商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
| 発売年月日 | 2021/10/28 |
| JAN | 9784000614740 |
- 書籍
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ケルト人の夢
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ケルト人の夢
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商品レビュー
4.4
12件のお客様レビュー
コンゴ、アマゾンと植民地での悪行を告発した、英国外交官が徐々にナショナリズムに染まり、アイルランド独立を妄執するようになる。 正義とは何か、悪とは何か 普遍的な問題を描く大作 長かった
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コンゴとペルーにおける原住民の虐待を告発したアイルランド人にしてイギリス外交官、同性愛者の、実在した人物であるロジャー・ケイスメントの伝記小説。 最後はアイルランド武装蜂起に関わって絞首刑になる。 面白かったけど、ハードカバーの500ページ以上の本なので、読みにくい(物理的にね)...
コンゴとペルーにおける原住民の虐待を告発したアイルランド人にしてイギリス外交官、同性愛者の、実在した人物であるロジャー・ケイスメントの伝記小説。 最後はアイルランド武装蜂起に関わって絞首刑になる。 面白かったけど、ハードカバーの500ページ以上の本なので、読みにくい(物理的にね)事甚だし。 リョサの本は「都会と犬ども」「緑の家」もおもしろかつた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ペルー生まれの、ノーベル文学賞も取ったという著者による、ロジャー・ケイスメントという人物の壮大な生涯を描く小説。1864年アイルランド生まれ、両親を亡くし、イギリスの外交官としてコンゴ、アマゾンに赴任する。コンゴやアマゾンでは先住民に対する虐待を目撃し、報告する。50歳になる前に健康上の理由もあって外交官を辞めることとなり、その代わりにアイルランド独立運動に携わる。敵の敵は味方、的な論理なのか第一次世界大戦でドイツを支持、「ドイツと組んで(《ただしドイツの命令に従うことなく》)戦う目的で捕虜たちを組織しよう」(p.198)とした結果失敗し、イギリスで逮捕され、反逆罪で52歳で絞首刑になる、という話。 最近Xのツイートで紹介されているのをたまたま見かけて、おれがなかなか読まない感じの本だし、この本に出会えたのも何かの縁だと思い、せっかくなので読んでみた。500ページ以上もあって、これ読めるかな、って感じだったけど、思ったよりも速く読めた。どこに書いてあったか記録するのを忘れてしまったが、コンゴやアマゾンの先住民虐待の話は、岩波文庫で読んだラス=カサス状態だった。「コンゴとアマゾンは、遠く隔たっていながらも同じ臍の緒で繋がっていると、ロジャー・ケイスメントはまた思った。利益に目がくらむと、残忍な行為はわずかに形を変えるだけで、ふたたび繰り返される。それは生まれたときから人に備わる原罪であり、果てしない悪のひそかな源である。あるいはまだ何かあるのだろうか?悪魔が永遠の戦いに勝ったのだろうか?」(pp.169-70)というところが本当に納得だった。人間が普遍的に持っている残虐性、サディズムってどういう心理なんだろう?フロイトとかに分析してほしい(もうされているのかな?)。ただこの人物が同性愛者ということで、訳者あとがきによれば、「叙事的行動が描かれながら、他方で複数のマイナー性を抱え、繊細な感受性を備えた彼の性的苦悩、孤独、迷い、喜びといった内面の動きも丁寧に描写されている」(p.519)ということで、主人公の「表の世界」で起こることにハラハラしつつも、時々起こる「裏の世界」の話に興味を惹きつけられてしまう、という感じ。ただ「人前ではきわめて礼儀正しく品の良い言葉を使う彼は、プライベートな日記には淫らなことを書きたいと言う、抗いがたい欲求を常に感じていた。理由はよくわからなかったが、卑猥語を使うと気分がよくなるのだ。」(p.338)っていう部分は、なんか「汚言症」みたいな神経症とは関係ないのかな、と思った。最後に印象的なエピソードは、プトゥマヨで保護した2人の少年をイギリスに連れて行き、教育を受けさせたりしたが、「二人はいずれもこのイギリスで心底不幸な目に遭っていた。彼らはここで異形の人間に変えられ、彼らを決して自分達と同等とはみることもなく、常に奇妙なよそ者扱いする人々を驚かせたり楽しませたり、心を動かしたり、ときには怖がらせるような、展示物にされている」(p.326)状態で孤独を感じ、結局はアマゾンに戻ることになるという話が悲しい。あと、主人公がアマゾンを去る時、「あの広大なプトゥマヨ地方全体はどうなってしまっただろう。(略)それほど遠くない将来、人の足跡はすべて密林によって消されてしまうだろう」(p.377)という予言が気になって、今どうなってるんだろう、ってGoogleマップで見てみた。確かにプトゥマヨ川流域はただのジャングルにしか見えなかった。でもこの本にも出てきたその近くのイキトスというペルーの町は、本当に現代的な町になっていて驚き。 昔大学生の時にアイルランド問題について何かの授業の教科書になっている新書で読んだ気がするが、その本はまだこのbooklogには感想を書いてないし、また読んでみようかなと思った。(24/09/25)
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