商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2022/11/04 |
JAN | 9784622095491 |
- 書籍
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ハッピークラシー
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商品レビュー
3.8
14件のお客様レビュー
これはこのぼく自身の安易な人生観・倫理観の寝首をかくクリティカルな1冊だと唸る。ぼくもまた心のどこかで(多分にフランクル的に)自分の心の持ちようにこそ「幸せ」の源泉を見出していたのだけど、肝心の「では、その『幸せ』とはそもそもどう定義づけられうるものか」が問われないままイージーに...
これはこのぼく自身の安易な人生観・倫理観の寝首をかくクリティカルな1冊だと唸る。ぼくもまた心のどこかで(多分にフランクル的に)自分の心の持ちようにこそ「幸せ」の源泉を見出していたのだけど、肝心の「では、その『幸せ』とはそもそもどう定義づけられうるものか」が問われないままイージーに「幸せ」を蜃気楼よろしく追い求め続けてむなしく生きているのが実態かもしれないな、と本書の議論を追いつつ思ってしまったのだ。この本から見えてくる、個人の私的な領域としての「幸福観」までもが「専制」の対象となる実態について考え直したい
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自分が、幸せを強要する様な自己啓発本が嫌いな理由が言語化されてた 最初の章と最後の結論は読み応えがあったけど、他は事実をさらう内容だからあんまし入り込めない 周りくどい本って言ってる人いたけどたしかに
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私たちは「何のために生きているのか?」と問われると答えに窮するが、「幸せになるため」だという解に異議を唱えることは難しい。しかし、マーティン・セリグマンなどが提唱する「ポジティブ心理学」によってさも科学的であるかのように下支えされた幸福信奉に対して私たちは一歩立ち止まって批判的で...
私たちは「何のために生きているのか?」と問われると答えに窮するが、「幸せになるため」だという解に異議を唱えることは難しい。しかし、マーティン・セリグマンなどが提唱する「ポジティブ心理学」によってさも科学的であるかのように下支えされた幸福信奉に対して私たちは一歩立ち止まって批判的であるべきだと著者は主張する。なぜなら、この考え方には「幸せになれるかなれないかは当人の努力・能力に依存する」、「不幸であることはネガティブである」という、個人主義・能力主義・還元主義・優生学的な思想を強化するからだ。そして、これらは新自由主義的資本主義と好相性であることから、政治的・経済的な問題にも援用されることとなる。主観的な幸福という自明に見える共通価値観を「科学的」に数値化し、政策的意思決定にも利用する考え方は、一見すると功利主義的には公平で合理的に感じられる。しかし、その主観的幸福は経済的豊かさ・所得格差と相関するという研究結果もある。だとすれば、「最大多数の最大幸福」の実現は政策の誤謬となりかねない。 そして、自己の幸福追求には決して終わりがない。そこには、永遠に満たされることのない渇望と増大する不安感・不全感、人生の目的の内面化、そして不幸な他者への無関心や侮蔑を招き、個人主義を加速させていきかねない。外的・構造的な問題を矮小化させ、多くをセルフコントロール可能なものであるかのように責任を過度に個人へと転嫁させた先には、道徳的・倫理的によりよい社会は見えないのではないか?──。 幸福のみを過度に追求し、ネガティブな感情や絶望を軽視することのリスクを本書は示している。社会は極めて複雑で多様であり、不幸な現実に立ち向かうための希望は、幸福の追求にではなく知性と正義にあると言う。しかし、絶対的な正義や解などは存在せず、その対立には必然的に不幸も生まれることになる──。だからといって、安易に幸福の追求に逃げることは思考停止となる。答えは決して出ないのだろうが、現代の行き過ぎた自己幸福優先的な状況を私たちは見つめ直す必要があるのではないだろうか。
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