内への進学が決まった寿美子が、れいちゃんに返信しないことでこれまでの関係にけりをつけた場面は、寿美子がれいちゃんの呪縛から解放されたことを象徴しているなと感じた。そんな寿美子には、苺飴の毒はもう効かないのだろう。
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女子の人間関係のあるあるが詰まった作品。 毒友やその周囲の人とのドロドロとした関係性が文字でこんなにも表現できるものかと驚愕。 自分自身人に気を遣いすぎるため主人公に感情移入して読めた。 私も自分の感情に正直に生きてみたいと感じた。 れいちゃん側の人間は著書を読んだらどのような感...
女子の人間関係のあるあるが詰まった作品。 毒友やその周囲の人とのドロドロとした関係性が文字でこんなにも表現できるものかと驚愕。 自分自身人に気を遣いすぎるため主人公に感情移入して読めた。 私も自分の感情に正直に生きてみたいと感じた。 れいちゃん側の人間は著書を読んだらどのような感想を抱くのだろうか。
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自分自身が他人の顔色をうかがいすぎてしまうことがよくある。そのため、主人公の寿美子が、他人の思考を「先回り」して想像してしまうことで、頭という「水槽」の中をたくさんの言葉が泳いでしまい、言いたいことがまとまらなくなるという比喩の仕方はしっくりときた。 また、友人であれ恋人であれ...
自分自身が他人の顔色をうかがいすぎてしまうことがよくある。そのため、主人公の寿美子が、他人の思考を「先回り」して想像してしまうことで、頭という「水槽」の中をたくさんの言葉が泳いでしまい、言いたいことがまとまらなくなるという比喩の仕方はしっくりときた。 また、友人であれ恋人であれ、その人だけに依存しすぎると、その人の感情の揺れ動きに大きな影響を受け、毒ともなり得る。 栞のように、フラットな姿勢とほどよい距離感で付き合える友人が複数人いる関係性が理想なのだと思う。
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