商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 早川書房 |
| 発売年月日 | 2023/05/01 |
| JAN | 9784152102300 |
- 書籍
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無限角形 1001の砂漠の断章
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無限角形 1001の砂漠の断章
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商品レビュー
4.8
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ノンフィクションでありながら、フィクションでもあるというハイブリッドフィクションという試みで語られる本作。 1000以上の細かな断章によってパレスチナ人であるバッサム・アラミンとイスラエル人のラミ・エルハナンの人生が語られていく。 2人の共通点は子どもを失ったということ。 199...
ノンフィクションでありながら、フィクションでもあるというハイブリッドフィクションという試みで語られる本作。 1000以上の細かな断章によってパレスチナ人であるバッサム・アラミンとイスラエル人のラミ・エルハナンの人生が語られていく。 2人の共通点は子どもを失ったということ。 1997年、イスラエル人のラミ・エルハナンの13歳の娘スマダーはパレスチナ人による自爆テロで娘が巻き込まれ亡くなってしまう。 それから10年後、パレスチナ人のバッサムも10歳の娘アビールを失ってしまう。イスラエル人兵士がお菓子を買いに来たアビールの手に武器が握られていると勘違いして頭部をゴム弾で撃ったのだった。 2人は共に怒りを抱きもするのだがイスラエル人、パレスチナ人関係なく子を失った『親の会』なるものに参加し、共に自らの体験を語っていく。2人はその後、様々な場所に呼ばれるようになる。 作者はアイルランド人作家のコラム・マッキャン。 本書は批判もされており、特にパレスチナの苦難を美談化しているという批判は多かったという。 しかし、それでも本書は一面的ではない。そこで暮らす人々の現実を複雑さをもって語っている。力強く、かつ美しい作品であった。 特に中盤に差し込まれるラミ・エルハナンとバッサム・アラミンそれぞれが実際に語った講演の内容は特に素晴らしかった。 本書が出版されたのは2020年2月で、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が激化する前だ。 バッサム・アラミンとラミ・エルナハンのその後はどうなったのか気になり調べると、2人は現在もさまざまなイベントで話しているようだ。 対立が激しくなったあの出来事以降、より精力的に発言の場に登壇しているとのこと。
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図書館で予約したので取りに行ったらあまりのぶ厚さに返却したくなった。 1001の断章からなる本書は今までに読んだことのない風変わりなプロット。バッサムとラミの本題の他に、歴史上の事実や、著名人の話、渡り鳥の話、綱渡りのパフォーマーや劇作家の話など、一見関係なさそうな話がちょこち...
図書館で予約したので取りに行ったらあまりのぶ厚さに返却したくなった。 1001の断章からなる本書は今までに読んだことのない風変わりなプロット。バッサムとラミの本題の他に、歴史上の事実や、著名人の話、渡り鳥の話、綱渡りのパフォーマーや劇作家の話など、一見関係なさそうな話がちょこちょこ挟まれ、その間に過去の同じ場面が何度も回想される。 脈略なんてなくて、章ごとに1人称と時代がコロコロかわっていく。 訳者あとがきに、「我慢して(?)ページを繰るうちに、ちょうど映画のカメラが後退して少しずつ視野が広がるように、いつしか全体像が見えてくるのが本書の醍醐味。」と書いてあって、まさに我慢して読んでいたので笑ってしまった。 読者は与えられたパーツを使って自身の無限角形を作っていけばいいらしい。 とは言え、読み終えてやっぱり無駄な章は多く感じたけど、とにかく入念に調べた結果を余すところなく組み込んだんだろうなという印象。 バッサムとラミの悲劇を、パレスチナとイスラエルの問題だけでなく、色んな角度から俯瞰してみることができる。 感動したのは、ラミはもちろん、他にも占領政策に反対するイスラエル人がチラホラ存在していたこと。そして、パレスチナ人のバッサムがナチスのホロコーストを学んだことによりイスラエル人もまた犠牲者なのだと悟り、法廷で娘を殺したY・Aに「犠牲者は君だ。私ではない。」と言った場面は特に胸が熱くなった。 大半の人が復讐が正義だと思っていて聞いてくれないかもしれない。でもバッサムとラミのように平等を訴え続ける人が彼らの心を動かして、暴力では永遠に解決にならないということを理解してもらえることを願う。
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読むべき本。まずはそれ。 本作品の内容と縁のある「千夜一夜物語」になずらえるように、1001の断章から構成されている。 イスラエル軍兵士に娘を殺されたパレスチナ人のバッサムと、パレスチナ人の自爆テロの巻き添えで娘を殺されたイスラエル人のラミ。 お互いを憎んで然るべき二人が、手を...
読むべき本。まずはそれ。 本作品の内容と縁のある「千夜一夜物語」になずらえるように、1001の断章から構成されている。 イスラエル軍兵士に娘を殺されたパレスチナ人のバッサムと、パレスチナ人の自爆テロの巻き添えで娘を殺されたイスラエル人のラミ。 お互いを憎んで然るべき二人が、手を取り合い、平和を説く。説き続ける。世界が変わるまで。 そんな彼らを描いた作品。 1001の断片は、数ページにわたることもあれば、1行で終わるものもある。 それぞれはジグソーパズルのピースのようで、一つの短い断章から連想するようにいくつかの断章が続く。 そして一つの物語としてのまとまりを作る。 パズル中央には、決して癒えないバッサムとラミの悲しみが存在する。 早い段階で、その真ん中のピースたちがうまる一方、別の場所では、それぞれの市民が、それぞれを憎むような描写がかたられ、あるいは一方でそれぞれの市民が理解し合おうとするピースが表れてくる。 それぞれの悲しみ、それぞれの事情。被害者がさらなる被害者を生み、被害者は加害者にもなる事情。 ピースのまとまりを繋ぐかのように時折あらわれる「偏見をやめよ」という断章。 そして、1001のピースがすべて繋がり完成した際に見えてくる、希望。 これはね、すごい。 少なくとも私は、イスラエルはどちらかというと「被害者」の側だと思っていた。 これはまぎれもなく偏見で、私がニュースなどから取り入れる情報を都合よく解釈した結果生まれていたもの。 でも実際はそんなシンプルな構図ではなく、そしてよくよく考えてみれば、世の中にはそんなシンプルなものなど存在しないことに気がつかせてくれるのが本作。 全員が、怒りも悲しみもする人間であるということに気がつかせてくれる。 そしてそれを解決するのが怒りにまかせた暴力ではないということに気がつかせてくれる。 この物語は、読まなくてはいけないと思う。 一つ一つの断章は読みやすいものの、連想で話が飛んだりするから最初は読みづらいと思う。 でも少し我慢して、枠組みが見えてきたら、ジグソーパズルと同じでうまく空間が埋まっていくから。 700ページ近くあるから長いんだけど、これを「長い、読めない」と言ってしまうのはすごく危険な気がする。 これを「長い、読めない」といって、都合のいいことだけを簡単に取り入れた先にあるのが偏見だから。 繰り返すけど、すごい。 読むべき本。
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