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亡霊の地 GHOST TOWN
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亡霊の地 GHOST TOWN

陳思宏(著者), 三須祐介(訳者)

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亡霊の地 GHOST TOWN

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2023/05/23
JAN 9784152102393

亡霊の地

¥3,850

商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

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2024/09/05

またひとつすさまじく、すばらしく力強い物語に出会えた…。 台湾ではおととい鬼月がおわり、門が閉じたという。中元節の時分に出版社の方が紹介されていたこの本の装丁にひとめぼれし、『亡霊の地』(原題『鬼地方』)というタイトルに震えながら(ホラーが苦手なので)手に取った。 あとがきで知...

またひとつすさまじく、すばらしく力強い物語に出会えた…。 台湾ではおととい鬼月がおわり、門が閉じたという。中元節の時分に出版社の方が紹介されていたこの本の装丁にひとめぼれし、『亡霊の地』(原題『鬼地方』)というタイトルに震えながら(ホラーが苦手なので)手に取った。 あとがきで知ったが、『台湾文学ブックカフェ プールサイド』の、「ぺちゃんこな いびつな まっすぐな」と同著者の著作であるとのこと。もう治っているけどたまにしくしくと痛むような、そんなたまらない小説。 何度もなんども、涙を流した。つらく苦しい思い出、いや思い出ではなく 記憶、忘れ去りたい過去、しかし自分を確かに形作った、その場所、故郷を忘れたい、そこから去りたい、もう戻ってくることもない。そう思わせた出来事。天宏が記憶に潜っていくなかでわたしもその傷を負い、嗚咽し、諦め、しかし愛し、追体験はとてもつらいものだった。つらい。ただつらい。けれど生きている。死のうとしたが、生きている。そしてここへ帰ってきた。 かれら一家は皆傷を背負い、しかし生きて、(ひとりは生き抜いて死に、)まだこの「亡霊の地」に縛りつけられている。去ったはずの、帰ってくるなといわれ送り出された彼も、引き寄せられるように戻ってきてしまう、故郷というにはあまりにも残酷な場所 現在の、実際の永靖と、フィクションの永靖がかさなり、呼応し、一方は消えて、また立ち現れ 幽鬼のように あとがき、訳者によるあとがきまで気を抜けない。しかし不思議に後味のよいさわやかな、なんだか軽くなるような…不思議な小説だった。 あっけらかんとした、最後のふたりがなんだか微笑ましく、恨みが、灰が連れ去ったはずのふたりが、寄り添い、しかし一方は死に…最後の二通の手紙は…もう… 時代が、といえばそれまでだけれど、 隣の島国の、私たちが望む未来、その輝かしい未来の過去に、確かに生きていた、そして命の限り生き抜いた人々がいたということ。 私たちは、私たちの場所を、土地を、「亡霊の地」と呼ばなくてもよいように、なにを守っていったらいいのか なにを残していけるのか。 母の母は、祖母は、母に呪いをかけた。女はこうであるべきだと。母は女の私に、その呪いをかけなかった。そのことを、呪いの連鎖を断ち切ってくれた、母を。となりで寝る母を思い、祝福と、呪いと、幸せと、泣かないで、という言葉を思う。

Posted by ブクログ

2024/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

章ごとに語り手が代わり、過去を回想する形で少しずつこの土地とベルリンで何が起こったのかが明らかになっていく。 語り手が過去の回想をしていたと思ったら急に現在に飛んだり、現在に視点が戻ったのかと思っていたらまだ過去の回想だったりと、あっちへ行ったりこっちへ行ったりするため、読むのに時間がかかった。 敢えてそういう工夫を凝らした書き方? 以下ネタバレ 取り止めのない感想。 姑から嫁のDV。姑に家事の作法がなってないと罵詈雑言を投げかけ平手打ちや木片で暴力を振るわれてきた嫁が、次に自分が姑の立場になった際に息子の嫁に同じ仕打ちを繰り返す連鎖が辛い。 家父長制キツくて女の子は虐げられ、大事にされない。後継ぎの男子は父方の祖父母や、産んだ母からそれはそれは大事にされ、食事のおかずも豪華で、何でも買い与えてもらえるけど、女の子は肉など食べさせてもらえない。

Posted by ブクログ

2024/05/07

どこから感想を書けばいいかわからないくらい強烈な一作だった。アジアを舞台にしたマルケス的マジックリアリズム小説であり、主人公が一度は捨てた故郷に戻る帰郷小説であり、台湾の政治と社会の暗部を描いた社会派小説でもある。今までの人生で、こんな小説は読んだことがない。 この小説では、人間...

どこから感想を書けばいいかわからないくらい強烈な一作だった。アジアを舞台にしたマルケス的マジックリアリズム小説であり、主人公が一度は捨てた故郷に戻る帰郷小説であり、台湾の政治と社会の暗部を描いた社会派小説でもある。今までの人生で、こんな小説は読んだことがない。 この小説では、人間も亡霊も一緒になって自分の人生を語りだす。すると家族の秘密、辺境の村の閉塞性、そして政治のむごさが一つ一つ明かされていく。そんな展開をすんなりと受け入れてしまえるのは、台湾の鬼月、中元節という時期の魔力だろうと思う。 唯一難点を挙げるとすれば、主人公の恋人に関する言及はやや表層的というか、もう少し掘り下げてほしいと思った。「いかにも」な社会的理由が語られるが、若干消化不良だったのは否めない。

Posted by ブクログ

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