商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2021/12/18 |
JAN | 9784000297080 |
- 書籍
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クオリアはどこからくるのか?
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クオリアはどこからくるのか?
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4.3
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意識は意識のレベルと意識の中身(クオリア)で語ることができる。 意識と注意。注意は、意識か無意識かに関わらず情報や選択肢の増幅や減衰を行う。意識は、自動的な注意よりも、意志によって制御されるトップダウン型の注意がクオリアに関係する。 統合情報理論。脳のニューロンの間に発生するネットワークの統合情報量が極大になる範囲(コンプレックス)が意識となる。意識のレベルはこの統合情報量で説明できる。意識の中身(クオリア)の構造は、脳の各部位のコンプレックスでの情報構造と一対一対応していると考えられる。
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意識はどこにあるのか ■6章 意識の統合情報理論 ○統合情報理論が提案する意識の公理 70 1 存在性 意識はそれを持つ者にとって存在する 2 組成性 意識はさまざまなコンポーネントから構成されている 3 情報性 意識には情報がある 4 統合性 意識は統合されている 5 排...
意識はどこにあるのか ■6章 意識の統合情報理論 ○統合情報理論が提案する意識の公理 70 1 存在性 意識はそれを持つ者にとって存在する 2 組成性 意識はさまざまなコンポーネントから構成されている 3 情報性 意識には情報がある 4 統合性 意識は統合されている 5 排他性 意識は排他的であり、経験されるそれ以上でもそれ以下でもない ○数学的な手続き 1 (脳などの)あるシステムが持っている意識レベルに相当するのは、そのシステム統合情報量(システムレベルのビッグΦ)と呼ばれる量である 2 ビッグ・ファイが局所的に最大になるサブシステム、それを「コンプレックス」と呼び、そのコンプレックスに意識が宿る(今のところ、コンプレックスとはネットワークの一番重要な中心と考えて良い) 3 コンプレックス内に含まれる(ニューロンやニューロンの集団などの)「メカニズム」が生み出す統合情報量(メカニズムレベルのスモール・ファイ)、そしてそのスモール・ファイφ同士がどういう関係性を持っているかによって、意識の中身・クオリアが決まる
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著者は大学生の頃にラマチャンドランの『脳の中の幽霊』を読んで衝撃を受けて、意識についての研究に進むことに決めたという。クリストフ・コッホにも師事し、著作の翻訳も行っている。その著者が注目する「統合情報理論」について解説したのがこの本。細かいところまで知りたい向きは提唱者のジュリオ...
著者は大学生の頃にラマチャンドランの『脳の中の幽霊』を読んで衝撃を受けて、意識についての研究に進むことに決めたという。クリストフ・コッホにも師事し、著作の翻訳も行っている。その著者が注目する「統合情報理論」について解説したのがこの本。細かいところまで知りたい向きは提唱者のジュリオ・トノーニの『意識はいつ生まれるのか』に当たるべきだと思うが、この本ではそのエッセンスと最新の状況がコンパクトにまとまっている。 情報統合理論は、著者によると「意識に関する普遍的な特徴や根本的な原理から出発し、それらがどのように私たちが知っている意識を持つシステムによって支えられているのかと考える」ものであり、「意識の境界・量・質を数学的に説明することを目指した理論」だという。本書に沿って簡単に記載すると、五つの公理、存在性、組成性、情報性、統合性、排他性、から出発し、システム統合情報量Φを定義し、局所的にΦが最大化になるサブシステムを「コンプレックス」と呼び、その統合情報量をφ(スモール・ファイ)とし、そのφ同士の関係性によって意識の中身・クオリアが決まるというのだ。 『意識はいつ生まれるのか』には、コンプレックスやφ(スモール・ファイ)の言及は確かなかったように記憶する。統合情報理論はv1.0から始まり、現在はv3.0ということなので、コンセプトも追加されて進化しているのかもしれない。最新の状況を解説するチュートリアル(https://www.youtube.com/watch?v=IflW_oaOJqg)が紹介されているので、その動画を見るのが英語だけれど正確で早いかもしれない。 本書の中でも紹介された、分離脳の意識や、頭蓋骨が癒着して脳がつながっている双生児の意識の研究からも統合情報理論を含めた意識研究の有効性や正当性が議論されていくのかもしれない。 最後に著者は、自身の研究にも深くかかわる「クオリア構造」と統合情報理論における「情報構造」の関係について説明する。まだ進行中の分野で、やはりなぜ脳や身体から「クオリア」と呼ばれるものが出てくるのかは理解できない。同様に、情報統合理論がどこまでの射程を持っていて、意識の問題に関してどこまで説明可能であるのかもまだわからない。しかしながら、こうした研究者の間における熱量からも一定の正当性をもった理論であることは改めて理解できた。少なくともハードプロブレムといって探求をあきらめるよりはずっとよい。 このシリーズ(岩波科学ライブラリー)の方針なのかもしれないが、この話であればもっと話を拡げることができたのでは、と感じた。 ----- 『意識はいつ生まれるのか――脳の謎に挑む統合情報理論』 (ジュリオ・トノーニ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4750514500 『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』(スタニスラス・ドゥアンヌ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4314011319
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