商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2023/07/13 |
JAN | 9784065330760 |
- 書籍
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我が手の太陽
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我が手の太陽
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商品レビュー
3.3
32件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
いつも通りに大丈夫だと思っていたものがフェールする。その恐怖は計り知れないものであり、かつそれは、我々読者が伊東の主観を次第に信じられなくなってゆく視点と調和し、圧倒的な描き方であると感じた。伊東の仕事に対するプライドは、自らの技量に疑念が募るとともに尊大さへと変わってゆき、それは安全を疎かにする態度に表れる。「汚い手で触るな」と検査官から言われるラストシーンは、手の中で太陽を扱うという事実に酔いしれ、火への畏怖を忘れた伊東に対する、火からの拒絶に見えるのだ。
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溶接工を描いた小説という事で興味をもって読んだ。読む前にネットで調べると、ハンダづけとアーク溶接の区別がされていないような解説があり、若干、技術的な正確性に不安のある話かと思ったが、全くの誤解。技術的に正確などころか、所謂、現場や職人の姿が極めてリアルに描かれている。そして、「手...
溶接工を描いた小説という事で興味をもって読んだ。読む前にネットで調べると、ハンダづけとアーク溶接の区別がされていないような解説があり、若干、技術的な正確性に不安のある話かと思ったが、全くの誤解。技術的に正確などころか、所謂、現場や職人の姿が極めてリアルに描かれている。そして、「手に職」をもって生きる「職人の手」をモチーフとしたメタファーが、このハンダから始まっているのだと小説の技巧にも舌を巻く。 あるある話で言うと、やはり現場は安全第一と言いながら、そこを管理する人間によって、消耗品の交換タイミングがいい加減だったり、安全帯の使い方も目が行き届いていなかったりする。八重洲ビルの事故みたいな問題が、昨年も起きている。それと、職人同士の会話だ。よく分からないが自信満々の誤った論説、というのがある。彼らの論理、仲間うちの論理である。 そうした人間模様、検査官、親方との関係性、よく書けているなーと思った。現場で働く人は、これを読んで安全について考え、職人の悩みに触れておくのも良いかも知れない。
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挫折知らずだった職人肌を襲う衰え・不調。その自らを追い詰め、追い詰められていく様が恐ろしい。溶接作業や現場仕事のディテール描写にも痺れる。
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