商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/07/21 |
JAN | 9784122072336 |
- 書籍
- 文庫
悪霊列伝
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悪霊列伝
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商品レビュー
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「世の中には、生きている間じゅう不当な扱いを受けつづけ、恨みを呑んで死んでゆかざるを得なかった者がいる。それらの者が死後、祟りを及ぼす悪霊となる、と昔の人は考えたが、これは逆にいえば、悪霊とは不当な仕打ちをした加害者が、内心の恐れと後ろめたさのために作りあげた虚像ともいえるだろう...
「世の中には、生きている間じゅう不当な扱いを受けつづけ、恨みを呑んで死んでゆかざるを得なかった者がいる。それらの者が死後、祟りを及ぼす悪霊となる、と昔の人は考えたが、これは逆にいえば、悪霊とは不当な仕打ちをした加害者が、内心の恐れと後ろめたさのために作りあげた虚像ともいえるだろう。」(8頁)とある通り、ここに本書のテーマがある。 本書で取り上げられているのは、吉備聖霊(おそらく吉備皇女、長屋王后)、井上内親王・不破内親王姉妹、崇道天皇(早良親王)、伴大納言、菅原道真、左大臣藤原顕光、平将門、崇徳上皇、楠正成といった人びと。加えて源頼朝の死を巡って義経等の亡霊が現れたとの説や、先代将軍徳川家治の早逝した子家基の死霊に祟られていると言われた家斉を巡る病気平癒の一騒動が紹介されている。 崇道天皇に悩まされた桓武天皇、菅原道真に祟られた醍醐天皇、崇徳上皇の怨霊の話は有名だが、歴史の裏話のようなところもあり、いずれも面白く読めた。 孝謙・称徳天皇とは異母姉妹の関係になる井上内親王・不破内親王については、井上内親王・他戸親王親子が光仁天皇のときに廃されたことは有名だが、不破内親王のことはあまり良く知らなかったので、大いに勉強になった。夫である新田部親王の子塩焼王、子の氷上志計志麻呂、氷上川継と皇位に就けようと画策したのだが、いずれも失敗に終わり、失意のうちに亡くなったことなど。 そして左大臣藤原顕光のこと。彼は道長の従兄に当たり、道長の父兼家の兄兼通の子になる。彼の娘の一人元子は、道長の娘彰子より早く一条天皇に入内し、もう一人の娘延子は三条天皇の皇子敦明親王の女となり、顕光は外戚になる夢を見たのだが、いずれも失敗に終わってしまった。そして彼らの死後、道長一家に祟る悪霊となる。 聖武天皇が気を病み、都を転々としたなど、最近の歴史学界では否定されているような説の文章もあるのだが、作家らしい想像力と歴史的事実とのバランスも良く取れていて、読み物としてとても面白い。
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これは、恐ろしい悪霊の話ではない。 政治的に蹴落とされて非業の死を遂げた者が、どのようにして悪霊とされたのか。酷い仕打ちをした側の不安や天災などの巷の状態でどのように悪霊が作られていくのか、というお話。 資料をきちんと読み込んでおり、読みごたえがある。 古代日本の人名の読み方が難...
これは、恐ろしい悪霊の話ではない。 政治的に蹴落とされて非業の死を遂げた者が、どのようにして悪霊とされたのか。酷い仕打ちをした側の不安や天災などの巷の状態でどのように悪霊が作られていくのか、というお話。 資料をきちんと読み込んでおり、読みごたえがある。 古代日本の人名の読み方が難しいので、毎ページ振り仮名が欲しいと個人的に思った。 あと、日本史にあまりなじみのない場合は難しいかも。
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古来、覇権争いに敗れ無惨に死んでいった者は、死後“悪霊”となり祟りを及ぼすと信じられた。心と歴史の闇を描く歴史評伝。〈解説〉宮部みゆき・山田雄司
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