

商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2022/11/11 |
JAN | 9784041130964 |
- 書籍
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嘘つきなふたり
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嘘つきなふたり
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商品レビュー
3.7
61件のお客様レビュー
19歳の光と小学校時代の同級生・琴葉。かつての担任の不自然死をきっかけに京都へ逃避行する二人は、それぞれ秘密を抱え、嘘をつくことで自尊心を保とうとしていた。 物語は、女の子特有の関係性の機微や、完全に善でも悪でもない人間模様を繊細に描く。先の読めない展開とともに、ミステリー要素...
19歳の光と小学校時代の同級生・琴葉。かつての担任の不自然死をきっかけに京都へ逃避行する二人は、それぞれ秘密を抱え、嘘をつくことで自尊心を保とうとしていた。 物語は、女の子特有の関係性の機微や、完全に善でも悪でもない人間模様を繊細に描く。先の読めない展開とともに、ミステリー要素を含んだ友情物語として進行し、伏線も回収され、最後は前向きな結末を迎える。 当時叶わなかった修学旅行のやり直しの旅に胸を打たれた。京都で二人が巡った場所を、自分も辿ってみたいと思った。
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表紙とか冒頭を読んで、ダークな感じの話なのかと思ったけど、全然そんなことなくて、どちらかというと清々しい話だった。 光ちゃんと琴葉ちゃんのそれぞれが抱えてる思いとか日々思ってることが、どこか他人事に思えなくて、すごく話に没入できた。 個人的にドミトリーで出会った心音さんが好きでした。 自分の軸をしっかり持っててかっこいい。 私も心音さんみたいな人になりたいなとずっと思ってる。 何かを決断することを諦めて全て母親に委ねていた光ちゃんがこの旅行で出会った人や起きたことをきっかけに、自分のこれからは自分で決断していこうってなれたのが良かったなあと思う。 読み終わった後は、しばらく会っていない親友に会いたくなりました。 ー 当たり前のことを当たり前にできる奴は偉いよ。 子供同士でも、仲良くできない人っているでしょ? 大人だって同じ。 確かに選べることも多いけど、選べないことも増えてくるから。 こんなつもりじゃなかったのにって、何度も思う。 人間ってさ、空白の時間が大きければ大きいほど寂しくなっちゃうんだと思う。 で、その空白の時間を埋めるのに何を選ぶかは人それぞれなんだよ。 仕事だったり、勉強だったり、趣味だったり。 ひとりぼっちで過ごすには、人生は長すぎるじゃん? 私が知ってる多くのことを琴葉は知らない。 だけど多分、琴葉が知ってる多くのことを、私は知らないのだろうと思った。 自分の価値は、結婚したかどうかで決まるものじゃなくない? その人の価値はその人自身が決めるものであって、他人から決められるものじゃないでしょ。 アタシの理想の生き方をするために戦略的に動くことの、一体何が悪いワケ? 悲しいかもしんないけど、そんな風に心の支えになる人が一瞬でもできたんなら、それだけでマシな人生じゃない? 人生なんて基本的にクソだって、皆自覚すべきなんだよ。 良い人生なんて求めてたら一生しんどい。 マシな人生でいいんだよ。 昨日よりも今日、今日よりも明日。 クソみたい毎日を少しずつマシにしていくんだ。 幸せになりたいって思うんじゃなくて、身の丈にあったもので満足できるように気持ちを変えていくというか。 それが、マシな人生ってことなのかもしれない。 過去は変わらないから過去なのだ。 アンタね、マッチングアプリで初めて会った人と結婚するのが普通の世の中なのよ? 友達だって似たようなもんでしょうが。 知らないことばっかりだったらこれから知っていけばいい。 知らずに傷付けてしまったら、謝って仲直りすればいい。 