えどめぐり 名所 時代小説傑作選 PHP文芸文庫

アンソロジー(著者), 宮部みゆき(著者), 朝井まかて(著者)

• 販売会社／発売会社: PHP研究所
• 発売年月日: 2023/10/11
• JAN: 9784569903484

商品レビュー

2024/08/04

なんだかウキウキするし、ホッとするのは温かい人間臭さに私が惹かれるからなのだろうか？
　1作目の「後の祭り」平吉は
店賃はなかなか払わない。新しい仕事に片っ端から手を出すが、長続きしない。でも、軽妙でなんとも愛すべき人物として描かれる。

私は年の差カップルを描く「両国橋物語」が気に行った。
　お初を想う源蔵の不器用な優しさが胸に染みる。
　もどかしさと苦さが残るがいつまでも忘れられない作品。

2024/07/22

江戸をテーマにした、女性作家の時代小説。
江戸に暮らす人々の躍動する姿を描いた、5篇。
江戸を十分堪能できる。
が、何せ、短編なので、ページにすれば、一人50ページぐらい。
一つが終わり、次の作品に移る時の切り替えが苦手。
なので、私は、じっくり長編が好き。

5篇の中でも、何作か、既読作があった。
その点、書き下ろしの「名水と葛」篠綾子は、新鮮だった。

2024/06/10

「えどめぐり」と題して江戸の名所や風景の中で躍動する人々を描いた作品とのこと。5人の女性作家の作品が選ばれている。
中でも篠綾子の「名水と葛」は身体が弱いが故に性格がひねくれてしまったお鶴が薬草の研究をしている森野仁助との出会いで変わっていく話だ。この二十歳を少し超えた森野の言葉がすごく良い。目頭が熱くなったし、心にグッと来るものがある。この若さでこの悟り！凄すぎる。
書き下ろし作品だそうで、是非読んでみて欲しい。

宮部みゆきの「凍る月」は「初ものがたり」からの作品。読みながら「あー､そうそう。思い出した」と懐かしかった。読んでない人は「初ものがたり」もお勧めですよ。