商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 本の雑誌社 |
| 発売年月日 | 2023/08/25 |
| JAN | 9784860114824 |
- 書籍
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モールの想像力
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モールの想像力
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商品レビュー
4.7
5件のお客様レビュー
面白かった 郊外生まれ郊外育ちの若者である自分は、いくつものショッピングモールを用途によって使い分けてきた(そして無意識のうちにそれぞれのモールが持つ共通点と相違点についても考えてきた)。自分のノスタルジーは完全にショッピングモールにある世代であり、mallin'を初め...
面白かった 郊外生まれ郊外育ちの若者である自分は、いくつものショッピングモールを用途によって使い分けてきた(そして無意識のうちにそれぞれのモールが持つ共通点と相違点についても考えてきた)。自分のノスタルジーは完全にショッピングモールにある世代であり、mallin'を初めて聴いた時にもまさに「よく言った!」という気分になった。"古き良き"が一掃され、無機質の象徴であるショッピングモールになってしまう…といった論調にあまり乗れず、違和感を持っていたので色々と興味深く読むことができた。 冒頭の写真群には、なんと2つも私にとって重要な商業施設が掲載されている!(グランフロントはどちらかというと駅ビル、オフィスビルどの複合施設に近い印象があるが) 日本的な休みかた・くつろぎはショッピングモールでしか実現できていない現状について触れられていたが、この本が出版された2023年以降に完成したグラングリーン大阪では都市の中に芝生があり、くつろぎの場所が提供されているという構造になっている。また、芝生近くの施設にはちゃんとフードコート(モールの必需品)が用意されているなどの特徴もある。この本を読んだ後、もう一度その構造について観察し、確かめてみたいと思う。 幻想とユートピアについてはもっと集中的に考えてみたい。バックヤードについての考えと、展覧会における工夫も面白かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ジュンク堂の書店員が選ぶノンフィクション大賞2024ノミネート作品は、何かノンフィクションを読みたいときに参考になる。その中でタイトルを見て一番惹かれたので読んだ。ここ1、2年で最も訪れている場所がショッピングモールなのだが、本著のモールに対する解像度の高さは想像もしない視点の連続で知的好奇心を大いに刺激された。均一化の文脈で語られがちなモールは、そのフェーズを終えて新たな存在へと変貌している、そんな貴重な瞬間を見ていることに気付かされる一冊だった。 日本橋の高島屋で開催された「モールの想像力」という展示会を書籍化したものになっており、著者の文章だけではなく、漫画や対談なども含まれており、まさしく展示会を擬似体験できるような構成が興味深い。冒頭にある論考が掴みとして抜群で、モールの歴史をおさらいしながら、古今東西のモールを舞台にしたカルチャーを膨大に引用し、モールの存在を立体的に描き出しており、その視点の新鮮さに何度も唸った。個人店で構成されていた商店街を駆逐した悪役、資本主義の象徴としてモールが語られる場面が多いが、車社会の到来による社会構造の変化に伴った人間同士のコミュニケーションを活発化させるための施策、つまりは都市論としてモールを捉える視座が必要なことに気付かされた。ただ、ここでいうコミニュケーションはやりとりを含むウェットなものというより、人がたくさんいる環境、すれ違うレベルの薄いコミニュケーション、つまりは公共であり、ストリート(商店街)を再現するものである、という一連の論考が見事すぎた。 ヒップホップ好きとしてMall Boyzのことはやはり外せない。本著内でももちろん言及されている。ヒップホップにおいて、フッドをレペゼンすることは重要な価値観、美学であるわけだが、Tohjiは特定の街ではなく、モールという建造物、概念をレペゼンすることで世界各地にいるモールっ子たちを夢中にさせている。今の10〜30代前半くらいまでの人たちにとっては、モールはノスタルジーの対象であり、それより上の世代が商店街に対する抱く気持ちと同じ感情を抱いているという指摘は驚いた。そして以下ラインに象徴されるように、均一化しているからこそ、場所を問わずに連帯できる、コードカルチャーとしてのヒップホップ的価値観に改め*て*気付かされた。 *同じだけど、違う、違うけど、同じっていうすごさ。その機微は彼らにしかわからない。他人はあとからしか発見できない。* 後半には漫画や対談が載っており、対談が特に興味深かった。既存のモール論がいかに古びたもので、時代が進んできているのかよくわかる。著者と東浩紀の対談は鋭い視点の連発で唸りまくり。東氏は「幻想」と呼んでいたが、「理想」をみんなで共有することの公共性が失われて、「現実」という名のバックヤードばかりが跋扈する世の中が豊かになるわけがないという論点は、ここ数年感じていたことだった。また、郊外の象徴であるモールが、近年は都心部にも侵入してきており、特に渋谷の再開発をめぐる議論は、渋谷へ行くたびに感じていた違和感が見事に言語化されていた。2016年にリリースされた著者と東浩紀による新書があるらしいので、そちらを次は読みたい。
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あー残念!この本は今年の3月4日から8月27日まで高島屋の史料館で行われた『モールの創造力』展から生まれたもの…そんなに長くやっているんだったら、どっかで必ず覗けたのに!知らなかったばっかりに。でもあのスペース、ものすごく狭いイメージがあってどんな展示したんだろう?と思いつつペー...
あー残念!この本は今年の3月4日から8月27日まで高島屋の史料館で行われた『モールの創造力』展から生まれたもの…そんなに長くやっているんだったら、どっかで必ず覗けたのに!知らなかったばっかりに。でもあのスペース、ものすごく狭いイメージがあってどんな展示したんだろう?と思いつつページをめくれば、最後に展覧会の解説があり、それはそれでまた行かなかった後悔を刺激するのでありました。本書は週刊誌で山内マリコの書評で知ったのですが新しい視点を得られたような気がします。冒頭に山本文緒の「自転しながら公転する」が引用されていてその本を読んだ時のリアルな現代感を思い出しました。そういえば「自転しながら公転する」、いまテレビドラマになったいるらしい(ちょっと面倒くさいけど原作に心打たれたのでTVerで追いかけてみるか…)。とにかくショッピングモールをふるさととする世代の感覚が現代日本のカルチャーを作っていることがしみじみ感じます。谷頭和希「ブックオフから考える」にも繋がるようにも思えます。失われた20年のユートピア?ショッピングモールを考えることは文化の問題と言うより文明の問題に触れているような気分になりました。そういえば高島屋史料館のある高島屋の新館は2018年ショッピングセンターとして誕生しているし、もはやショッピングモール論は郊外論ではないのです。
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