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ハッピークラシー の商品レビュー

3.7

15件のお客様レビュー

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2025/02/13

日本でも広く浸透している「幸せの追求」に対する批判的な主張。 今まで何の疑いもなく"幸せを追求することは無条件に良いことである"と思い込まされていた私にとっては多くの気づきがあり、とても勉強になった。 「ネガティブ」な感情は悪ではなく、寧ろそういった感情が歴史...

日本でも広く浸透している「幸せの追求」に対する批判的な主張。 今まで何の疑いもなく"幸せを追求することは無条件に良いことである"と思い込まされていた私にとっては多くの気づきがあり、とても勉強になった。 「ネガティブ」な感情は悪ではなく、寧ろそういった感情が歴史的にも改革を起こした重要な感情であるとして、「ポジティブ」になることだけが目的ではなく、批判的思考等の「ネガティブ」な考え方も道徳的目的でありつづける、ということ。また、企業文化や企業のpurposeを従業員に内在化させ、「ポジティブ」な社員を増やすことによって企業の生産性や業績向上に繋がるという逆の方程式に対する批判(本来は企業が努力すべきことを社員に責任転嫁しているという主張)。 それら本書の主張や批判については否定するつもりはない。 一方で、それでは我々個人はどうしていくべきなのか、に対する筆者の考えは明確には述べられないまま本書が終わってしまったことは残念。

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2024/04/07

これはこのぼく自身の安易な人生観・倫理観の寝首をかくクリティカルな1冊だと唸る。ぼくもまた心のどこかで(多分にフランクル的に)自分の心の持ちようにこそ「幸せ」の源泉を見出していたのだけど、肝心の「では、その『幸せ』とはそもそもどう定義づけられうるものか」が問われないままイージーに...

これはこのぼく自身の安易な人生観・倫理観の寝首をかくクリティカルな1冊だと唸る。ぼくもまた心のどこかで(多分にフランクル的に)自分の心の持ちようにこそ「幸せ」の源泉を見出していたのだけど、肝心の「では、その『幸せ』とはそもそもどう定義づけられうるものか」が問われないままイージーに「幸せ」を蜃気楼よろしく追い求め続けてむなしく生きているのが実態かもしれないな、と本書の議論を追いつつ思ってしまったのだ。この本から見えてくる、個人の私的な領域としての「幸福観」までもが「専制」の対象となる実態について考え直したい

Posted byブクログ

2023/12/01

自分が、幸せを強要する様な自己啓発本が嫌いな理由が言語化されてた 最初の章と最後の結論は読み応えがあったけど、他は事実をさらう内容だからあんまし入り込めない 周りくどい本って言ってる人いたけどたしかに

Posted byブクログ

2023/10/28

私たちは「何のために生きているのか?」と問われると答えに窮するが、「幸せになるため」だという解に異議を唱えることは難しい。しかし、マーティン・セリグマンなどが提唱する「ポジティブ心理学」によってさも科学的であるかのように下支えされた幸福信奉に対して私たちは一歩立ち止まって批判的で...

私たちは「何のために生きているのか?」と問われると答えに窮するが、「幸せになるため」だという解に異議を唱えることは難しい。しかし、マーティン・セリグマンなどが提唱する「ポジティブ心理学」によってさも科学的であるかのように下支えされた幸福信奉に対して私たちは一歩立ち止まって批判的であるべきだと著者は主張する。なぜなら、この考え方には「幸せになれるかなれないかは当人の努力・能力に依存する」、「不幸であることはネガティブである」という、個人主義・能力主義・還元主義・優生学的な思想を強化するからだ。そして、これらは新自由主義的資本主義と好相性であることから、政治的・経済的な問題にも援用されることとなる。主観的な幸福という自明に見える共通価値観を「科学的」に数値化し、政策的意思決定にも利用する考え方は、一見すると功利主義的には公平で合理的に感じられる。しかし、その主観的幸福は経済的豊かさ・所得格差と相関するという研究結果もある。だとすれば、「最大多数の最大幸福」の実現は政策の誤謬となりかねない。 そして、自己の幸福追求には決して終わりがない。そこには、永遠に満たされることのない渇望と増大する不安感・不全感、人生の目的の内面化、そして不幸な他者への無関心や侮蔑を招き、個人主義を加速させていきかねない。外的・構造的な問題を矮小化させ、多くをセルフコントロール可能なものであるかのように責任を過度に個人へと転嫁させた先には、道徳的・倫理的によりよい社会は見えないのではないか?──。 幸福のみを過度に追求し、ネガティブな感情や絶望を軽視することのリスクを本書は示している。社会は極めて複雑で多様であり、不幸な現実に立ち向かうための希望は、幸福の追求にではなく知性と正義にあると言う。しかし、絶対的な正義や解などは存在せず、その対立には必然的に不幸も生まれることになる──。だからといって、安易に幸福の追求に逃げることは思考停止となる。答えは決して出ないのだろうが、現代の行き過ぎた自己幸福優先的な状況を私たちは見つめ直す必要があるのではないだろうか。

