商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2022/08/12 |
JAN | 9784006004521 |
- 書籍
- 文庫
草の根のファシズム
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草の根のファシズム
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商品レビュー
4.3
6件のお客様レビュー
初版が1987年なので、ものの見方などはとっくにわかっている事もある。その時代の流れや衝動に押されず考えていく事が大切なのだろう。 この書籍に関しては民衆がいかに容易くコントロールできるか、情報統制などがどのように行われたか、そういった事に触れずに戦争を始めた当事者を徹底して糾弾...
初版が1987年なので、ものの見方などはとっくにわかっている事もある。その時代の流れや衝動に押されず考えていく事が大切なのだろう。 この書籍に関しては民衆がいかに容易くコントロールできるか、情報統制などがどのように行われたか、そういった事に触れずに戦争を始めた当事者を徹底して糾弾する内容で名著とは言い難い。当方も戦争になった時、銃を持たされても撃つ自信がないから戦争に反対する気持ちはよくわかる。ただ腹に落ちるとは真逆の方向の書籍だった事は記しておく。
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かつての日本の行いを見つめなおすことができる一冊。日本人が嫌いになってしまう瞬間もあるが、それを乗り越えて今後の日本や世界を考えることが肝要なのだと思う。
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タイトルに「草の根」とあるように、本書は、アジア太平洋戦争を草の根で支えた民衆の反応や意識を、戦争体験記や手紙、公的機関による調査等様々な資料を用いて明らかにしようとする。 本書参考文献には多くの戦争体験記が掲載されているが、著者はそれらを読み込んで、現地で従軍、商売や仕事を...
タイトルに「草の根」とあるように、本書は、アジア太平洋戦争を草の根で支えた民衆の反応や意識を、戦争体験記や手紙、公的機関による調査等様々な資料を用いて明らかにしようとする。 本書参考文献には多くの戦争体験記が掲載されているが、著者はそれらを読み込んで、現地で従軍、商売や仕事をしていた彼ら彼女らが、どのような体験をし、どのようなことを考え、あるいは戦後になって当時をどのように総括したかを、一人ひとり具体的に取り上げて叙述にまとめ、その実相に迫っている。 中国を始め、インドネシア、ビルマ、フィリピンといったアジア各地で日本軍は戦ったが、戦場における日本軍の行動、特に民衆に対する殺人、強盗、強姦、放火、略奪といった残虐な行為の数々を読むのはとてもしんどかった。兵站を軽視した軍上層部に問題があるのはももちろんだが、アジア各国への優越感や「戦争とはそういうものだ」といった意識が兵士をはじめ日本軍全体にあったのだろう(日本に限ったことではないのかもしれないが)。 また第二章では、民衆の序列として、帝国臣民である日本本土の周辺に属していた沖縄県人、アイヌ、ウィルタ、チャモロ人(マリアナ群島住民)、朝鮮人、台湾人を取り上げているが、兵として召集されたり軍事行動への協力を余儀なくされた人々が、戦争に翻弄され、あるいは敗戦後日本から切り捨てられてしまったことには、何とも言えない思いがする。 敗戦の反省から戦後を出発したのであるが、著者は、戦争体験記における記述や敗戦後の調査結果等を踏まえ、最後に次のように述べる。「…戦場や焼跡における日本民衆の原体験持つ意味は、十分に吟味されないまま、次第に見失われつつあるようにも感じられる。……戦争反対・平和意識の定着の裏側での「聖戦」感の残存、戦争協力に対する反省の中断、主体的な戦争責任の点検・検証の欠如、アジアに対する「帝国」意識の持続といった、多くの日本人に共通する意識・態度があった」(301頁)と。 現在の観点から見れば、攻撃をされた訳でもないのによその国まで出ばって行って戦争をし続けることに疑問を抱かないということは不思議に思えるが、西洋列強の植民地主義があり、アジアにおける盟主という意識を持っていた時代であれば、そういうものだったのだろうか。どうしてもその生きている時代というものに囚われてしまうのだろうな。 本書の元版が出たのが1987年、戦争を直接に経験した人たちはほとんどいなくなってしまった。果たしてその戦争経験の反省は継承されているのだろうか。
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