商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2023/07/06 |
JAN | 9784480075703 |
- 書籍
- 新書
ウクライナ動乱
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ウクライナ動乱
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商品レビュー
4.3
10件のお客様レビュー
今のウクライナ侵攻。歴史的背景を学ばないと背景が見えてこない。 ウクライナは憲法再改正、2012年言語法復活、脱共産法廃止し、2013年以前のウクライナに戻し、プーチンに勇退してもらう。これが筆者の主張。
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トータルでいうと、全く好きにはなれない一冊なのだけど、 正直西側からすると「ほぼ狂気」にしか見えない露宇戦争だけど、あれはあれで支離滅裂にならないのは、あちらなり(特にあちらの「理詰めなインテリ」に共有できる)理屈がある。それを知るには非常にいい本だし、西側が軽視しがちなウクライナやその周辺が持っていた問題点を指摘している一冊でもある。 まず指摘されているのは、ソ連崩壊後旧ソ連地域の経済は一律に凹み、ロシアの復興とともになんとか回復していた、ということ。 数字的にはそういう風に受け止められる感じだし、それはウクライナに住んでいる人の多くにとっても体感的には正しかったと思う。 そりゃ西からの投資もあったにはあったようなのだけど、西欧から見れば「東の労働力の安い場所」という扱いでしかなく。ソ連時代には重要な工業地域とされ、実際に技術力もあったウクライナの工業人の自尊心を満たすものではなかったらしい。 ソ連時代からの賄賂体制の払拭が全然できていなかったのも確かで。 それを「プーチンや習近平のような専制的支配者がいないから汚職払拭できなかった」的な解釈は…西側的には理解しがたいのだけど、そういう話が出かねないくらいの賄賂体制であったのも確からしい。 ただ…この本の中で何度も出てくる「基幹民族」という言葉はかなり衝撃的だった。 ソ連時代のウクライナには、ウクライナ人が多数派であるにせよ、ロシア人含め他にも多くの民族がいて。その中で多数派のウクライナ人が「基幹民族」として他のマイノリティ民族を兄貴分として面倒みる、という考え方。 で、今のウクライナはその「基幹民族」として任されていた部分を引き継いでいるのであって、「ウクライナ民族」として民族国家として独立したいのであれば、今のウクライナを引き継ぐ正当性はない、というのがこの本の中で著者が一貫して主張するところなのです。 この考え方が西の人間からあまりに難解なのは…事実上「民族の優劣」をつけてしまっている、ということ。 ロシア民族>ウクライナ民族>ウクライナ地域の少数民族 という序列を実質的には認めてこそ成立する話で…。 そりゃ西側にも似たような考え方を持っている人は居るのでしょうが、それを政治に携わるような人が公にして論理化するか、というと今はあり得ない。 (それに近いことを植民地支配に使っていた大英帝国は、その後始末を仕切れず、それが世界中の紛争の種になってる、と言っちゃってもいいんだから…) これを堂々と言っちゃえるのがロシアなのか、と思うと…確かにロシアの政治家はなかなか西側の知識人には理解しにくいだろうなあ、と。 あと、「地域の雇用を作って住民の面倒をみている経営者」がそのまま政治家になる傾向が、特に工業城下町では強い、という話も興味深く。 もともと地域ことの独立志向が強いウクライナで、この「地域の利権と雇用を守る政治家」が強くても、なかなか国全体のことを考えにくくなる。 マイダン革命の暴力性が強かったこともあって、ウクライナ東部の民間の被害が仮にロシア寄りの勢力の仕業であったとしても、「あれはウクライナ側の攻撃によるもの」と言われると、「まぁ…そうなのかもな?」と思わせるくらいに混乱した状態だったのも確からしい。 繰り返すのですが…内容的に好きな本ではないのです。 が…部分的には「日本にも似たとこあるなぁ」と思える部分もあるし、少なくとも東側の世界で系統的な学習を受けた人ほど、この本に書いてるような考え方を自然に受け入れている、と思われて。 いろんな意味で…あの戦争が「納得いく終わり方」をすることはないんだろうなあ、と感じさせられた一冊でした。
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毎日新聞の書評欄「今週の本棚」で、加藤陽子が、読後ロシアの対ウクライナ戦争の印象がガラリと変わると評して絶賛した書である。 第六章のまとめで以下のように述べている。 『そもそも分離紛争は、「国の領土は大きければ大きいほど良い」、「領土を失うことは、人間が手足をもがれるのと同じ」な...
毎日新聞の書評欄「今週の本棚」で、加藤陽子が、読後ロシアの対ウクライナ戦争の印象がガラリと変わると評して絶賛した書である。 第六章のまとめで以下のように述べている。 『そもそも分離紛争は、「国の領土は大きければ大きいほど良い」、「領土を失うことは、人間が手足をもがれるのと同じ」などという国家表象を人々が捨て、国連信託統治のような非・主権国家的な解決法が大規模に採用されるようにならない限り、解決が難しい問題なのである。 最も現実的な紛争解決策は一時凌ぎの停戦協定を綻びを繕いながら、何十年でももたせて、人々の国家表象や国際法の通説的解釈が変わるのを待つことである。分離紛争を解決して恒久的な平和を目指そうなどとするとかえって戦争を誘発する。 』
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