Posted byブクログ

2023/08/11

イエットアナザー・ポジティブ心理学批判。「新自由主義「を研究してきた人みたい。「幸せの科学はわれわれに幸せになることを強いるだけでなく、もっとも幸せで成功した人生を送らないのをわれわれの責任にする」。少しまじめに読むかな、とおもったが、内容が薄くて特にコメントするべきことがない。

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2023/08/09

ポジティブ心理学というか、個人主義に対する批判かなと思った。 今の世の中が個人主義だから「幸せ」にフォーカスが当たっていて、幸せになるために「ポジティブでいること」は「個人」に限定して言うと間違ってないかなとは思う。 でも確かに社会が「幸せ」という主観的な物差しを軸に政策を実行...

ポジティブ心理学というか、個人主義に対する批判かなと思った。 今の世の中が個人主義だから「幸せ」にフォーカスが当たっていて、幸せになるために「ポジティブでいること」は「個人」に限定して言うと間違ってないかなとは思う。 でも確かに社会が「幸せ」という主観的な物差しを軸に政策を実行するのは良くないと思う。 でもそもそも、 ポジティブ心理学がここまで台頭してきたから批判されてるんだろうなと思う。 ポジティブ心理学を提唱した人は、あくまでも個人の幸せに関することを提唱しただけで、社会的な影響の事なんてあまり考えてないんじゃないかな?と思ったり。。。知らんけど。。

Posted byブクログ

2023/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「幸せ」願望に支配される日常という邦訳の主題の通り、いつまでも追い続けるものとして「幸せ」が捉えられている。 ==== 幸せは何よりもまず連続体だ。つまり人生の特別なステージや最終ステージではなく、進行中の、終わらない個人的改善のプロセスであり、そこでは個人は、自分についてどう感じているのかにかかわらず、つねにより高レベルの幸せを目指すべきだということだ。つねに改善の余地があるというのが前提になっている。その意味では、幸せの追求は個人を終わりなき自己形成のプロセスに従事させるとも言える。(p.125) ==== 自己追跡アプリを使っている時も、「完璧な自己管理」によって、新しい形の不満が促進されることに繋がり、期待が脅威(常に自己監視をしていないと不幸になるという不安)に変わる。 ポジティブであることが専制的になる世の中への懸念を最後に示し、ネガティブな気持ちをポジティブで覆い隠すべきでないという趣旨に至る。SNSを含め、幸福追求の世の中で新しい形での疲れということで、色々余計なものが見えすぎてしまう難しさを「ハッピークラシー」というタイトルで表したのだなと興味深く読む事が出来た。 ==== 幸せはわれわれの生活を操るのに便利なものになった。なぜならわれわれが執拗な幸せさがしの僕になったからだ。(p.198) ====

Posted byブクログ

2023/05/18

幸せの唱道者たちが問題の解決策だと保証したものは「内に逃げろ」ということにすぎなかった 『ハッピークラシー』P.73 より マインドフルネスに感じる薄っぺらさはこういうことだったのか?と幸せ信仰の虚像を明らかにしてくれる一冊

Posted byブクログ

2023/05/07

難しかった!ポジティブ心理学の危うさについては理解出来たが、この本全体で何を言おうとしているのかは私にはわからなかった。 今日聞いたラジオで偶然聞いた言葉「隣のレジは早く進む)の方が心に刺さった。

Posted byブクログ

2023/04/29

タイトルにググッと惹かれて購読。本書では、アメリカを発信地に「幸福」であることを最上の価値とし、それを実現するためには個人の意識改革が不可欠という流れを鋭く批判する。個人の努力こそが、仕事の成果や幸福に直結するという考え方が行き過ぎると、幸福ではない人は努力が足りないということに...

タイトルにググッと惹かれて購読。本書では、アメリカを発信地に「幸福」であることを最上の価値とし、それを実現するためには個人の意識改革が不可欠という流れを鋭く批判する。個人の努力こそが、仕事の成果や幸福に直結するという考え方が行き過ぎると、幸福ではない人は努力が足りないということになる。政治でも経営戦略でも家柄でもなく、個人の努力が全てというのは、権力者にとっては都合が良い。また、センサー付きデバイスや行動と感情を結びつけて記録することは、ある意味、個人の感情情報をタダで企業に提供し、対価を払って利用していることにもなる。個人情報の流出にはうるさい人も、幸せ(だけでなく睡眠や脳波など)の情報は喜んで出すという、これはなんなんだろう。幸せ、もちろん大事なのだが、以前から感じている違和感を詳しく説明してくれた一冊。

Posted byブクログ