長いこと友達に会ってないとさ、自分の中でどんどん相手像が膨らむじゃない? それで勝手に理想と違うってガッカリしちゃったりしてね。 悪いのは勝手に期待した自分なのに。 自分が自由だってこと、忘れないでね。 二人が何で悩んでるかは分からないけれど、全てが潔癖な人間なんていないと思うし、嘘を吐いたことがない人間だっていないと思う。 人間って、多かれ少なかれひどい奴で、それでいていい奴なんだよ。 だから、自分のことを責めすぎないようにね。 知ったところでどうしようもないって気づく瞬間が一番悲しいよ。 人生って後悔することばっかりだな。 多様な生き方をも肯定される社会では、唯一無二の正解が存在しない。 模範解答の無いテストに答え続けるのはストレスが溜まるから、すぐさま誰かに丸つけしてもらいたくなる。 私達は一生、己の選択に振り回されながら生きていく。 選ばなかった選択肢を足場から削り続けれいけば、最後に振り返った時には不格好な道ができている。 不安定で脆いそれを、人は人生と呼ぶのだろう。 何かを選ぶのと同時に何かを選ばないこともまた、大きな決断である。 「選ばない」にだって、「選ぶ」と同じように結果がついて回る。 生きるって、学生の頃に思ってた以上にしんどいことの連続だ。 正解のない問題に丸つけできるのは、最初から最後まで自分しかいない。
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必然か偶然か再び出会った2人が、自由を求め、修学旅行をやり直す旅に出る。母親が全てであった光にとって、琴葉は自由そのものであり、琴葉は光を欲していた。「中山を殺した」という真実から逃げるために。お互い、「今」から逃れられず、もがいて足掻いている。中山のせいで、母親、溝口、どら焼き...
必然か偶然か再び出会った2人が、自由を求め、修学旅行をやり直す旅に出る。母親が全てであった光にとって、琴葉は自由そのものであり、琴葉は光を欲していた。「中山を殺した」という真実から逃げるために。お互い、「今」から逃れられず、もがいて足掻いている。中山のせいで、母親、溝口、どら焼きを失った琴葉。中山のせいで、琴葉、溝口、どら焼きを失った光。失ったものが似通っていて、同じ人を憎んでいる。皆は、中山のことを良い人だと褒めるが、裏の顔を知っている2人にとって、この状況は残酷であり、復讐がしたいと思うのは当然のことだろう。中山もまた、「良い教師」像に囚われ、窮屈な状態で生きていた。誰しも自分を型に当てはめて生きていることの窮屈さを抱えながら生きている。互いに秘密を抱え、「中山を殺した」という事実を背負う2人は、とてもアンバランスだが、足りないところを補い合える相棒のような感じがした。小学生の時に別れて以来の再会でこんなにも仲良くなれるのかと思ったが、何も考えていないようで、相手のことを観察している琴葉だからこそ、空いた時間を埋められたのだと思う。頭が良く、優等生のまま生きることと、頭はそんなに良くないものの、様々なことを経験して、生きる術を知っていること。どちらが正解なのか分からないし、どちらの生き方もある。でも、選択することから逃げてはいけない。そんなメッセージを感じた。選択することから逃げ続けたまま、大人になり、取り返しのつかないことになった時、中山のようにこの世界から自分を消すしかなくなるのだろう。相手を知るには自分も自己開示しなければいけない。それが例えどんなに格好悪い自分でも。光の皮を破ったのは琴葉だけでなく心音さんや、千春さんという大人だった。光と琴葉にとって、2人が初めてちゃんとした大人に見えたのではないだろうか。揺れ動く感情、自分という人間、何を信じれば良いのか分からない19歳。現実から目を逸らさず、見つめた先に、本当に大切な人と、本当の自己を見出すことができるのかなと感じた。過去は過去のまま。傷を抱えながら優しい思い出だけ保管しておく。もう、進むしかない。2人の諦めにも捉えられる感情と決意を感じた。『愛されなくても別に』でもそうだったが、対極にいる2人がお互いを必要とする関係を描くのが本当に素敵。唯一無二の存在ってこういう関係を言うのだろうなと思った。
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