商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2021/11/27 |
JAN | 9784101034416 |
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- 文庫
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商品レビュー
3.5
18件のお客様レビュー
ヒリヒリするボクサーのはなし。 男の物語。 『人生クライマー』をみたばかりなんだけど、それも、誰も登ってない崖を登りたい。 クライマーをやめられない。 ボクサーをやめられない。 町田康の解説がよかった。
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無気力負け組から負け組への脱却 そんな小説だったような気がしました。 ボクシングを題材とした場合、一般的なイメージとしてはギラギラした生とか、(入子型の)自分の存在意義の模索などをストーリー展開に絡めてくるようなものが多い気がします。 「あしたのジョー」とか、寺山修司の「あゝ荒...
無気力負け組から負け組への脱却 そんな小説だったような気がしました。 ボクシングを題材とした場合、一般的なイメージとしてはギラギラした生とか、(入子型の)自分の存在意義の模索などをストーリー展開に絡めてくるようなものが多い気がします。 「あしたのジョー」とか、寺山修司の「あゝ荒野」「ミリオンダラー・ベイビー」「キッズ・リターン」最近なら「春に散る」 勝ち組と負け組のコントラストがはっきりしていて、その狭間で苦悩する登場人物たちが印象的であったりします。 ただ、主人公のボクは物語の中で、意欲の輪郭もみえないような状態でボクシングをしているところからスタートします。 対戦相手を憎むどころか(一般的なボクシングものは対戦相手もしくは自分と相対的な何かを憎むことが多い)、親友にも近い感情を持ってしまっています。 他人を憎めない者は、勝ち組とか負け組とかそのような仕分けは存在しないのかもしれません。 それはそれで、生きていくモチベーションや羅針盤をおのれの中で作りにくいのかもしれません。 他人を憎むということは、自分を相対化しやすくする効果があると思いますので。 なかなかチャレンジングなことをやってそうな小説だと思いましたが、わたしにはちょっと合いませんでした。
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主人公は21歳のプロボクサー。デビュー戦をKOで飾るが、その後の戦績は思わしくない。やたらと内省的で、彼の思考がぐるぐると、あえての(多分)わかり辛い文章によって、延々と続いていく。 ボクサーってもっと野心家というか、「成り上がってやるぜ」「絶対勝つぜ」みたいなギラギラした目付...
主人公は21歳のプロボクサー。デビュー戦をKOで飾るが、その後の戦績は思わしくない。やたらと内省的で、彼の思考がぐるぐると、あえての(多分)わかり辛い文章によって、延々と続いていく。 ボクサーってもっと野心家というか、「成り上がってやるぜ」「絶対勝つぜ」みたいなギラギラした目付きの人たちだと思っていたが、もちろんそれは勝手なイメージで、彼のような内省的、考えすぎなキャラだって居るのだろう。負けが込んで、自らの能力の限界が見え始めたら尚さら。 しかし、3敗目を喫し無力感に陥っていた彼の前に新しいトレーナーのウメキチが現れる。このウメキチの関わり方が心地よい。本人を否定しないし、よく見ている。身体の使い方とか、体調とか、食事とか、睡眠のとり方とか。細かい点まで見て理解してくれた上で的確な助言を与え、弁当まで作ってくれる。最初は反発していた彼も次第にウメキチを信頼するようになり、気持ちが変化していく。 ボクサーに限らず、今の若い世代ってきっとこんな先輩を求めているんだろうなと思った。自分を知ってほしい、自分に合ったやり方を丁寧に教えてほしい、上から目線じゃなく対等であってほしい。そして、ウメキチは決して彼に尽くしているわけではなく、自身もボクサーで自分の研究のためにやっているのだ、というところも念が入っている。 生きていれば多かれ少なかれ、試合に臨むボクサーのように、試練とかヤマ場を迎えては何とか乗り越え、ほっとすると次の試練が来て、無理だ、自分はもうダメかもと思ったり、の連続だと思う。日々ぐるぐると内省しながら戦っているのではないか。 最後の最後に、タイトルの「1ラウンド1分34秒」が出てくる。彼の「勝ちたい」気持ちに感動したし、良いラストだなと思った。
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